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各国情報提供

わたしの活動エリア「グアテマラ」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

アグア山と世界遺産アンティグアの街並み

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

グアテマラ共和国は中央アメリカ北部に位置しており、メキシコ、ベリーズ、ホンジュラス、エルサルバドルと国境を接しています。

当国の輸出品の代表格と言えばコーヒー豆であり、世界の主要な生産国の一角を占めています。また、野菜や果物の生産も盛んであり、日本のスーパーでもグアテマラ産のバナナなどを見かけることがあります。

当国では日本について良い印象を持っている方が多いです。日本車に代表される日本製品の品質が良いことに加え、国際協力機構から派遣されているボランティアの活躍がメディアで取り上げられることが、日本のイメージアップに寄与しているようです。

社会貢献の分野について言えば、私自身を含め、多くの日本人ボランティアが当国で日本語・日本文化の紹介に取り組んできました。今後も、現地での日本理解の向上に加え、グアテマラの抱える様々な社会的課題を解決する援助を行なうため、さらに大勢のボランティアが必要とされています。

文化

田舎町では豚を連れた人に出くわすことも

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

グアテマラ人は、一般的に楽天的で小さいことを気にしない性格の方が多く、いつも笑顔であいさつし、良く冗談を言う人を好みます。

そのような国民性のためか、前もって予定を立てる習慣を持っていない人も多く、例えば一週間先の予定について現地の方に相談したりすると、怪訝な顔をされたり、どうせ忘れるから直前に言ってほしいと言われることがあります。集合時間もルーズなので、現地の人と一緒に出かける時、どうしても予定通り出発したい場合は、実際の出発時間より15分から30分ほど早い時間を集合時間として伝えておいたほうが良いかもしれません。

また、人前で話をするのが上手な人が多く、大勢の人の前での挨拶をお願いすると、たとえ急な依頼であっても快く引き受けてくれることが多いです。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

グアテマラの国民食は、トウモロコシの粉で作った平たい薄焼きであるトルティーヤ、そして豆をこしあん状にして塩味をつけたフリホーレスで、この二品がないと食べた気がしない、という人もいます。

現地で最も人気のあるファーストフードはフライドチキン(ポーヨ・フリート)であり、当国の鶏肉は安価かつ品質が非常に高いことで知られています。最大手チェーンのポーヨ・カンペーロは当国のみならず米国にも店舗を展開しています。

町の食堂や一般家庭で多く食べられている料理としては肉や野菜の炭火焼き、各種の煮込み料理などがあります。当国ではアボカド・トマト・タマネギ・ジャガイモの生産量が多く、多くの料理にはそれらが材料として使われています。

トルティーヤ・鶏の丸焼き・野菜の炭火焼き

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

当国では早朝から多くの人が活動しているのを見かけます。背景として、地方では雇用や教育の機会が十分に得られないため、多くの国民が遠方から長時間かけて首都グアテマラシティに通勤・通学していることがあります。

まだ夜が明ける前からバスの停留所付近に大勢の人がおり、付近の朝食を提供する屋台で軽い朝食を摂る人も多いです。一日のメインの食事は昼食になりますが、時間が比較的遅い(14時前後)ため、学校によっては午前中に軽食を食べる時間が設けられています。夕食は、昼食にボリュームがあるせいか、遅い時間(20時前後)にパンとコーヒーなどの軽いもので済ませる人が多いと思います。

宗教に関しては、国民の大多数がキリスト教徒であり、大抵カトリックか福音派の教会のいずれかに属しています。福音派は様々な宗派があり、一つの市に数多くの教会が存在することも珍しくなく、教義も一様ではありません。

福音派の多くの教会では、信徒に対し飲酒を堅く禁じているため、信徒の中には他の宗派の信者や外国人であっても、地元の店で酒類を購入したり、レストランで飲酒したりするのを快く思わない人がいます。大きい町や観光地では特に問題はありませんが、福音派の強い田舎の地域では、悪い印象を持たれないように気をつけるほうが良いでしょう。

気候

高原のトウモロコシ畑

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

当国は常春の国と言われ、全体的に温暖な気候であることで知られていますが、地域によって大きく異なります。

太平洋に面した標高の低い地域、および北部の平原やジャングルの広がる地域では一年中暑さが続きます。一方、西部の高原・山岳地帯では朝・晩冷え込むことが多く、コートや上着が手放せません。暑い地域では、日中の日差しが強い時間に長時間行動すると体力を消耗し、熱中症になる危険もありますので、外に出る用事は、なるべく朝や夕方の暑さが和らぐ時間帯に済ませるようにするとよいでしょう。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

暑い地域ではチクングニア熱・ジカ熱といった蚊が媒介する病気が存在します。薬局やスーパーに売られている蚊取り線香、防虫スプレーを利用してなるべく蚊を避ける必要があります。就寝時には蚊帳を使用することをお勧めします。

