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各国情報提供

わたしの活動エリア「ボツワナ」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

ボツワナは野生動物の王国

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

私たちはボツワナの首都ハボロネに住んでいます。南アフリカの国境から車で約三十分のところにあります。

ボツワナと聞いてもほとんどの方があまりピンと来ないのではないでしょうか?私は今40代なのですが、私と同じ世代の方なら日本でも人気となった「ブッシュマン」というコメディ映画をご存じでしょう。私も小学生の時その映画を見ましたが、ブッシュマンの映画の舞台となったのがこのボツワナという国です。

日本の1.5倍の国土にわずか200万人の人口です。私たちの住む首都ハボロネの人口は20万人です。広い国土にそれだけの少ない人口ですから、まだまだ手付かずの自然が残されている非常に美しい国です。世界シェアNo1の旅行ガイドブック「ロンリープラネット」2016年度版で訪れるべき国として栄えある第一位に選ばれたのがボツワナです。

野生動物保護区ではたくさんの種類の動物を見ることができます。保護区に行かなくとも高速道路を車で走らせているとゾウやインパラなどの動物を見ることができます。わたしは飛び出してきたキリンの家族を轢いてしまいそうになりました。ハボロネ市内でさえサルやヒヒをよく見かけます。

私たちはアフリカに来る前は中国で生活していたのですが公害の影響でいつも空は灰色でした。ところがこちらでは毎日美しい空を見ることができます。広く青い空、真っ赤に染まる夕日、どこまでも続く雲。朝起きてこの空を見るだけで気分が上がり元気になります。こちらに来て三年半たちますが全く飽きることがありません。自然や動物が好きな人にとっては最高の国だと思います。

この国には約80人の日本人が住んでいます。そのほとんどが大使館で働く方とその家族、また政府のボランティアの方々です。そのボランティアの内容は、学校や孤児院での活動のようです。

この国でボランティアをするにあたり問題となるのがビザです。政府からのボランティアとして入ってくる場合は問題ないのですが、私たちのように個人で入ってくる場合はビザ取得がかなり難しくなっています。私の何人かの友人がボランティアとしてこちらに来たのですが、結局ビザが取れなくて帰国されました。

私たちは教育関係のボランティアをしています。人々の生活の質の向上のサポートをしています。ボツワナは国連の調査による世界幸福度ランキングでワースト10に入る国です。ですから、生活の様々な面の援助をまだまだ必要としている国だと言えるでしょう。ですから私たち外国人がこの国でボランティアに携わるのは非常に意義があると思います。

文化

伝統的な木彫りの船で湿地帯を進む

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

ボツワナ人はフレンドリーで人懐っこい人々です。それで初対面の方ともすぐに打ち解けることができます。そういう面では私たち外国人がこちらに入ってきて現地の方々と共に働くための一歩を踏み出しやすいと言えると思います。

しかし彼らは非常にのんびりしています。初めてこちらに来た時彼らの動作がゆっくりしすぎているので、なんだかスローモーションのように見えました。のんびりしている性格ですので、何をするにしても時間がかかります。それで私たちが現地の方たちと働くとその仕事の遅さにイライラさせられてしまうことが多いです。こちらにはたくさんの中国人がビジネスのために来ているのですが、中国人のこなす仕事量はこちらの人の十倍と言われています。こういうことからもアジア人から見るとこちらの人がどれだけのんびりしているかわかるでしょう。

そして私たち日本人からすると彼らは仕事に対する責任感も強くありません。給料が出ると待ってましたと言わんばかりにすぐ給料を使ってショッピングや遊びに行ってしまい、次の日には仕事に来ないという従業員がたくさんいます。ひどい時には給料を使い切るまで職場には戻ってきません。そのような感じであっという間にお金も使ってしまうので、多くの方が会社に給料の前借りをしています。

ですからこちらで現地の方たちと働くと、おそらく世界で最もきちんとしているまじめな日本人にとってはストレスとなることが多いです。仕事をどのように果たすのか丁寧に説明して任せてもまずやってきてくれません。それで何度も何度も催促を入れる必要があります。そしてそれでも期限までにできないと、仮病を使ったり、電話をかけても出ずに逃げてしまったりします。後でそのことについてアドバイスを与えると子供じみたうそをつかれたり、逆ギレされたりします。こういうことが重なるとかなりストレスがたまりここでボランティアをつづけることが嫌になってしまうことがあります。

