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各国情報提供

わたしの活動エリア「ボリビア」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

ウユニ塩湖は世界一のリチウム埋蔵量。そして世界一平らな場所とも。

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

正式国名は、ボリビア多民族国。南アメリカ大陸のほぼ中央に位置する内陸国です。ペルー、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの5ヶ国に囲まれています。標高4000メートルからなるアンデス山脈や、ブラジル国境付近の熱帯雨林など、多彩な自然環境に恵まれています。国土面積は日本の約3倍、人口は1100万人強です。

発展途上国ゆえ、ボリビアは海外からの非常に多くの支援を受けてきました。JICAやアララヤ財団など、子供たちへのスポーツ・学校教育を提供する団体があります。ここモンテアグードでも、ヨーロッパからボランティアとして来て、貧しい子供たちを収容している施設で教師として働いている人を何人か見かけます。

旅行者たちは、ラパスのチチカカ湖、ラパスからユンガスへ下る『camino de la muerte』(カミノ・デラ・ムエルテ=死の道)、ウユニ塩湖、ロボレの『aguas calientes(アグアス・カリエンテス=温泉)、アルゼンチンとの国境、ブドウの産地でワインが有名なタリハなどを訪ねるでしょう。

ボリビアには日本から移住したたくさんの日系人がおられます。首都ラパスには、日本人協会があり、サンタクルスには、沖縄出身の移住者たちが集まったオキナワという町や、九州出身の移住者たちが作った、サンフアン日本人移住区もあります。

またボリビアにはたくさんの伝統文化が残っています。ラパスやスークレでは、アイマラ族の女性たちが普段着としてpollera(ポジェラ)と呼ばれるボリュームのあるスカートを履いています。長い髪を三つ編みにし、山高帽をかぶり、色鮮やかなショールを付けています。同じアイマラ族の人たちはアグアヨと呼ばれるリャマやアルパカ、羊の毛を鮮やかな色に染色して織った風呂敷の分厚いものをよく使います。テーブルクロスになったり、子供をおんぶするのに使ったり、リュック替わりになったりします。さらに、フォルクローレ音楽の本拠地とされているボリビアでは、小学校からサンポーニャやケーナ(木製の管楽器)、チャランゴ(ギターの小さい版)を習います。

文化

二つの首都を持つボリビア。こちらは憲法上の「スクレ」(行政上は「ラパス」)

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

ボリビア人は一般的に人なつっこく、陽気でおおらかです。最初にあった人でも、歓迎を込めてハグ、女性同士や、男性から女性には握手のほかに頬と頬を合わせたキスが普通のあいさつです。たまには、ひげをきちんと剃っていない男性からキスを受け、「ジョリジョリ」なんてことも。

おおらか、という点に関して言うならば、なんでも前もって計画する日本人とは相反して、行き当たりばったりだったり、突然招待されたり、予約や計画がドタキャンなんてことも多々あります。一緒に何かを計画すると、私が気をもんで「早くしないと・・・」と焦っている時、彼らは「今やるから大丈夫」と落ち着いています。それで何とかなっていくところが柔軟なボリビア人のすごいところです。逆に、残念なのは、計画性がない分、その日暮らしの家庭が多いことです。私が個人的に受け入れにくく感じたのは、Hora Boliviana(ボリビア時間)です。時間に遅れてくるのが普通で、5分前行動を徹底して教えられてきた私にはカルチャーショックでした。ちなみに15分くらい遅れは「時間通り」の範疇に入ります。だいぶ私も慣れてきて、時にはあえて遅れて行ったりします。

また、南米特有とも言えると思いますが、パーティーが好きで、結婚式を始め、結婚記念日、卒業式、誕生日などには場所を借りて招待状を作りカメラマンやピエロを雇ってなど、大がかりです。時にはマリアッチを呼んで生演奏を披露したりします。パーティーにつきものなのがダンスで、それぞれの民族音楽はそれぞれの踊り方、衣装、靴や帽子があります。大体どんな音楽が流れても、それに合わせて体を動かし、何時間も、時には夜中過ぎまで踊ることもあります。音量が大きすぎて会話ができないので、私はそんなパーティーは意味がない、と思っていましたがパーティーに行って座っているのはこちらではタブーです。ぜひ、体を揺らしてみてください。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