一方、標高の高い地域では蚊の問題はありませんが、その代わりノミが多く、刺されると強い痒みが生じ、人によっては水ぶくれになることもあります。防虫スプレーを使用すればある程度は避けられますが、ノミが付いていることの多い犬や猫、およびそれらを飼っている家のソファーやベッドには近寄らないのが賢明です。

言語

スペイン語で「チーズとワイン」と書かれた看板

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

公用語としてスペイン語が使われています。グアテマラ人の話すスペイン語は訛りが少なく聞き取りやすいことから、外国人向けのスペイン語学校が数多く存在し、現地の教室にとどまらず、オンラインでも世界中の生徒にスペイン語レッスンを提供しているところもあります。

一方、地域によっては先住民族の言語も用いられています。特にマヤ系のキチェ語、ケクチ語、カクチケル語、マム語などが比較的話者の多い言語と言えます。それらの言語が話されている地域では、スペイン語が話せず、現地語でしかコミュニケーションが図れない住民の方もおられます。それらの言語については、ほぼスペイン語でしか資料が存在しないため、習得したい場合はまず先にスペイン語をマスターしなければいけません。

生活

焼きトウモロコシとアボカドは絶品

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

首都と地方で貧富の差が大きいと言えます。首都にはマクドナルド・タコベルといった米国系のファーストフード店、大きなショッピングモールがあり、物の値段も日本と大差ないにもかかわらず大勢の人でいつも賑わっています。

一方、地方では正規の仕事に就けない人が多く、最低賃金の法律もあまり守られていないため、一日働いて数百円しか得られないことも珍しくありません。地方の市場では生鮮食品や古着が非常に安く売られているので、その収入でもその日の暮らしは何とかやっていけますが、手元にお金が残らないので、ほとんど貯蓄がなく、銀行口座すら持っていない人が大勢います。そのような状況で、病気になって薬を買わないといけなくなったり、子供の学費が必要になったりして、まとまったお金が必要になり、支払いに苦慮する、といったケースをよく耳にします。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

小学1年生~6年生、中学1年生~3年生の9年間が義務教育となっていますが、中学校を卒業する年齢を過ぎても義務教育を満了できない生徒も一定数います。

その理由として、まず多くの学校は二部制となっており、午前あるいは午後のどちらかしか授業がありません。学校にいる時間が短い分、特に地方では子供が家庭内・畑・市場などでの仕事に従事していることも多く、次第に仕事が生活の中心になり学校に行かなくなることがあります。また、日本と違い義務教育でも合格点に達しない場合は進級ができないので、授業についていけないと留年となり卒業が遅れます。以前は学校に通う子供の比率がさらに低かったようで、高齢者の中には文字が読めない方もある程度の割合でおられます。

一方、首都グアテマラシティでは教育を重視する家庭のための設備の整った私立学校がいくつもあり、良い就職先を得るため大学や資格が取得できる学校に通う若者も多くいます。

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

首都グアテマラシティは治安が悪く、滞在する際には特に警戒が必要です。日本大使館周辺の比較的安全と言われている地域ですら、強盗や殺人事件が日常的に発生しています。外国人はお金を持っていると思われていますので、都市部・田舎を問わず、町外れの人気のない場所に外国人だけで行くことや、深夜帯に外出することは控えたほうが良いでしょう。

首都およびその近郊の一部地域は、パンディーヤ(ギャング)の活動エリアになっており、そのような地域に知らずに足を踏み入れると命に関わることがあります。公共交通機関で移動したり、現地で車を運転したりする場合は、行動するエリアの治安について事前によく調べることをお勧めします。

町には日用品店や食料品店がそこかしこに

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

首都グアテマラシティや国内の観光地周辺では、立地条件にもよりますが、寝室とダイニングキッチンの2部屋を借りるのに月額家賃が日本円換算で3万円以上かかることがあります。

一方、観光資源のない田舎の町では、一軒家が7500円ほどで借りられる場合も多いと思います。グアテマラの家屋は一般的に、パティオと呼ばれる中庭を中心に、その外縁に沿っていくつかの部屋、台所、トイレとシャワーブースが建てられていることが多く、それぞれの部屋へはパティオを通って行き来することになります。

朝晩冷え込む西部の高原・山岳地帯では、場所によって室内に湿気がこもり、壁にカビが生えやすくなることがあります。そのような環境で生活すると呼吸器系の疾患リスクが高くなるので、家を探す際は湿気の問題がないかどうか、十分確認することをお勧めします。可能であれば、1階ではなく2階の部屋を借りたほうが湿気を避けやすいでしょう。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

田舎の町では、大抵の場合一日に数時間しか水は出ませんが、設備の整った家では、家の地下に水を溜めるスペースがあり、そこから屋上のタンクに電気ポンプで水を汲み上げることによりいつでも水が使えるようになっています。