でも、そういう時に落ち着いて、もう一度自分がここにボランティアとして来た目的を考えるようにしています。いわゆる仕事ができる人たちだったらここはもっと発展していたはずです。そうできないからこそ他の国からの援助が必要で、だから私たちもこの国にわざわざ日本からやってきたわけで、もし日本人のようにできるのだったら私たちはここに来る必要がなかったことになります。時に嫌になったりしてしまうことがあるとこのようにここに来た初心を忘れないようにしています。そのようにして忍耐強くここでもボランティアを続けられるようにしています。

なんだかボツワナ人の悪口を書いてしまったような感じになっていますが、フォローするわけではないですけど私たちはこちらの人々が大好きです。ピュアな心を持っていて、なんだか純粋な子供がそのまま大人になってしまったような人々です。楽観的というかノー天気というか、陽気な彼らと一緒にいると小さなことでくよくよするのがばからしくなります。アジアの気質とは全く異なる彼らといると学ぶことも多いです。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

私たち日本人の観点からするとこちらの食事はバラエティーに富んでいません。毎日大体同じものを食べている感じです。

主食はパパ(pap:トウモロコシ粉を練ったもの)、ホボべ(bogobe:ソルガム粉を練ったもの)、サンプ(samp:ひき割りトウモロコシと豆を煮たもの)、パサパサのライス。

メインは牛肉シチュー、グリルチキン、内臓煮込み、セツワ(牛肉を煮込んで割いたもの)サイドメニューはモロホ(morogo:乾燥青菜の炒め物)、ビーツサラダ、コールスロー、かぼちゃの煮物。これらの物をローテーションで食べています。

昼時になると人通りの多い場所でランチを提供しているDijo standという屋台が始まります。先程述べたようなランチのラインナップが道端に並べられ好きなものを選びます。二、三種類選び大体1パック日本円にすると200~300円位です。

こちらならではの珍しい食べ物はモパネワームというモパネの木につくイモムシを乾燥させたものです。それをそのまま、またはトマトソースで煮込んで食べます。私は乾燥させたものをそのままいただきました。見た目がかなりグロいので、最初に食べるときはちょっと勇気がいります。しかしその味はというと、おいしいんです。カリカリしていてビールのつまみによく合います。それを食べたとき、以前どこかで食べた味だなーと感じたのですが、日本のふりかけの「ゆかり」の味がしました。私たちは日本へ帰るときはお土産として持ち帰りますが、いつも悲鳴とともに大歓迎されます。

ボツワナ人のおやつ、イモムシ!

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

キリスト教の国です。ほとんどの家庭が聖書を持っています。沢山の方が日曜日には教会に通います。貧しい方も、しっかりドレスアップをして教会に行きます。お洒落でセンスもよく、女性はカラフルな服を素敵に着こなしています。

キリスト教の文化からなのか、こちらにはほどこしの文化があります。多く持っているものが持ってない者に与えるという考えが定着しています。ですから与える側はいつも与える、受ける側はいつも受けるという構造ができあがっています。与える側はいつも寛大で見返りを期待せずに与えています。そして受ける側も特に感謝するわけではなくいつも当然のように受けています。

確かにそれは弱い立場の人を援助する寛大な行為で素晴らしいと思います。しかし、このような習慣があるので、受ける側が自立をしていくのを難しくさせている面も確かにあります。政府も外国人でなくボツワナ人がビジネスを始めるように励まし、ボツワナ人の会社を優遇してバックアップしているのですが、それでも起業して成功していくケースは稀です。人は一度受ける側で慣れてしまうと、自立するようになるのは難しいことなのかもしれません。

それで、私たちボランティアもそのことを念頭に置いて活動するようにしています。「ただ与える」という援助の仕方ではなく、彼らとともに働き仕事を教える過程で、責任感を培えるように助け、自分たちがいなくなった後もその仕事を引き継げるように訓練していくことを心がけています。

気候

首都ハボロネ市の朝焼け

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

ボツワナにはゾウやライオンがいるので年中暑い常夏をイメージされると思います。もちろん夏は暑く長いのですが、実は冬があります。冬は寒く夜間には0度になります。日本からこちらに持ってきてよかったと思えるものは羽毛布団です。