ボリビア人にとっては、昼食がメインです。レストランに行ってランチを頼むと、軽いラーメンのようなスープと、メインディッシュが出てきます。ピラフのようなご飯にお肉、ジャガイモ(ゆでたりフライにしたり)、レタス、トマト、キュウリなどが一切れずつ。サラダを食べる習慣はあまりなく、炭水化物の多い食事です。朝と夜は、パンとお茶またはコーヒーなど軽いものが多いです。夜の7時に招待を受けて行ったら、菓子パンのようなスナックとお茶を出していただいて、帰ってきてからもう一度夕食を食べたことがあります。

牛肉、鶏肉、豚肉、川魚のほかに、ラム肉、リャマの肉なども食べます。ジャングルの地域ベニでは、アルマジロや、ピラニアなども食べます。衝撃だったのは、チューニョです。ジャガイモを足で踏みつけて“洗い”、乾燥させて保存し、食べるときにもどして使います。気のせいか、ほかの人がチューニョの付いてくる料理を頼むと、ウェイターが通った時、異様な匂いが・・。

ボリビアはフルーツがたくさん栽培されています。ぜひバナナを食べてみてください。甘い!!! 珍しい果物としては、チリモヤ、カムカム、大きなさやえんどうのようなパカイ、アチャチャイルなどがあります。

南部タリハ名物「サイセ」
細切れマカロニと千切りレタスが特徴的

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

ほとんどのボリビア人はカトリック教徒です。日曜の朝に教会の鐘が鳴り、みんな聖書を持って入っていきます。たいていどの町でも、教会の目の前には大きな公園があります。カトリックの祝日には、キリスト像やマリア像を掲げて通りを行進しているのが見られます。また、墓地のそばを通るときに十字を切ったりもします。

今住んでいるモンテアグードという町に来て初めて経験したのですが、誰かとすれ違う時に、声を出してあいさつすることが期待されます。おはようございます、の代わりに、como esta?(コモ・エスタ?=元気ですか)を使うひともいます。その場合は、特に答えを期待しているわけではありません。町が小さければ小さいほど、これは言えます。反対に都市部では、すれ違っても挨拶などしません。この傾向は、日本と似ていると思います。田舎に行けば行くほど、人間味のある対応が見られるのです。また、何かの集まりに行くと、日本なら、こんにちはとお辞儀をしてみんなに挨拶したことになりますが、こちらは、一人ひとりに握手とキスをします。帰るときも、一人ひとりにお別れのキス。結婚式なども同様で、新郎新婦は出席者全員に一人ひとりハグをしなければなりません。ニコニコし続けて、頬が痛くなってしまいました。

これはいい習慣だと思うのは、お客さんが来ると、まず椅子を出し、冷たいジュースを出します(時には子供たちが注いで持ってきてくれる)。お昼の時間になったりしたならば、ご飯まで出してくれます。「(スープには)塩と水を足せばいいからね」、「3人食べられるのなら5人食べられる」というのが彼らの考え方です。寛大です。また、自分が食べなくても、お客さんには食べてもらうという利他的な精神も持っています。自分が飼っている豚を、自分たちのためには締めないのに、お客さんやほかの人のパーティー用にあげたりします。

シエスタという言葉を聞いたことがあるでしょうか。昼寝のことです。特に日中暑いサンタクルスなどでは、遅めの昼食を家族みんなで取った後、ハンモックやソファーに横になります。3時ころまではお店なども閉まってしまうことがありますので、ご注意ください。(笑)

気候

ボリビア最高峰イリマニ山(6439m)
現地アイマラ語で「黄金のコンドル」の意味

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

日本とは違い、四季ははっきり分かれてはいません。南半球なので日本とは逆で、6月から8月までは少し気温が下がり、11月から2月までは暑くなります。気候は土地によってもかなり異なります。高地のラパスでは、朝晩の冷え込みが強く、霜が降りることもあります。日中日が照っていても大抵の人はセーターかコートを着ています。平地のサンタクルスでは、午前中だけで着替えないといけないくらい暑いです。気温が40度まで上がることもあります。男性が上半身裸で家の中をぶらついているというのはよくあることです。

