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各国情報提供

わたしの活動エリア「赤道ギニア」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

街の外れにあるナショナルパーク
よく整備されていてゆっくりできる

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

赤道ギニアは中央アフリカに位置する、アフリカで唯一スペイン語が第一公用語の小国です。

国土はカメルーンとガボンの間にある大陸側と、ギニア湾に浮かぶビオコ島をはじめとする幾つかの島に分かれています。わたしたち家族が活動していたのは首都マラボのあるビオコ島北側で、国際空港や政府機関などが集まる中心部の近くでした。

20世紀最後の10年間から赤道ギニアは大きく様変わりしてきていました。以前はカカオやコーヒーなどがメイン産業の貧しいプランテーション国家でしたが、ギニア湾の赤道ギニア海域で発見された油田を欧米系石油会社が開発してからは驚異的な成長を遂げており、現在では後発発展途上国リストから外れています。

OPECにも加入し典型的なレンティア国家として変化している現在の赤道ギニアは、GDPだけを見るとアフリカでも有数の富裕国です。しかし現状はごくごく一部の関係者がその冨を独占し、ほとんどの国民は昔ながらの貧しい生活を強いられています。

それでも、そうした貧困層の方々が皆一様に不幸かと言われると決してそんなことはなく、誠実に家族や友人たちを大切にしている方々の生活満足度は非常に高い印象でした。多くの子ども達も自然の中でのびのびと育ち、とても素直で屈託のない笑顔を見せてくれます。

問題は衛生面や道徳面の教育不足により、多くの命が失われていることだと個人的には感じていました。

日本のように蛇口をひねれば水が出てくる家庭はごくわずかで、ほとんどの家は重い水を毎日井戸から運んでこなければなりません。病気を防ぐためには食器や身体の清潔さを保つのがいかに大切かを理解していなければ、重労働を伴う水の使用を面倒に感じ怠ってしまいます。

また性交渉によるエイズの蔓延も深刻な状況になっており、収束する気配はありません。さらには迷信や偏見の影響も強く、例えばアルビノの方や先進国では癲癇と診断されるような方も、悪霊が憑いていると村から追い出されたりするなど、教育不足からくる深刻な問題が根強く残っています。

人々に寄り添い信頼関係を築きながらそうした教育を実践していく人材を多く必要としておりますが、現在赤道ギニアは非常にビザを取得しにくい国の一つであり、観光ビザも一般の方は申請できない状況です。わたしも現地での仕事を確保し、会社に就労ビザを発行してもらいながら勤務外の時間でボランティア活動を行っていました。 

文化

地元の方に招待頂いた時の料理
揚げた魚にスパイスを付けて食べる

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

ファン族やブービー族などの部族ごとに気質や習慣は異なります。

例えば一夫多妻が公認されている部族もあれば、魔術が盛んな信心深い部族もいますし、労働が美徳とされる部族もあれば、陽気な気質の方が多い部族もあります。そうした部族ごとの壁は大きく存在し、お互いの不満を述べたり争いの種になったりことも少なからずありました。

またスペイン語が主要言語ですがラテン系の雰囲気はなく、中南米やスペインとは異なる気質でした。初めて会った人に対して直ぐに心を開く方は少なく気心が知れるまで多少の時間が必要ですが、それでも一度築いた友情は深く強いものになる傾向があります。 

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

主食はキャッサバなどのイモ類ですが、豆やお米もよく見かけます。

季節によってはマンゴーやアボガドが街にあふれていました。

宗主国だったスペインの影響からか、特別な日にはパエリアを作る家庭も多くありました。

中国系移民のコミュニティもあり、わたしたちは定期的に彼らの店でアジアの食材を購入していました。

またいわゆるブッシュミートといわれるアルマジロやイグアナ、ワニやヘビなども食されています。

赤道ギニアの方曰く、赤道ギニアに象がいないのは全て食べつくしてしまったからだ、とのことでした。 

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

長い間宗主国であったスペインの影響で国民の多くはカトリックですが、土着の信仰と融合している場合も少なくありません。

またイスラム圏の西アフリカからの移住者も多くおり、数は少ないですがモスクも見かけられました。

いずれにしましても、信仰心の強い方が多く、それぞれの方が持つ信仰に敬意を払いつつ接する必要があります。 

気候

晴れた日の海沿いの夕刻
気持ち良い風を感じながら散歩できる

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

赤道ギニアという名称ながら、国土は赤道上にありません。しかし赤道近くに位置することは確かで、年間を通して高温多湿です。雨季と乾季に分かれていますが、わたしが以前暮らしていた中米に比べ乾季でも雨天になることが多くありました。