5月から10月は乾季です。乾季には全然雨が降りません。どれくらい降らないかというと、その期間ほとんどゼロです。数回パラパラっとするくらいです。ですから非常に乾燥しています。冬に乾季ですから、寒いのであまり水を飲みたいと思わないのですが、水分補給を怠るとすぐ頭痛がしてしまいます。それでこまめに水を取るようにしています。

肌もカサカサになってかゆくなってしまいますので、クリームを塗っています。以前住んでいた中国の都市はこことは全く逆で非常に湿度が高く、よく雨が降り洗濯物もあまり乾かないようなところでした。私は特に身体が強いというわけではありませんが、人間は湿気の高いところでも乾燥しているところでも、そこに住んでみるとどこでも適応していけるものだなと感じています。

健康維持のために特にしていることはありませんが、アフリカに来て三年半風邪すら引いたことがありません。私はこれまでもう二十年以上海外でボランティアを続けています。南米では腸チフスや赤痢にかかりました。中国でもよくひどい風邪をひき、なかなか治りませんでした。しかしアフリカに来てからはずっと元気です。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

アフリカと聞くとエボラやデングやマラリヤといった病気になることを心配されると思います。しかしそういう病気がここボツワナではほとんどありません。非常に乾燥していますので、それが病原菌の蔓延を防ぐのに役立っています。私たちも三年半病気にかかったことがありません。私は風邪すら引いたことがありません。

ボツワナは世界で最もエイズ感染率の高い国の一つです。エイズの感染率は20パーセントを超えています。ボツワナだけでなく、南アフリカ、レソト、スワジランドなどアフリカ南部でエイズ感染率は非常に高いです。

ボツワナ人の衛生意識は高いです。皆さん自分の住まいや身体を清潔にしています。もちろん日本ほどではありませんが、以前住んだ中国や南米よりもずっと清潔にする習慣があります。清潔にしていることも、病気になりにくい理由です。

言語

子供の落書きのような挿し絵のツワナ語教科書

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

英語とツワナ語です。こちらのほとんどの方が英語を話せます。学校でも英語で授業をされます。若い方の多くはツワナ語より英語のほうが得意です。

生活

インパラを眺めて優雅にランチ

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

ボツワナの収入格差は世界トップクラスです。ジニ係数(社会における所得分配の不平等さ測る指標)ランキングは世界三位です。

お金持の生活ぶりは日本人の生活よりずっとリッチです。私たちにもそういう友達が何人かいるのですが、家などに招いていただくとその豪邸ぶりにびっくりしてしまいます。宮殿のようなプール付きの家に招かれると、私は自分の意志でボランティアの生活を選びシンプルに生活しているものですけど、自分の生活とのそのあまりの差に戸惑うというか動揺させられてしまいます。

またそれとは対照的にとても貧しい友人もいます。給料もとても安いのに子供がたくさんいて一体どうやって生活をしていっているのか心配になり、また違う意味で動揺させられます。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

ボツワナ政府は教育制度の充実に力を注いでいます。アフリカ諸国の中でも先進的です。識字率も80パーセントを超えています。高等教育も重視されています。しかし大学を出てもよい仕事に就くことは難しいようです。

空が青い!

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

アフリカで生活していくうえで頭の痛い問題の一つが治安の悪化です。ボツワナは他のアフリカ諸国より治安がいいとは言われていますがここでも治安が悪化してきています。私の感覚では以前住んでいた南米や中国よりこちらの方がずっと治安は悪いです。街の様子は一見のどかで平和そうなのですが、実際危険なところがたくさんあります。基本的に日が暮れてからはできるかぎり外には出ないようにしています。

日中でもショッピングモールなどの人の多いところは問題ありませんが、居住区や人気の少ないところには私たち外国人だけでは行かないようにしています。必ず現地の友達と行動する必要があります。ですから行動範囲が狭くなり自分たちだけでは自由に動きまわれないところがめんどうくさく感じるところです。

住まいの安全対策もしっかりする必要があります。強盗が多いからです。私たちの家はその対策として高い塀の上にさらに電流のフェンスを張り巡らしています。そして大型犬を飼って庭に放し飼いにしています。そして現地の黒人の方と家をシェアしています。外国人だけの家だと狙われやすくなるからです。

こちらにはたくさんの中国人がビジネスのために来ています。そして彼らのほとんどがビジネスで成功してお金持ちになっているのです。もともと貧しかったり教育を受けていなかったりする人も多いのですが、中国人は商売が上手で、また恐ろしいほどのハングリー精神があるのでアフリカで様々な苦難を乗り越え成功しているのです。