サンタクルスのような区域に住むならば、いつもペットボトルの水またはジュースを持ち歩いて、水分補給に気を付けます。また、サングラス、深めの帽子、日焼け止め、日傘、虫よけも必要です。日本とは蚊の種類が違うので、刺されたときに腕や足が腫れてしまったり、デング熱にかかったりしてしまいます。肌の敏感な方は、長そで長ズボンを着用したほうが、虫よけよりも効果的かもしれません。

ラパスやウユニへ行くならば、高山病を予防する薬を飲む必要があります。高地に着く6ないし8時間ほど前に飲み始め、8時間おきに飲み続けるとよいでしょう。飛行機でラパスに到着する場合、機内から出てすぐ、不調を訴える方も多く、ひどい場合には酸素ボンベなども必要です。また、空気が乾燥しているため、リップクリームやハンドクリームを常時携帯するとよいでしょう。

長期滞在を考えているなら、自分の体調に合わせてどこに住むかを決めることをお勧めします。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

ボリビアへ旅行、移住を考えている方は、ぜひ、B型肝炎、破傷風、狂犬病、黄熱病、腸チフスなどの予防接種を受けることをお勧めします。日本とは違い、放し飼いの犬がたくさんいて、何匹も一緒に来られて吠えられると、怖くなってしまいますが、犬は怖がる人を察してかみついてくるそうです。逆に犬が好きで吠えられてもおびえない人は噛まれません。

外食の点でも取り上げますが、サルモネラや腸チフスや消化不良を起こさないためには、何を食べるかどこで食べるかに注意する必要があります。もしおなかを壊したら、熱がない場合は水分補給に努め、胃を休めましょう。でも、熱やひどい痛みがある場合には病院へ行ってください。ただの胃炎と言われて処方された薬を飲むより、血液検査をお願いしてから薬をもらうほうが良いです。この点は後で医療水準に関連して取り上げます。

平地のサンタクルス、ベニなどではマラリアや、デング熱も多く見られ、入院した日本人も多くいます。デング熱の場合は、かかっている患者を刺した蚊が私たちを刺すと感染するので、虫よけや長袖、首を隠す薄いスカーフなどを重宝します。ここモンテアグードでは、マリウィという小さなテントウムシみたいな虫がいて、刺されても気づかなく、なんかかゆいなあと思うと血が吸われていて、これは蚊よりもっとかゆいです。我慢できなくて掻いてしまう人は、ふくらはぎが傷だらけなんてことも。  

地方によっては、蛇にかまれたり、ピラニアにかまれたり、ということもあります。

言語

チェ ゲバラ・ルートとしても有名な観光地「サマイパタ」の多言語案内板

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

公用語はスペイン語です。空港の表示などは英語でも書いてあります。他にも、ケチュア語、アイマラ語、グアラニー語など地方語が多数あります。最近は小学校でこうした現地の言語を教科として取り入れているところが多いです。

スペイン語の楽なところは、ローマ字読みできることです。意味が分からなくても朗読は上手にできます。また英語の単語と似ている単語も多くあります。また、同義語がたくさんあるので、一つのことを言うのに様々な言い方ができます。私にとって特に難しかったのは、動詞が人称、時制によって変化することです。これは暗記しても、不規則な活用があるので苦労します。

また、一言にスペイン語といっても、メキシコ人やチリ人のスペイン語は聞いていてもわからないことがあります。スペイン人のスペイン語はもっと分かりません。映画などを見て言語を習得しようと思うならば、“español”(エスパニョール)を選ぶとスペインのスペイン語なので、南米のスペイン語を学びたい場合は、“castellano”(カステジャーノ)を選んでください。

スペイン語を学んでいくと、日本で使われている車の名前が実はスペイン語だったということに気づくかもしれません。例えば、ディアマンテ、ミラ、シーマ、フーガ、ファミリア、ドミンゴ等々。興味のある方、ぜひこれらの単語を調べてみてください。

