海外社会貢献者からのメッセージ
Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
7,000以上の島々から成り立つフィリピン共和国は豊かな自然に恵まれた国です。移住のハードルは高くなく、首都マニラ、第二都市のセブ島、第三都市のダバオに多くの日本人が住んでいます。
都市部では、日系企業の駐在員や、退職者、語学留学や現地採用で働く若者、NPO活用やボランティア活動、国際結婚で長期滞在している日本人も多く、現地収集や現地での日本人向けのサービスも利用しやすいので、海外移住が初めての方でも挑戦しやすい環境です。
・日本から一番近い英語圏の国
公用語で英語が使われているので、日常会話程度の英語ができれば生活に困りません。英会話に自信がない方でも、英語語学学校で格安でマンツーマン授業を受けることができ短期間で会話力が身に着けられるので、英会話力ゼロからでも飛び込みやすい環境です。
・日本から直行便があり、往来がしやすい
マニラとセブは日本への直行便があり、片道3~5万円ほどで航空券が買えます。移動距離の長い成田⇔セブ間でもフライト時間は約5時間です。日本との行き来の頻度が高い場合でも、経済的にも時間的にも負担が少なくて済みます。
・観光ビザの延長が簡単
日本人は入国時に30日の滞在許可が下り、それ以上の滞在をする場合には現地で観光ビザを延長することができます。最大3年延長可能です(2020年8月現在)。また、他の国に比べて永住者ビザの取得は預託金の金額が低いので、家族や夫婦で長期移住される方の中には、観光ビザから永住者ビザに切り替える方もいらっしゃいます。
・物価の安さも魅力
日本に比べると生活必需品や家賃・光熱費が安価に抑えることができます。日本で2ヶ月ほど全時間働いた貯金を使えば、フィリピンで6ヶ月生活することも可能です。
文化
Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
フレンドリーでホスピタリティー精神にあふれ、陽気でおおらか、家族や人とのつながりを大事にするフィリピンの人々は幸福度が高いと言われています。
世界幸福度ランキング(2017 Gallup&Win 調査)では、フィリピンはフィジー、コロンビアに次いで3位です。経済面で裕福な国ではありませんが、幸福を感じている人の比率が高く、明るい性格の人が多いです。
褒められて育つ文化で成長し、自己肯定感が強く、人前での発言やプレゼンテーションなど、物怖じせずにこなせる人が多いです。面子を重んじる文化ですから、他の人がいる所でフィリピン人の方を叱ったり、恥をかかせたりする行為は絶対にしないよう心がけてください。
対日感情については親日的といわれ、日本語や日本文化への興味関心を持っている人も多く、近年では若者を中心にサブカルチャーへの人気も高まっています。文化や考え方の違いに寛容で、日本人にとって住みやすい国だと思います。
Q. 現地の食文化はどのようなものですか?
「ご飯食べた?」があいさつ代わりになる程、フィリピンの方にとって食事は大切です。主食は米で、1日3食の他にも、間食の習慣があり、学校や職場でも間食の時間があります。何かを食べている時に顔見知りや友人に会ったら「一緒に食べようよ」と言うのが社交辞令です。ホームパーティーでは1品持ち寄り式よりも、主催者が参加者全員分のお食事を用意することが多いです。遠慮の塊で少しおかずが残った時には、ブンソ(一番年下の人)は誰?と聞いてみましょう。残ったおかずを頂くのはブンソの特権です。細かいテーブルマナーは特にありません。
フィリピン料理は全体的に油っこく味付けが濃いのですが、割と日本人の口に合います。代表的な料理としては、お祝い事に欠かせないレチョン(豚の丸焼き)やハロハロ(具だくさんのかき氷)が有名です。ゴーヤチャンプルーや豚の角煮など、沖縄料理に良く似た料理もあり、ローカルで手に入る食材を使った自炊生活には、沖縄料理のレシピが参考になります。
フィリピンでは和食が人気で、日系のレストランも多く進出しています。ローカルのスーパーでも日本食材の品揃えが年々充実してきています。都市部には日本食材専門店もあり、食材や調味料もある程度揃います。(ただし価格は2倍ほどです)
フィリピンの方はエキゾチックな食べ物への外国人の反応を見たがるので、バロット(孵化直前のアヒルのゆで卵)や、豚の血のスープ(Dinuguan)を勧めてくることがあります。食べられない方は、Ayaw!(嫌だ~)と言って逃げましょう。
Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?