ですからこちらでは中国人は商売のためにたくさんの現金を持っているというのがよく知られています。それで中国人が泥棒や強盗のターゲットになっています。やっかいなのが、アフリカの人にとって、私たち日本人もチャイニーズだということです。私たちが、ボツワナ人とザンビア人の見分けがつかなくひとくくりにアフリカ人としてみているのと同じです。それで私たちアジア系はここで安全に生活をしていくために特に注意深く行動していく必要があります。

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

ボツワナは意外だったのですが物価が高く、日本とほぼ同じか、少し安いくらいです。

首都ハボロネ市内で2LDKくらいのアパートでしたら5~8万円くらいです。もちろんもっと安いものもあるのですが、治安面を考えると私たち外国人は最低でもこれくらいの値段のするガードマン付きのアパートにする必要があります。外国人がアパートを探すのはそんなに簡単ではありません。口コミで探すのが一般的です。

伝統的スタイルのボツワナ人の民家

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

都市部では電気、水道は整っています。インターネットは1Mbpsで一か月5,000~6,000円ほどですから、高いと思います。

こちらの乾季の時期は長く、約半年続きます。その間ほとんど雨が降りません。何年か前は乾季の時期に長い断水の時があったようですが、私たちがここに来てからはハボロネにあるダムのおかげで乾季も断水などにはなりませんでした。

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

ボツワナ人は清潔にする習慣があります。それで、レストランやファーストフードは全く問題ありません。でも、外食は高く日本と同じかそれ以上します。

露店の弁当は200円から300円くらいです。それも基本的には問題ありません。

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

スーパーに空きペットボトルを持っていき、水を買うことができます。1リットル10-15円くらいです。

ボツワナの最高層ビルからの眺め

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

こちらでは日本の中古ハイエースをバスとして使っています。市内をたくさん走っています。一回の乗車は約50円です。しかし私たち外国人は治安のことを考えて基本的に乗ることはありません。

それでこちらでの交通手段として車を買う必要があります。ここの車のほとんどは日本から持ってこられた中古車です。中古車販売店で10年落ちくらいのものがたくさん出回っています。走行距離をみるとそれほど走られてないもののようですが、日本語がわかる私がメンテナンスブックやエンジンルームを覗くと以前の記録が残っていて、実はすでにかなりの距離走ったものであることがわかります。メーターがいじってあるんですね。それで状態の良い車を探すのが難しいです。カローラ、フィット、ビッツなどがよくみられます。価格はカローラが大体40万円くらいです。

私の場合、ハズレの車を買ってしまうリスクをさけて、日本から自分で持ってくることにしました。カローラランクスを持ってきたのですが、送料だけで25万円くらいしました。船便で南アフリカまでその後ボツワナまでは陸路の輸送となります。約二か月かけて無事つきました。

私たちがこちらに来る際気をつけるように言われたことが実は交通事故です。交通事故がすごく多いです。すごいスピードで酔っぱらって運転して交通事故を起こし、電柱や信号機が倒れているのをよく見かけます。

ですから交通違反を取り締まる警察もたくさんいます。違反で捕まると罰金となり、それが高いんです。一回一万円くらいです。実は私も二回ほど捕まってしまいました。といっても、スピード違反も飲酒運転もしていません。一旦停止のところの線が消えていてわからなくて、そこで捕まってしまいました。ですから私の側からすると、まんまと罠にかかってしまったみたいな感覚です。でも、そういう時に怒ってしまわずに、ニコニコしながら「ソーリーソーリー!僕は日本人だからわからなかったよ。こんどは気をつけるねー!あなたたちの仕事に感謝している。」などとフランクに話して、二回とも罰金を逃げきっています。話し合えば何とかなるというのが日本にはないアフリカの感覚です。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

この国の医療設備、医療従事者は不足しています。それで福建省の中国人の医師が国から派遣されてきています。そして数年の任期を終えた後彼らのうちの多くがこちらで開業医をされています。

私たちは首都のハボロネに住んでいますが、ハボロネは南アフリカに隣接していて、国境まで車で三十分です。それで専門医が必要な場合は南アフリカに行く方も多いです。

のんびりしてそうですが実は怖い野生のカバ

執筆者:R.Y
執筆年月:2020年9月

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