生活

高地で最もポピュラーな家畜「リャマ」

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

どこの国でもそうかもしれませんが、貧富の差がかなりみられます。最大の都市サンタクルスでは、フォルクスワーゲンやBMWなどの外車、新車がバンバン走っています。プール付きの家に住み、お手伝いさんを持ち、毎日夜は外食、という贅沢ができるくらい裕福な人もいます。また一方で、車の修理工場、建設といった肉体労働をして、安い日当(1300円前後)を稼いでいる人もいます。さらに、自営でジュースやパン類を作り、道に出て売りに歩いている奥さんたちもいます。(特に栄養士の資格がなくても売れます) また、ほとんどの人が、銀行から借金をして車や家、または事業の資金などを得ているので、はた目には裕福に見えても、実は借金だらけという場合もあります。

私のいるモンテアグードという町は人口3万人くらいの小さな町ですが、たいていの人がもっと田舎に土地や家を持っていて、牛や鶏、ミカンやオレンジの木といった収入源があります。自分の庭に畑や果樹がある人たちは、一輪車に収穫物を載せてマーケットの通りまで行き、道端に座り込んで売ったりもしています。市場の中よりも安く新鮮なので、私は行きつけのおばちゃんがたくさんいます。

私にとって最低限必要な家電製品といえば、冷蔵庫、洗濯機、湯沸かしポットなどですが、こちらでは、冷蔵庫や洗濯機を持っていないのに大きなテレビを持っていたりします。これはお金がないというよりも、手で洗濯し乾かすのに一日中かかるのを時間の無駄とは考えず、それが主婦の務めと思っているからこそ、洗濯機はぜいたく品なのです。

買い物の仕方で興味深いのは、皆さんほとんど毎日買い物に行くということです。その日に使う、お米1キロ、肉1キロ、野菜をちょっとずつ、マッチひと箱、コーラを一本などです。冷蔵庫がないとか、日当をもらう人が多いからかもしれません。また、「つけ」の習慣がまだあって、ノートに手書きで毎日いくらいくらと書いてもらい、お給料をもらうと銀行に月々の支払いをし、お店のつけをまとめて払ってもう手に入ったお金が無くなってしまうので、またつけてもらう、という繰り返し。近所のお店などで、「滞納者リスト」なんて見たこともあります。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

今となっては、小学校から高校卒業までが普通ですが、年配の女性に聞くと、以前は「女性がなんのために読み書きが必要なんだ?好きな人に手紙書くためか?」と言われ、学校には行かせてもらえなかったという人がたくさんいます。自分の名前さえ書ければいい、という感じだったそうです。学校は、午前中だけか午後だけなので、日本の授業時間の半分。公立学校では、英語を教えてはいるもののスペイン語読みで教えているので、「鼻は英語で何というの?」と聞くと、“No se”(スペイン語では『ノ・セ=知らない』という意味)「英語話せるならこれ教えて。“イロベ ヨウ”って何?」(I love youのことです)なんてこともあります。

義務教育ではないので小学校から留年があって、それを防ぐために先生が夏休みなどに生徒を集めて授業をしたりし、その後もう一度テストをして点数が良ければ次の学年に進めます。それでもダメな子は、もう一年やり直し。大学でも、この第二のチャンスというのがあるらしく、いつも教師がはっぱをかけて頑張らせるという雰囲気があります。ちなみに夏休みは2か月、冬休みは2週間(でも寒い日が続くと冬休みも1か月まで延長あり)です。お勉強はあまり得意じゃないのかもしれませんが、その分小さいころから売りに出たり見習いとして働いたりと、生活力はあります。

音楽の授業では、楽譜を読むことを教えていないので、サンポーニャなどを吹ける人は聞くだけでその音をまねして覚えているそうです。そのほうがすごい。

仕立て屋を別にするとミシンを使える人は少なく、裁縫よりも編み物を学んでいるようです。自分で帽子やセーター、ショールなどを編んでいる人を良く見かけます。

現地の学校ではスペイン語の他にケチュア語やアイマラ語での授業も

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

私が初めてボリビアに来る前、「ボリビア人は何でも盗む、扉、トイレの便器とにかく何でも。人を見たら泥棒と思え」と言われました。どんな国なのだろうと思いましたが、ここ20年の間スリに逢ったことは一度もありません。でも、外国人は泥棒のターゲットなので、親切なふりをして、荷物持ってあげるよ、なんて言われたら注意!そのまま持っていかれてしまうかもしれません。