フィリピンには中華系フィリピン人、スペイン系フィリピン人、ローカルのフィリピン人とそれぞれ生活習慣や宗教観が異なりますが、ここでは人口比率の多いローカルのフィリピン人について記載します。
・生活習慣
フィリピンは伝統的に母系社会で、女性の社会進出度はアジアの国の中で1位です。「かかあ天下」の家庭も多く見受けられます。人口構成はピラミッド型で子どもや若者が多く、街は活気にあふれています。お年寄りに親切で敬意を持って接する人が多いです。また、男性のレディーファーストはマナーとして捉えられているので、日本人男性は頑張りましょう。
市場ではローカル価格より高めの設定の外国人価格があります。現地の言葉が話せるようになると、ローカル認定してもらえますので、長期滞在を検討している方は現地の言葉も習得するといいと思います。
金銭面の管理はその日暮らしをしている人も多く、貯金をするという感覚があまりありません。月1回の給料支払いだと1ヶ月経たずに使い切ってしまうことがあるので、それを防ぐため、支払いは月2回(中旬と月末)に分けられています。給料日直後にはショッピングモールの人出が一気に増えます。
・宗教観
国民の90%がキリスト教徒です。南部のミンダナオ島の一部はイスラム教徒が多いエリアもあります。宗教心が強く、日曜に教会へ行くことが習慣になっている人も多いです。ショッピングモールでは決まった時間に館内放送で主の祈りが流れます。
キリスト教やイスラム教に由来した祝日が多くその影響力の大きさを垣間見ることができます。フィリピンの家庭ではサントニーニョ(幼きイエス)を祀っているのを目にしますが、このサントニーニョ崇拝はフィリピン特有のものです。
役所や病院等の個人情報記入欄には宗教を書く欄があるほどオープンで、宗教について話すことに抵抗がある人は少ないです。
・現地特有のマナー
色んな違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、分からないことは現地に長い日本人やフィリピン人の友達に聞いてみてください。現地特有のマナーの中で、予備知識があった方がいいと思う点を、ご紹介します。
【貸し借り】
フィリピンでは「貸してください」という表現が「下さい」の意味で使われることがあります。日本人からして貸したつもりでも、フィリピン人からして、譲ってもらったという認識のズレが生じることがあります。日本人特有のあいまいな表現も伝わらないことがあるので、意思確認をしっかりすることがお互いにとって良いマナーと言えるでしょう。
【プライバシー】
日本と比べると、個人情報保護やプライバシーに関する意識は低いです。フィリピンでは連絡手段としてフェイスブックやインスタグラムといったSNSが一般的です。使い方には注意が必要です。またフィリピンの方は写真が大好きで、SNSに載せたりしますが、顔出しNGの方は写真を撮った時点でそう伝えた方が無難です。
気候
Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
フィリピンは熱帯モンスーン気候帯に属し,年間を通じて高温多湿です。常夏とはいっても、1年の中で緩やかな気候の変化があり、比較的雨の少ない乾期(12月から2月),厳しい暑さが続く暑期(3月から5月),蒸し暑くなる雨期(6月から11月)に季節分けされています。
・比較的雨の少ない乾期(12月から2月)と厳しい暑さが続く暑期(3月から5月)
日本の真夏日よりも温度は高くなりませんが、外出時には日焼け止めを塗り,日傘や帽子で直射日光をさけ,こまめに水分補給するよう心掛けてましょう。
※ 4,5月がサマーシーズンで現地の学校の夏休み期間です。
・蒸し暑くなる雨期(6月から11月)
激しい雨が降ると冠水する道路が多く、衛生状態も悪化します。雨水に足がつかると、破傷風に感染するリスクがあるので、長靴を履いたり、帰宅後に足を綺麗な水で洗ったりするようにしてください。また、雨で汚染された飲食物による食中毒や感染性腸炎の流行や、蚊を媒介したデング熱も流行する季節なので蚊対策が必要です。
Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
日本にはない南国特有の病気があります。かかり易い病気として外務省のホームページ上で注意喚起されているものに下記があります。
【食中毒、デング熱、ジカ熱、マラリア、A型肝炎、狂犬病、麻疹、結核、HIV感染・エイズ,性感染症】
食中毒は細菌やウイルスに汚染された飲食物が原因で、衛生管理のなされていないストリートフードに挑戦して食中毒になる人や、水質の違いから胃腸が慣れるまでに時間がかかる人もいます。食中毒ではありませんが、マンゴーは「ウルシ科」の果物で、アレルギーを発症する人もいます。
蚊が媒介する、デング熱(重症化するとデング出血熱)、ジカ熱、マラリアは蚊に刺されない対策で感染が防げます。室内ではワンプッシュタイプの蚊除けスプレー、屋外では肌の露出面にスキンベープをスプレーすると刺されにくくなります。
狂犬病は発症後の死亡率はほぼ100%なので、動物に噛まれたらすぐに病院に行く必要があります。家庭で飼われている犬猫もすべてが狂犬病のワクチンを打っている訳ではないので注意が必要です。
言語
Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
フィリピンは100を超える言語が話されている多言語国家です。国語はフィリピノ語で、公用語はフィリピノ語と英語です。フィリピノ語は首都マニラ周辺で話されているタガログ語がもとになった言葉です。公式の場では公用語が使われますが、日常会話ではその土地の言語が使われています。
ハードルとしては、マイナー言語なので教材が入手しづらいこと、語順が独特なこと、書き言葉と話し言葉では表現が変わるので会話の実践の機会があった方が良いこと、また面子を重んじる文化なので(特に人前では)言葉の間違えの指摘をしてもらう事は少ないこと、フィリピノ語の講師はいても地方言語になると系統立てて教えることのできる講師がいないことが挙げられます。
逆にポジティブな面として、現地の言葉はアルファベット表記で、スペイン語や英語が混じっているので慣れてくればなんとなく会話を理解できるようになります。また、現地の言語の文法の型を覚えて、分からない単語は英単語を代用すれば、現地の言葉を話している雰囲気を出すことはできます。フィリピン人の方は現地語で一言挨拶をするだけでも「すごい、すごい」と褒め言葉を惜しみなく掛けてくれるので、学習のモチベーションは維持しやすいと思います。
生活
Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?
貧富の差が激しいです。多くの人がその日暮らしの生活をしています。食料や医療、教育、住居の確保のために最低限必要な世帯収入を得ていない貧困層の割合が人口の2割弱を占めています。
首都マニラの最低賃金(日給)は約1,200円で、地方都市のセブやダバオでは約1,000円です。大卒でないと就職が難しい背景もあり、路上でストリートフードや果物、花、水などを売って生計を立てている人も街中で見かけます。公的な社会福祉制度も整っているとは言い難く、ストリートチルドレンの姿もしばしば見かけます。
フィリピンは世界最大の労働力輸出国と言われ、約1,000万人が仕事を求めて海外に居住しています。国民の10人に1人に当たる在外フィリピン人労働者(OFW)の仕送りに頼って生活をしている家も多いです。
※ 貧しい人々の生活圏のスラム街には興味本位で立ち入るべきではありません。日本でも報道されて知名度のあるスモーキーマウンテン(ゴミ廃棄所でまだ使えそうなものを回収して生計を立てている人々の集落)は外国人向けに見学ツアーもありますが、個人での訪問は控えるようにしましょう。
Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?