水質は、首都や観光地では飲用はできないものの、加熱調理に使うのは問題ないレベルの水が出る地区が多いと思います。一方、田舎の水道の水は池や川の水と同じレベルで、水と一緒に細かいゴミが混ざって出ますし、大雨が降った後は、蛇口から泥水が勢い良く出ます。

シャワーについては、蛇口から出る冷たい水をそのまま浴びる人もいますが、鍋でお湯を沸かして洗面器などでお湯浴びをする人のほうがどちらかと言えば多いように感じます。シャワーに取り付ける電熱線で水を温める装置(カレンタドール)も売られていますが、よく故障し、電気代も高くつくので、田舎では使わない人が多いです。

電気供給に関しては、前もって予告があり、日中丸一日電気が使えない日が年に何度かあります。また、予告なしに突然何十分も停電することが月に何度かあります。ガスコンロのガスは、プロパンガスのボンベを購入して利用します。なくなったらガス屋さんに電話すると新しいものを配達してくれます。

インターネットは、携帯各社が数ギガの容量のデータ通信ができるプリペイドプランを月額1,500円程度で提供しています。コロナの影響でオンラインでの活動が増えている方もおられると思いますが、週に何時間もビデオ会議をするような場合は、携帯会社の一般的なプランでは足りなくなるので、固定回線を契約したほうが良いでしょう。数メガの速度の回線が月3,000円程度で契約できます。

中庭が広くて犬も快適

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

観光客向けのレストランやファーストフードチェーン店に関しては、衛生状態は問題ないと思います。田舎の食堂を利用したい場合、衛生面に不安を感じるようであれば、利用する前に同じ町の人に評判を尋ねてみることができるかもしれません。

フルーツや生野菜に関しては、アメーバや線虫による食中毒を避けるため、大きなレストランチェーンや観光地のお店で出される、きちんと消毒されたもの以外は食べない方が良いでしょう。

それぞれの町の中心部には屋台が出ていることが多いですが、ハエが多いこともあり、衛生面で安全に食事をするのは難しいと思います。どうしても屋台で食べたい場合、最も衛生面でのリスクが少ないのは、高温の油で調理されるフライドチキンやフライドポテトなどです。なるべく揚げてから時間が経っていないものを食べるようにすると良いと思います。

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

ガラフォンと呼ばれる、約19リットルのタンクのようなものを最初に購入し、空になったら配達日に新しいものと交換してもらいます。最大手のサルバヴィーダ社の場合、1本の交換に約240円かかります。町によっては空のガラフォンを持ち込むとフィルターに通した水道水を1本75円ほどで入れてくれる店もあります。

飲用水を提供する会社は多数あり、それぞれ値段も異なりますが、安い会社の水を使っていたところ、タンクの中に線虫のようなものが泳いでいたという話も聞いたことがありますので、安全性と値段のバランスをよく考えて調達するのが良いでしょう。

伝統衣装を着て野菜を売っている女性たち

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

国内各地から首都の間を往復するカミオネタと呼ばれるバスが頻繁に運行しています。運賃はかなり安く抑えられており、コロナ問題が始まる前は80キロほどの区間に乗っても270円程度の運賃で移動できました。その代わり混雑がひどく、朝と夕方の時間帯の便は身動きができないほど乗客であふれかえっていました。

首都とその近郊では、最も一般的な公共交通手段は赤色のバスになりますが、バス強盗が頻繁に発生しており、外国人が利用するのは非常に危険です。首都にはそれ以外にトランスメトロと呼ばれる連節バス、ICカードを持っていないと乗れないトランスウルバノというバスも運行されており、これらについては比較的安全と言われています。

ただし、バス停付近での強盗被害が多いので、用心は欠かせません。さらに、運賃は高くなるものの、指定席制で安全な高速バスが首都との間で運行されている地域もあります。コロナ問題以降、各種交通期間は運行形態の変更、運賃の変更が行われているようですので、利用の際には事前に最新情報を確認したほうが良いでしょう。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

公立の医療機関は外国人含め受診無料ですが、設備、医師、医薬品が不足していますので、有料でも設備の整った私立のクリニックを受診されることをお勧めします。クリニックでの受診料に加え、発行された処方箋に記載された薬を別途購入する費用が発生します。金額は、病気の種類によって変わりますが、一般的には、日本で病院を受診した場合に、健康保険を使って3割負担で支払う金額の2倍程度を想定しておくと良いでしょう。

渡航前に、90日間の海外旅行保険(医療費の負担がカバーできるもの)が自動付帯されるクレジットカードに加入していれば、何か症状がある場合でも、カード会社に事前連絡の上で受診し、クリニックや薬局から発行される領収書を日本に帰国後に提出すれば、医療費の払い戻しを受けられることもあります。

執筆者:A.Y
執筆年月:2020年11月

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