また両替は必ず銀行でしてください。ダウンタウンには、両替屋とか、「両替ーー」と歩き回っている人もいますが、大抵は泥棒で、お金を数えながらお札を引き抜いたり、偽札を渡されたりします。

一度引っ越しを手伝ってくれた人が、トラックの荷台に家具と一緒に座り、全部荷物を降ろしてみたら物が盗まれていたということもありました。スリは実にプロで、グルになってバスに乗り込み、一人がこちらの気をひいて(ジュースをこぼすとか)いるうちにもう一人がカバンをカッターで切ってお金や携帯をとるという手口があります。

また偽警察には一度やられました。「パスポート見せろ」と近づいてきて、「麻薬の検査をしている。ちょっとこっちに付いて来い」と呼ばれて付いていくと、もう一人の“ペルー人”も呼ばれて3人でタクシーに乗せられました。タクシーの中では財布に麻薬を隠す人が多いだとかで、財布をチェックされ(もちろんお金を取られています)時計も見せろ、と匂いをかがれ、一緒に連れていかれた“ペルー人”は疑いもせず財布を渡し、時計を渡し、身に着けていたお金の束も渡し、その後「お前たちは降りていい。君は残れ」と、私たちは車から降ろされ、“ペルー人”はタクシーで連れていかれてしまいました。「なんて浅はかな・・、全部身ぐるみ取られちゃった」と私たちは彼のことを心配していたのですが、実はおとりだったことが後でわかりました。大使館の出している情報に、他の手口についても載っていますので参考にできます。

気を付けるべきこととしては、お金を一つの場所に全部持っておかない、つまり、ポケットに少し、ハンドバッグに少しなど。手提げより、ショルダーバッグを斜めがけがおすすめです。また、変に迷っている雰囲気を出さない事。慣れるまでは知り合いの現地の人に買い物なども付き合ってもらうといいかもしれません。こちらの顔を見て値段を上げてくるので、だまされないように他の店にも同じものの値段を聞いてみてから買うというのも一つの手です。

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

月払いの家賃と、アンティクレティコという制度があります。家賃の場合は、大抵敷金がとられます。後者の制度は、100万円など、まとまったお金を渡すと契約期間中はただで住めて、出るときにお金を返してもらえるというシステムです。大家さんは、利子を払わずに借金ができる形になります。ただ、お金を返してもらえなかったケースや、次の人が入って初めて返してもらえるというパターンも多いので、注意が必要です。

こちらのアパートというのは、長屋のようで、4,5部屋ずらーっと並んでいてそこに住む人全員でトイレとシャワーを共同というのが典型的です。その場合、キッチンはなく、外の水道から水をバケツなどに運んでくることになります。入口の扉と唯一の窓が同じ側にあることが多いので、風通しは非常に悪いです。または、Departamento independiente(=日本でいうマンション)も最近は増えてきて、2DKのトイレ付などは、150ドルくらいで見つかるかもしれません。それでも、自分の家に入る前に大家さんの敷地を突っ切っていかないといけない場合もあり、完全に独立しているわけではないかもしれません。逆に一軒家を借りた場合は、自分が旅行した時に泥棒に入られるというデメリットもあります。こちらの人が旅行する時は、鍵を誰かに預けて、空き巣になっているという印象を与えないようにしています。

水洗トイレはありますが、バスタブはありません。トイレとシャワーが大体同じ部屋にあります。暑い気候の地域は水シャワーしか出ないことも多く、熱いお風呂に慣れている私たちにとっては過酷です。大家さんに頼んで、電気シャワーを取り付けてもらうこともできますが、電気代が上がるとクレームが来るかもしれません。(メーターが共同の場合)これは結構トラブルの原因で、エアコン、洗濯機、電気ポット、電子レンジ、扇風機なども持っていることがばれると家賃や電気代を引き上げられるかもしれません。