フィリピンの義務教育は13年間(幼稚園1年、小学校6年、中学校4年、高校2年)です。大学への進学率は約35%と、そこまで高くありません。(日本の大学進学率は約55%)教育水準は経済格差が大きく影響しています。
富裕層は幼稚園から私立学校に通い、大学はアメリカ等、先進国の大学に留学する経済力を持ち合わせています。私立の学校では、初等教育から英語での授業が行われています。富裕層やエリート層の人達は、英語が第一言語で、タガログ語を普段使わない傾向があります。
一方、一般家庭や貧困層になると公立学校に通うことになりますが、教育環境は良いとは言えない状況です。子どもの数が多く、教室や先生の数が足りない地域では、2部制で授業が開講されています。学費の支払いが滞った場合や学力が基準に満たないと判断された場合は、留年・落第・退学を余儀なくされるので、やむを得ない事情で義務教育を修了できない子どももいます。学校では英語の授業もありますが、首都圏ではタガログ語、地方ではその地方の言語で授業が行われています。
※ 子どもたちに「何年生?」と尋ねるのはデリケートな質問になる可能性があるので、「何歳?」という聞き方の方が無難です。
Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
フィリピン国家警察が発表した全国犯罪統計によると、2019年の殺人事件の発生数は日本の約7.5倍、強盗事件も約7.5倍です。一般的に裕福と見られている外国人は、金品目当ての軽犯罪に巻き込まれやすいので注意が必要です。
・邦人が被害に遭う犯罪例
一般的な強盗(ひったくりを含む)、睡眠薬強盗、ホテル,銀行,所属企業の強盗被害、タクシー強盗、車両強盗(車両強奪)、スリ,置き引き、子供の集団によるスリ、いかさま賭博、女性に対する性犯罪等。
・安全対策
なるべく目立たず、周囲の環境に溶け込む。習慣的な行動は避ける。個人情報の管理を徹底する。外出する場合には常に周囲の状況に気を配る。所持品から目を離さない。万一の状況発生に備える。海外旅行保険に加入する。
在フィリピン日本国大使館が作成している「フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)」に詳しい記載がありますのでご参照ください。
フィリピンにおける安全対策(安全の手引き)
https://www.ph.emb-japan.go.jp/files/100020574.pdf
Q. 現地の住居や住環境の様子はどうですか?
外国人がある程度快適に過ごせ、安全が確保できる住居レベルは、フィリピンの中高所得者向けの物件になります。一軒家よりもアパートやコンドミニアムを選ぶ日本人が多いです。
・契約は簡単
前払いは家賃の3ヶ月分が相場です。保証人が要らないので契約は簡単です。家具・家電付きの物件も多く、短期の下見もしやすいです。
・セキュリティー
一軒家や低層階のアパートでは窓からの泥棒の侵入を防ぐため、窓枠に鉄格子がつけられている家が多いです。窓用エアコンの取り付け穴は人がくぐれるサイズなので、入居してすぐにエアコンを設置するか、穴を板などでふさぐようにして下さい。
・住むエリアも重要ポイント
バランガイと呼ばれるエリアで町の区画分けがされています。バランガイ内かつ徒歩圏内にスーパーや薬局があと緊急時に安心です。(コロナによるロックダウンではバランガイ外への移動が制限されました)
・ご近所トラブルはある程度寛容に
フィリピンの方は一般的に日本人よりも音や臭いへの耐性が強いです。年中夏の国なので窓を開けっぱなしにすることも多いですが、夜中に野外カラオケの音が響いていても現地の方は気にならない様です。鶏を飼っている家も多く、鳴き声に慣れるまでにしばらく時間がかかるかもしれません。
・トイレとシャワールームが一体型
タイル張りの1区画にトイレとシャワールームがあることが多いです。ローカルの家になればなるほど造りがシンプルになり、温水器もシャワーもなく蛇口だけのところもあります。
Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
インフラ事情は場所によって格差があります。外国人が多く住むエリアのインフラは普段の生活に支障がないレベルですが、ちょっとした台風や地震でインフラが麻痺することがあります。
・水道
