Toggle

各国情報提供

わたしの活動エリア「イギリス」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

イギリス人にも憧れのコッツウォルズ地方 ー なだらかな丘陵地

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

イギリス -「太陽の沈まない国」- と言われたほどの領土を保有していた大英帝国は、様々な場面で、その時代の名残を垣間見る事が出来ます。

現在でも保有領土は、ヨーロッパのイベリア半島にあるジブラルタル、インド洋、カリブ海のケイマン島などがあり、イギリスで太陽が沈んでも別の領土では出ているという帝国時代の面影を残しています。

イギリスの主な経済は、金融サービスです。他にも莫大な量の石炭や原油といったエネルギー資源を保有しています。

イギリスは、ヨーロッパ系、アフリカ系、アジア系の人々で構成されています。特にロンドン市内は300-400の言語が使われていると言われています。

政治、経済、サービス業など全ての分野で多くの外国人が活躍しているため、イギリス人にとって外国人の存在は普通のことです。

植民地時代にその地からの多くの人々が移動して来た時に、文化や習慣など様々なものが持ち込まれ、移民大国となっています。

長年、巨大な帝国を築く事が出来た理由の一つは、自国の文化を押し付けるのではなく、相手国(植民地)の文化を積極的に取り入れた事が一因と言われています。確かにそのようなイギリス人の包容力を感じる場面が今でも多くあります。

その包容力は、他の人の意見を尊重すると言う意味でもあり、それゆえに外国人はロンドンの生活に馴染みやすく、社会貢献活動においても活躍できる場面が非常に多いように感じます。

文化

イギリスの優雅なひと時 ー アフタヌーンティー

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

イギリスというと「ジェントルマン」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、通りすがりでも笑顔で挨拶をかけあう人々を見ていると、確かに紳士&淑女のイメージ通りだと思います。

イギリスは、同じ島国の日本人の気質にも近く、親近感を抱く方も多くいらっしゃいます。長年多くの移民を受け入れてきたことから、すぐに相手の敷居に入らない気遣いがあり、相手にとってベストな近づき方を判断して、本当に親しくなってくると、丁度いいタイミングで、まるで別人の様に親切にしてくれるコツを身につけていらっしゃいます。

短期間で滞在される方は、イギリス人に対してクールで少し距離感を感じる方も多いですが、彼らの絶妙な近づき方は、イギリス人の繊細さを垣間見る素敵な場面です。

移民が多く住んでいるロンドン市内は特別で、多種多様な考えやコミュニティーが形成されており、自由な雰囲気があります。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

シンプルで簡単な食事をする習慣があるため、イギリス料理は美味しくないというイメージが定着しています。

イギリスの代表的な料理と言われても、多くの人はすぐには何も思い付かないかもしれませんが、日本人に意外と馴染みがあるフィッシュ&チップスをあげる事が出来ます。タラの天ぷらにグリーンピースとチップス(フライドポテト)を添えて、タルタルソースにモルトビネガーをタップリかけていただきます。

他にはローストビーフやシェパーズパイなど、イギリスに来られた方がいらっしゃれば、これらを一度は口にされた事があるかもしれません。

移民によってもたらされた多数の異国のレストランがロンドン市内にあり、主にインド系や中華系を楽しめます。その他日本ではあまりお目にかかれないアフリカや中東の料理を楽しむ事も出来ます。

最近ではヘルシー嗜好が注目され、高級サンドイッチ店で売られているクオリティーの高いお寿司を食べるのがトレンディーだったり、高級スーパーで回転寿司を味わえたり、日本食も人気のひとつとなっています。

家庭では、ランチにはサンドイッチを食べますが、日本では味わえない色々なトッピングがあります。夕食は、冷凍食品やテイクアウェイなど出来合いのものを買ったり簡単に調理したりする事が多く、ポテトを主食としています。

忘れてならないのが、パブです。日本のイメージとは違って、ビールを飲みながら、友人や同僚、また隣り合わせた人たちと会話を楽しむ社交場となっています。

ランチどきにも多くの人がパブを利用しています。ビールの種類も多く、ローカルのビールを楽しむ事が出来ます。建物はおしゃれです。パブは老舗が多いので、歴史的建造物に近い建物です。昼食や夕食時は必ず人々で溢れ、一見入りにくそうに思いますが、入ってみると店員も、近くのお客さんもとても優しく、一緒になってビールを勧めてくれたりします。

パブは、日本のファミリーレストランに近い要素もあり、家族連れでお得なランチを楽しんだりする事も出来ます。

またアフタヌーンティーも外せません。紅茶を欠かさないイギリス人は、外国の旅行先まで自分のお気に入りの紅茶を持っていきます。紅茶の添え合わせはスコーンにクロッテッドクリームにジャムを添えていただきます。現地に行って優雅なひと時を楽しむことができます。

豪華な朝食 ー フルブレックファスト

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

イギリスの宗教の主なものはキリスト教です。エリザベス女王は、16世紀にローマ・カトリックから分離した英国国教会の最高権威者です。

先にも述べましたが、多くの人種がいるゆえに、人種、国籍、宗教によって人を差別することは法に反し、自分の信条が尊重されると同時に、他人の心情を尊重する事が求められ、多くの宗教が受け入れられている他宗教社会です。