現代の一般的な家はレンガ造り
突き刺さったパイプたちは雨どい代わり

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

都市部では電気、水道がない区域はほとんどありません。でも、停電と断水がしょっちゅうあります。停電が原因で家電がショートしたりするので、こちらでestabilizador(電圧安定器)を購入するとよいでしょう。ボリビアの電圧は220vなので、日本からドライヤー、炊飯ジャーなど持ってくるなら、変圧器も必要です。断水がよくあるのは、水道管がすぐ破裂してそれを直すまで水が止められてしまうからです。または、大雨が降り、川が氾濫して泥が水源をふさいでしまうと何日も水がないこともあります。私は常にペットボトルなどに水をためておくようにしています。

市ガスはあまり普及していないところも多く、大抵はガスボンベを買って使います。ただ、料理の途中でガスが無くなってしまうと空になった重いガスボンベを持って近くの店まで行き、帰りはもっと重いガスボンベを持って来ないといけません。これはとっても大変なので、ボンベを2個持っておくと便利です。

インターネットに関してですが、都市部では月払いのWi-Fiがあります。今回コロナウイルスの影響で学校の授業などもビデオ会議アプリを使って行われているので、無制限のWi-Fiはぜいたく品ではなく必需品になりつつあります。携帯会社も3つあって、それぞれ4Gが使えるSIMカードです。特に難しい登録などは必要ではなく、身分証明書さえあれば手に入ります。一番電波が遠くまで(田舎まで)届くのは、ENTEL(エンテル)という会社です。

田舎に行くと、下水道設備が整っていない場合もあり、一般排水は庭の一角に掘ってあるタンクに一時的に入り、そこから少しずつ地中に染み出していきます。台所排水は別で(一緒だとすぐに一杯になってしまうため)、地中の細い管を通って敷地の外の道路に垂れ流しです。それは蚊やハエの繁殖を促すので家を探すときにその点を注意してください。

ここボリビアでは、ごみの分別はしません。すべて一緒にビニール袋に入れてごみトラックが来た時に持っていってもらいます。リサイクルは行われていません。日本の3倍もの面積があるのでごみを捨てる土地もまだあるのでしょうか。

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

ボリビア料理を試してみたいと思うなら、現地に住んでいる外国人にどこが安全か聞いてみるといいかもしれません。普通のレストランでは、野菜が消毒されていなかったり、古い油を使っていたりするので危険です。少し値段が高めでも、評判の良いレストランを探しましょう。たいていの日本食レストランはその点安全です。刺身を食べても大丈夫です。でも、中華料理店はそうとも言えません。

鶏肉、豚肉、牛肉、魚のオプションがあるなら、豚と魚は避けたほうがいいかもしれません。豚肉にはトリキナ虫がいることが多く、魚は‟新鮮”の基準が日本とは違います。

また市場でカートを押してジュースやアイス、時には鶏のから揚げなどを売っていたら、買わないでください。もし、現地の人が、おごってあげるから一緒に飲もうと言ってきたら、丁重にお断りするほうが無難です。もし、誰かの家でランチに呼ばれたら、生のサラダはやめておきましょう。ジュースとソーダが出てきたら、ソーダのほうが安全です。または、いつも水を持ち歩いて、ジュースを断る口実にもできます。これは個人的なアドバイスですが、もし長期滞在を予定しているなら、少しずつジュースを試していき体に免疫を付けることもできます。

高地から熱帯雨林まで多様な大地で栽培される野菜やフルーツが豊富

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

最近は、20リットルのボトルに入った飲用水が売っています。それを買うときはプラスチックの蛇口の付いた台も必要です。それがない場合は近くのスーパーや小さい店でも、500mlと1リットルのペットボトルは売っています。または、水道水を沸かして冷まして飲むこともできます。消毒のために塩素が使われているので、水道水を沸かすと下に白い粉が沈みます。それは濾してください。ボリビア人は、水道水を生で飲み、生の水でジュースを作ります。レストランも同様です。フィルターを日本から持って来られるならば、取り換え用の部品も持ってくるといいです。すぐに詰まってしまう場合が多いからです。