地区によって水圧のばらつきがあり、水圧が弱い場所では日常的に断水に悩まされています。また人口増加の激しいマニラ首都圏では水の供給が追い付いておらず、1日に数時間断水することもあります。急な断水に備え、バケツに水を貯めておくと安心です。
・電気、ガス
普段の生活に支障はありませんが、悪天候時に停電が発生することがあります。発電機が設置されているアパートやコンドミニアムでは数分後には復旧しますが、そうでないところでは熱帯気候の中、不便を強いられることになります。懐中電灯や電池で動く扇風機があるとしのぎやすいです。ガスはガソリンスタンドで交換・配達依頼できます。
・インターネット
日本とフィリピンのインターネットの速度を比較すると、フィリピンのネットは遅いです。光回線もありますが、対応地域は都市部のごく一部で、基本DSL回線です。配線工事が必要になる場合、大家さんの承諾が必要なので、それも踏まえ物件探しをしましょう。
Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
ショッピングモール内のレストランや大手ファーストフード店の衛生面は問題ありません。露店や簡易食堂の衛生状態はあまり良くないので、ローカルの人や現地に長い日本人がおすすめするお店以外での飲食はできる限り避けましょう。
・水
レストランやファーストフード店、露店を問わず、ほとんどの飲食店で無料提供されるサービスウォ-ターは簡単なフィルターを通しただけの水道水で、カルキの臭いと独特な味がします。有料の水を注文しましょう。
・フォーク、スプーン
フードコートや手頃な価格帯のレストランでは、フォークとスプーンは熱湯の入った容器にさしてあり、セルフサービスで取ります。使う前にティッシュでよく拭きましょう。
・食べ終わった後のマナー
ファーストフード店にはトレイ返却場所にゴミ箱もあるのですが、片付けをせずにほったらかしのまま去る人がほとんどです。空いている席に案内されてもテーブルの上にゴミが放置されていることは多々あります。(待っていれば店員さんが片付けてくれます)
・余った食事のテイクアウト
フィリピンでは食べきれなかった分をテイクアウトできます。テイクアウトのおかずの管理は自己責任です。持ち帰って頂くときには、ちょっとでも味に違和感を覚えたら食べないようにしましょう。
・その他
日本人の感覚として、アリがテーブルにいたり、ハエが飛んでいたりすることはカルチャーショックだと思いますが、熱帯の国なので虫は不可避です。すぐに慣れると思います。屋外式のレストランや食堂も多く、蚊対策に虫よけスプレーを持参しておくと便利です。
Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
水質の問題や、浄水設備の不備などが理由で水道水は飲めません。飲用の水は別途購入する必要があります。家庭用の浄水器で対応できないので、水専門の業者に注文して飲用水を調達します。
水は、ウォ-ターサーバに取り付け可能な1ガロン(約3.8L)のサイズのウォーターボトルに入っています。1人暮らしで自炊生活であれば、目安として1週間に3本で足りるかと思います。ローカルの業者で3本220円~300円ほどの価格帯で販売されています。
・業者の選び方
業者によって水の品質にばらつきがあります。営業許可をきちんと取っていて、バクテリアテストをクリアしている業者を選ぶようにして下さい。浄水設備もしっかりしているところもあれば、簡易なものを使っているところもあるので、要チェックです。
※ 大手水業者のWilkinsや、Nature Springの水は1本約150円と割高ですが、安心して飲むことができます。
・購入方法
初期費用として、ウォーターボトルの購入代がかかります。1週間3本消費目安であれば、4本用意しておくと、空のボトル3本の交換がしやすくなります。水代と配達代は代引きでの支払いです。時間通りに配達がこないことが多いので、管理人がいる場合は受け取りをお願いしておくとストレスフリーです。
Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
フィリピンでは自家用車を維持できる経済力のある家庭はまだ少ないこともあり、利用できる公共交通機関の選択肢の幅は広いです。フィリピン都市部であれば、車がなくても生活圏内の移動手段には困りません。
・タクシー
タクシーは24時間稼働しています。
空港やショッピングモールから乗る時はタクシーレーンに並び、係員からタクシーのナンバーを控えた紙をもらいます。(クレームや置き忘れをした時の連絡用)