他にもイスラム教、ヒンズー教やユダヤ教の順に構成されています。

キリスト教の精神が根底に流れていて、他の人に親切にすることが当たり前で、困った時には自然に手を差し伸べてくれます。私が日本に帰国した時に、早くロンドンに戻りたくなる要素の一つです。

気候

コッツウォルズという地名は「蜂蜜色」という意味
その色のレンガで建てられたコテージ

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

イギリスは1日に四季があると言われるくらい、一日でも天気が激しく変わります。温暖化のせいもあり、その日の天気がますます予想しづらくなっており、朝は晴れていて、暑かったと思っていても、正午に突然雨が降り、午後からは厚手のコートが必要なくらい寒くなる時があります。

緯度は北海道に近くイメージ的には寒い国と思われますが、メキシコ湾流が流れ込んでいるので、ロンドン市内ではあまり雪が降ることもなく、氷点下になることも少なく、東京よりも暖かく感じます。

寒さは8月後半から段々と気温が下がり冬になり、6月ごろまでは気温が高くない状態で、夏の暑さを感じるのは7月からの1ヶ月ほどだけです。最近は40度近くまで上がることもありますが、真夏以外は四季を問わず、傘や薄手のコートは必需品です。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

イギリスは先進国なので、安心な一面もありますが、やはり移民が多いので、現地からの病気が持ち込まれる事があり、基本的には衛生面で気をつける必要があります。

王室や自治体によって綺麗に管理されている広大な公園が多くあるので、散歩を楽しんだり、そこで運動不足を解消したりすることができます。

言語

英字新聞上のフィッシュ&チップス ― イギリスで一度は食べたいファストフード

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

イギリスの公用語は英語です。世界の共通言語になっているので、イギリスには多くの語学学校があります。多くの生徒が近隣のヨーロッパ諸国から、観光業やビジネスのために短期で英語を学びに来ています。

日本では義務教育でも英語が取り入れられているので、文法などは比較的高度に教えられていると言われますが、ヨーロッパに比べると少し控えめに見える気質なので、英語の授業に馴染むのに少し時間がかる場合が多いようです。しかし、教師を始め皆フレンドリーに接してくれるので、まずはクラスメートなどと仲良くして会話を積極的にして英語に慣れるのが近道と言えるかもしれません。

いずれにしても、言語を学ぶ環境は整っていますので、自分にあった仕方でレッスンを受けることができます。

余談ですが、イギリスは国名にあるようにイングランド、スコットランド、ウエールズなどの連合王国ですので、英語以外の言語を使う地域もあります。例えばイギリスの北部にあるウエールズは国営放送もウエールズ語で流れています。道路標識も2言語で表示されています。全く違う言語に見えますので、イギリス国内での独特の文化に触れる楽しいショートトリップを楽しむことができます。

生活

英国内の美しい白鳥達はエリザベス女王のもの

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

イギリスは付加価値税が20パーセントと決して安くはありませんが、細分化されていて、贅沢な嗜好品を使う富裕層から税金を取るようにしています。

食材などには税金がかけられていないので、自炊をする場合には日本より安価で、欧州ならではの食材で料理を楽しむ事が出来ます。

住宅環境からしても、電化製品が安価ではないので、多くの人は仕事を掛け持ちして、何とか質素なくらしを維持しています。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

イギリスの義務教育は、イングランドは18歳まで、それ以外の地域は16歳までとなっています。しかし、義務教育とはいえ、小学校や中学校といった指定された学校機関に行く必要がないホームスクリーング(在宅)で勉強している生徒もいます。

日本では小学校に6年間・中学校に3年間・高校に3年間という教育課程がありますが、イギリスでは5歳から11歳までプライマリースクール、そして16歳までセカンダリースクールに在学し、その後は中学卒業試験に合格すれば、大学進学に進学できる6th Fromという高校にあたる教育機関に進めます。

卒業が近づくと、全国統一試験を受験して合格する必要があります。イギリスの学校は9月に始まり、翌年の7月に学年末を迎えます。

イギリスの公立学校は学費無料ですが、私立学校は年間平均200万円ほどかかります。

最近の日本でも学校選択の基準が変わってきていますが、やはり「良い大学に入れば安心、とりあえず大学に入ってから将来を考える」という考え方があります。

イギリスでは「なりたい職業に就くために、学校で技術や知識を学ぶ」という考え方です。その職業についている人や専門職の人を尊重し大切にする国民性がその理由の一つかもしれません。幼いうちから自主性をしっかり持たせる教育です。

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

ロンドン市内は住む地区によって治安の差があります。アフリカ系やアジア系などが多く住む地区や、また一般にテムズ川より南は治安があまり良くないと言われています。

日中は安全な通りでも、日が暮れると急に危なくなります。暗くなってきたら、人が多く歩いているところを選んだり、遠回りしてでも、街灯が多く明るい道を選んだりする必要があります。