しかし、晴れ間の見えた時の日差しの強さは特筆すべきものがありますので、長時間にわたるフィールドワークに携わる際には、帽子や日傘などが必需品となります。 

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

マラリアや赤痢などがあります。主な感染経路は蚊、不衛生な水や食事、となります。

どちらも完全に避けるのは不可能ですが、それでも寝るときは蚊帳を用いる、露店などでの食事は避ける、比較的衛生的な飲食店でも生野菜は食べない等、可能な限り感染確率を下げる対策は必須です。 

言語

宗主国だったスペインの影響は言語以外にも色濃く残り、富裕層向けのスーパーでは子豚も売られている

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

第一言語はスペイン語ですが、ポルトガル語や英語、フランス語話者も多くいます。

特にわたしの住んでいた首都近郊は、カメルーンやナイジェリア、米国やヨーロッパなどから移住してきた方も多く、様々な言語が飛び交っていました。

また、赤道ギニア人のほとんどは、外ではスペイン語、家に帰ると各部族の言葉を話すマルチンガルな方で、同部族のみで集まっている場合はファン語やブービー語が街で飛び交っていることもあります。

スペイン語に関しては多くの教材がありますが、現地の部族語に関しては辞書もない場合が多く学習は困難です。

スペイン語を話せればほとんどの方とコミュニケーションをとることができますので不自由しませんが、各部族の言葉で「こんにちは」や「ありがとう」などの簡単な挨拶を覚えて話しかけると、とても喜んでくださり会話がスムーズになります。 

生活

少し田舎に行くと、住民が捕獲した様々な動物が食用に売られている

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

前述したとおり貧富の格差は激しく、一部の利権を握っている人々以外は大変貧しい生活を強いられています。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

識字率は高く、読み書きに苦労する方はごく一部です。

特に30代以下の方々の大半は学校に行った経験があり、スムーズに読み書きを行うことができます。

それでも、他の地域も同様だと思いますが、田舎に行けば行くほど教育水準は低くなり、なかには簡単なスペイン語しか理解できない方もいらっしゃいました。

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

以前暮らしていた中米に比べて治安は良く、わたしの肌感覚では日本と中米のちょうど中間くらいでした。銃が蔓延していないのが大きな理由かもしれません。

しかし、だからといって日本のように生活することはもちろん出来ず、銀行での現金出し入れの際は現地の友人に付き添いをお願いしたり、夜間の一人歩き等は避けたりする必要があります。

さらに、近づいてはならない危険な場所や問題が起きた時の対処法などは、現地の友人たちの声に従う必要があります。

また、賄賂を要求されることが日常的にあり、出入国の税関や道路の検問などで外国人だとわかると、ほとんどの確率で理不尽な理由をつけ要求されます。

表示された価格以上に支払うことのない日本文化からすると抵抗を感じますが、チップだと思いこちらから「これでコーラでも飲んで」と少額を渡すと、スムーズに事が運ぶことが多くありました。

ほとんどの家に電気やガスはあるが、頻繁に停電になる

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

外国人が現地での住居を探すのは非常に困難です。

問題のある家を紹介されたり、何倍もの家賃を請求されたりすることが多々あるからです。出来るなら最初は現地の信頼できる友人の家にお世話になり、現地の方と共に家探しをする必要があるでしょう。

また、家賃は決して安くなく、安全性などを考慮すると、日本と同じかそれ以上の家賃が必要になります。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

上記質問にある全てのインフラが揃う家に住もうとすると、最低でも10万円の家賃が必要だと思われます。

特にインターネットが備えられている住居はほとんどなく、多くの方は携帯電話の契約でネットを使用していますが、価格、スピードとも決して満足のいくものではありませんでした。

電気に関してはほとんどの家に普及していますが、ちょっとでも天候が荒れると直ぐに停電します。

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

外国人の集う飲食店は概ね安心して飲食することができますが、日本と同じかそれ以上の値段となります。

安価な地元の食堂は不衛生なところも多く、お勧めできません。

中華系、また西アフリカ系のお店は、比較的安価で安全なお店もありました。 

食事前に手を洗う理由と大切さを教え、習慣になるまでサポートするなら多くの命が救われる

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

街中の様々なところにペットボトルの飲料水が売られており、比較的安価で手に入れることができます。

ただし小さな商店で購入した際には、開封された形跡がないか一度調べてから口にする必要があります。

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

自家用車を所有しないのであれば、街中の移動は基本的に徒歩かタクシーになります。

街から街への移動には、ハイエースバスが走っており、安価で利用できます。

タクシーの価格は地元の人は100円程度ですが、外国人はその倍以上請求されます。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

現地の多くの方がかかる医療機関と外国人が往診する病院には、医療水準、医療費ともに大きな差があります。

マラリアや赤痢など命に関わる病気も流行しているため、どうしても信頼できる高額な医療機関に行かざるを得ない状況が多くありました。

例えばマラリアのような症状が出た場合、診察、血液検査、治療薬の投与などで1万円以上かかることも時々ありました。 

執筆者:M.O
執筆年月:2021年10月

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