配車サービスアプリのGrab car/taxiが導入されてから、より安心して利用できるようになりました。流しのタクシーでありがちなメーターのごまかしやぼったくり、遠回りといったトラブルも、配車サービスを利用することで回避できます。初乗り運賃は日本円で100円ほどです。
・ジープニー(ジープやトラックを改造した乗り物)
フィリピンを代表する乗り物といえば、ジープニー。明確な乗降場所が決まっておらず、ルート上の停まれるところであれば、どこでも乗り降り可能という便利な乗り物です。(急発車、急停止に要注意です。)初乗り運賃は約20円です。車内はオープンエアーのため、排気ガスが気になる方にはマスク着用をお勧めします。
・トライシクル(サイドカー付きのバイク)
ジープニーが走らない脇道で活躍しているのがトライシクル。運賃は約20円で、5キロほどの区間を運行しています。大型バイクの横にサイドカーがついている乗り物で、バイクの後ろに2人、サイドカー部分に最大4人乗ります。1,2キロほどの細道ではトライシカッドと呼ばれる、サイドカー付きの自転車(最大4人乗車)も活躍しています。
・中長距離バス
バスターミナルから中長距離バスに乗ることができます。エアコンの有無で運賃が違いますが、エアコン付きのバスの方がより快適です。(車内は冷えるので、羽織る物の持参をお勧めします。)
※ その他、メトロマニラには、LRT、MRT、PNRという3種類の電車があります。
<注意点>
フィリピンは、大雨が降ると冠水する道路も多くあります。その為、雨の日の渋滞はラッシュアワーの渋滞よりもひどく、通常30分で移動できる距離が雨天時には2時間ほどかかることも。乗客も殺到するので、雨が降り出しそうな気配を感じたらすぐに移動を始めるのが賢明です。
公共の乗り物では、金額の大きいお札での支払いは敬遠されます。(お釣りが用意できないと言われることもあります)。出かける前に、細かいお金(小銭や20ペソ、50ペソ札)を準備しておきましょう。
<自家用車について>
※ ボランティア活動では、生活圏内よりも広いエリアを網羅するため、自家用車の購入が推奨される都市もあります。
中古車の価格は10年落ちの車でも高額で売買されています。車検がなく、整備状態が悪い車もあるので、車選びは慎重に。
※ セダンやバン等を一日単位や月単位でレンタルする方法もあります。オプションで運転手付きを選ぶことも可。
Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?
マニラ首都圏や都市部では近代的な設備を整えた私立総合病院で最先端の医療を受けることも可能です。私立病院ではアメリカで医療技術を磨いてきた経歴を持つエリート層のドクターも多数在籍しています。都市部と地方の医療水準の格差が大きく、地方の公立病院では安心して医療が受けられる水準ではありません。
・医療費について
医療費は、保険に加入していない場合、全額負担となります。私立病院での医療費は高額です。(例:胆石症の検査入院1泊2日で約5万円)
・保険について
フィリピンでは,保険や実費で治療費を負担できないことがわかると診療を断られることがあります。治療費や緊急移送費は高額なので、十分な補償額の海外旅行保険に加入しておくとよいでしょう。
保険選びでは、キャッシュレス診療に対応している保険がお勧めです。医療費を立て替える必要がなく、手続きがスムーズです。
・ジャパニーズヘルプデスク
「ジャパニーズヘルプデスク」では、適切な専門医の予約、通訳、キャッシュレス手配、処方箋の日本語訳といったサービスが受けられます。提携先の病院では、キャッシュレス診療が受けられます。(対象保険の加入必須)その他のメリットとして、「ジャパニーズヘルプデスク」を通すと、入院中は完全看護な上、空きがあれば優先的に個室に案内してもらえます。
※ 一般的にフィリピンでは入院時に24時間付き添いが求められ、付添人が点滴や薬などの買い出しを任されます。
キャッシュレス対応の保険や病院の詳細については下記をご参照ください。
【ジャパニーズヘルプデスク】https://www.j-helpdesk.jp/philippines-hospital-list/
フィリピンの首都マニラにある、マニラ日本人会診療所には、日本人医師が駐在しています。日本語で診療が受けられます。
【マニラ日本人会診療所】https://jami.ph/clinic/
執筆者:阿部桂子
執筆年月:2020年8月