迷っている仕草や、観光客のような派手な服装はお勧めできません。イギリスはヨーロッパの中では比較的安全ですが、日本とは全く違うので緊張感を持って行動することは大切です。

ロンドン市内は、屈指の観光地ですので、一部の集団がヨーロッパ各地を回り観光客を狙ってスリを働いています。気をつける必要があります。持ち物は必要最低限にして、支払いもクレジットカードを使い、現金をなるべく持ち歩かないようにしたほうがいいでしょう。

テロが多発しているロンドン市内は、セキュリティーのため多くの防犯カメラが設置され、地下鉄はほぼ死角がないと言われています。事件や事故の時は、警察も防犯カメラを使って捜査しますが、日本の交番のようなところはないので、極力犯罪に巻き込まれないように用心することが大切です。

ハロッズ ― アッパークラスの御用達

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

イギリスでは、建て替えや新築には多くの手続きが必要で、基本的にはハードルが高く、既存の建物の内装を変えるのが現実的です。理由の一つは、チャールズ皇太子が街の景観を変えるのを好まず、歴史的景観や建物を大切にしているからです。

また不動産は投資の対象となり、土地や家屋の価格とともに賃貸物件の家賃も年々高騰しています。

物件を借りる場合、一軒家や日本のいわゆるマンションの一部屋を間借りするルームシェアが一般的です。キッチンとバスをシェアするスタイルです。

日本のように一人暮らしができるキッチンやバスが付いた1Kスタイルのアパートはありません。

DIYとガーデニングができるかが結婚基準の一つとも言われるように、家の内装を替えたり修理したりするのが得意なオーナーが多く、自分で楽しみながら行います。

家は築100年以上の家も多く、古かったり、床からギシギシという音がしたりすると価値が上がると言われています。ですから、いろいろなところの故障も多く、修繕が必要です。家を決める際は、よくチェクして、修理をしてもらってから入居することを条件にする必要があります。

冬や寒い時期が長いので、ほとんどの家はセントラルヒーティングが標準装備されています。

家賃は、£90水道込みなどと、週払いの値段で表示されることもありますが、基本的には月払いです。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

イギリスのインフラは整っています。日本のようにガスが身近ではなく、キッチンのコンロも電気が普通になっています。火事対策のためとも言われています。電気も水道も整っています。水道も普通に使うことができます。

郊外にある貴族の屋敷 ― 宿泊ホテルとして泊まる事ができる

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

ロンドン市内はファストフードやレストランが多くあり、厳しくチェックされています。高い衛生基準を厳守するように抜き打ちチェックされます。

色々な人種の人が働いていて、衛生管理がその店の店員の国の衛生を反映している事もあります。

スーパーの計り売りの生食用のハムを買って食したところ、日本では聞いたことのない菌で体調を崩した方もいるので、出来るだけ加熱したり、消毒したりする必要があります。

露天やスーパーの商品は、管理されているとはいえ、基本的に日本に比べ良い状態ではありません。陳列されている商品の中には、腐っていたり、破損しているものもあるので、一つ一つよくチェックして選ばなければなりません。

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

イギリスの水道水は普通に飲む事が出来ます。一部の地域を除けば、基本的に硬水なので、体質に合わない場合は、スーパーで水を購入します。

硬水は石鹸の泡立ちが悪くなるので、現地の石鹸に変えなければなりません。湯沸ポットやアイロンも定期的に石を取り除くクリーニングをしなければなりません。硬水は良い点もあります。カルシウムが含まれているので骨粗鬆症が少ないと言われています。虫歯対策にいいフッ素も微量含まれています。

高級店が建ち並ぶナイツブリッジ地区

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

イギリスの公共交通機関は民営化後、特に管理が悪くなり、遅れや事故が日常茶飯事になっています。

突然行き先が変更になったり、突然止まったりすることもありますので、それを計算して予定を立てたり、行動したりしなければなりません。

映画の世界で描かれるMI5という組織が実際に活動していて、事前にテロ予告を察知して爆弾テロを未然に防いでいます。そのため、時折、バスや鉄道が突然ストップして、電車やバスから降ろされることもありますが、これも日常茶飯事のごとく、慌てることなく乗客は対処しています。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

イギリスで受けられる医療は、国の公的な医療機関であるNHS(National Health Service、国民保健サービス)とプライベートな医療機関によるものがあります。

NHSは、英国内に在住している人が基本的に無料で受けることができるものですが、GP(General Practitioner、総合診療医)といわれるかかりつけの医師に登録する必要があります。

ただ、無料のため、多くの人が並んでおり、診察までの待ち時間が長く、緊急であってもすぐに受診することができない場合があるため、有料で高額なプライベート医療機関で診察を受ける人が多いのも現実です。

留学生やボランティアで来られる方には少し割高ですが、半年や長期の海外医療保険に加入することをお勧めします。

日本人医師がいる病院もいくつかあり、日本人の体質にあった診察や薬を処方してくれるので、安心して利用することができます。

執筆者:T.H
執筆年月:2020年12月

Return Top