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

一番普及しているのが、バスと相乗りタクシーです。バス代は、15円から20円、相乗りタクシーはその倍です。大都市では、何本もバスが走っており、バス路線アプリもあります。バスは、座席がいっぱいになっても通路にどんどん詰め込みます。降りたい時にずっと後ろに閉じ込められてしまったり、降りたい人にぎゅうぎゅう押されて足を踏まれたり・・・。スリに遭ったりするのもそういう状況でです。そういうことを考えると、相乗りタクシーがいいかもしれません。大抵はフロントガラスか天井に行き先のステッカーがあります。サンタクルスでは、環状線を通るバスやタクシーがあって、同じ道をぐるぐる回っているので、自分の行き先を通るかどうか、乗る前に運転手に聞いたほうがいいです。

県境を越える旅行には、夜行バスがあります。ターミナルに直接行って切符を買い、乗ります。売り切れてしまって、次の日に、ということもありますが、大体の場合は一つの都市に行く夜行バス会社がいくつもあるので探してみてください。乗る寸前に買うと、安く切符が買えることもあります。ちなみにバスの中にはトイレがありません。途中でトイレ休憩や食事のために停まりますが、そういうところのトイレはお勧めできません。なので、長い旅行の前はあまり水分を取らないようにするか、前もってトイレに行っておくかしてください。

もし中古の自家用車を買いたい場合は、信頼できる整備士などに一緒に行ってもらうほうがいいです。売りたいがゆえに、正直に車のコンディションを言ってくれなかったり、書類が整っていなかったりします。日本で国際免許を取ってきたらこちらでも運転できますし、身分証明書を取得したらこちらの免許を取ることもできます。バイクと車の免許は別々です。免許なしまたは飲酒で運転する人が多いので、交通ルールを守らない危ない運転をされます。ぶつけることよりぶつけられる可能性が高いです。同じ理由で、バイク事故で死亡するケースもよく聞きます。小さい町では、バイクタクシーがあって、後ろの荷台に横向きで座ります。私は個人的には好きではありませんが、それしかない町もあるので、それに乗らないなら歩くしかありません。

乗り合いタクシーでよく使わる日本車
特にイプサムやスパシオなど小さめの7人乗りが人気

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

住んでいる場所、病院、また医師によるので一概には言えませんが、あまり高い水準とはいえません。また残念なことに医師たちも適当な診察をしたりします。これは田舎に行けば行くほどそうですが、盲腸になったのに誤診があって破裂したり、そもそも婦人科の先生しかいなくて超音波の検査で盲腸を見つけられなかったりしたこともありました。笑いごとに聞こえるかもしれませんが、実際そういうことがありますので、都市部から離れた所に住む場合には覚悟が必要です。

風土病の点で少し触れましたが、食中毒を起こしているのに検査もせず胃炎のための薬を出されたり、抗生物質を処方されたりすることもあり、それは特定のバクテリアを退治する特定の薬ではないゆえ、ずっと調子が悪いということが何人にも起こりました。こちらから敬意をもって、血液検査や検便検査をお願いすることができます。基本的に診察、検査などは全額負担です。

薬局で様々な薬が処方箋なしで買えますが、痛み止め、風邪薬、胃腸薬などは日本から持っていくほうがいいです。一度こちらで筋肉注射一本打たれて気絶したことがあります。体型の違いか薬が強力なのかもしれません。

もし入院、手術が必要と言われたら、別の医師のセカンドオピニオンを求めてください。どうしても手術なら、クリニックをお勧めします。公立の病院では看護婦さんが一人でたくさんの患者を世話しているため、点滴が終わっているのに来てくれない、トイレの衛生状態が悪い、ベッドがひどくて休めないということもあります。また手術前に、薬や点滴、注射針などを自分で買いに行かせられることもあります。また言語が流暢でない場合、自分の症状をうまく説明できなかったり、言われていることがわからなかったりという問題も生じます。その点サンタクルスと日本人居住地では日本人病院がありますので、日本語の通じる医師たちに診てもらえます。それらの病院では、人工股関節置換術なども成功裏に行われました。

最も重要なのは、日ごろから体の免疫力を高めておくことです。十分な睡眠、ストレスをためない事、適度な運動など病気を防ぐためにできることはたくさんあります。

執筆者:T.T
執筆年月:2020年8月

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