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各国情報提供

わたしの活動エリア「バングラデシュ」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

都市国家を除くと世界で最も人口密度が高い国

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

濃いです。とにかく人が多い。平均寿命も日本に比べて10年以上短いので、人の距離も人生もギュッとしています。みんな毎日生きることに一生懸命なので感情が豊かで情に厚い。インフラ・行政・社会制度が発展中の国だから、すでに発展した国から行くと学ぶことも教えることも沢山あるのだと思います。

文化

長屋はいつもにぎやか

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

目があったら「ボンドゥ(友達)」で、知っている人はみな「バイ(兄弟)」「アパ(お姉さん)」「カカ(おじさん)」「チャチャ(じいちゃん)」。

みんなで集まって笑って泣いて、おせっかい好きの話好き。明日のことは「インシャラー(神様が願うなら)」。多少のことは良くも悪くも「ショモッシャナイ(No problem)」(いやいや問題だって!)。物事は上手くいかないのが当たり前(競争率高いし、インフラ弱いし・・)。

市場に行けば5タカ10タカを巡って鬩ぎ合い。お金のある人は貧しい人に恵むべきで、お金があるのに恵まないあなたが悪い。街を歩けば若者たちに一緒にセルフィーをせがまれ、別れるときはいつも「デカ ホベ(また会いましょう)」。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

肉もカレー、魚もカレー、野菜もカレー。ビーフカレー発祥の地(?)でも普段良く食べるのは淡水魚。お米をモリモリ食べる。

結構、みなさんビール腹ならぬ、ご立派なライス腹。寝る前に夕飯食べなければいいのに・・。アルコールは人前で飲んじゃ絶対ダメ。カレーの定番ナンもあります。あとは揚げ物が多いのは食中毒防止の知恵(?)で、スープや汁に入った麺がないのが残念なところ。みんな大好きビリヤーニ、使うギーにはこだわります。

ライチに始まりマンゴー、パイナップル、ジャックフルーツ、バナナ、珍しい果物も色々あります。

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

早い者勝ち、急げ急げで、待つ待たされるのはいつものこと。暑いから午後2時からはお店を閉じてお昼寝。家の中の密度も世界一?ベッドの上で家族団欒、親子みんなでお休みなさい。向こう三軒両隣、そこにいるのは隣りの家の子、冷蔵庫には鍵がかかる。家族親戚みんなで助け合い。不満があれば道路封鎖は当たり前。朝令暮改。結婚早め。少数のとんでもないお金持ち。自給自足に近い田舎の生活。英国の流れを汲む法律だけど、村裁判は地区の宗教の影響を受けた慣習法。村の偉い人の機嫌を損ねると色々厄介。9割のイスラム教徒と1割程のヒンズー教徒、それより少ないキリスト教徒と仏教徒。人数の差が力の差。

気候

水と緑が豊かな国

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

バングラデシュでは季節を6つに分けています。夏(4月上旬∼)、雨季(6月中旬∼)、秋(8月中旬∼)、霜季(10月中旬∼)、冬(12月中旬∼)、春 (2月中旬∼)です。基本的に大変蒸し暑い国なのですが、薄手のダウンが欲しくなるくらい意外としっかり寒い季節もあります。年によって雨の多さも、冬の寒さも結構差があります。湿度が高いので、何かと皮膚のトラブル(湿疹、赤み、かぶれ)が生じやすく、何かとムヒのお世話になっています。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

長期で滞在すると、デング、チクングニアくらいにはかかるかもしれません。腸チフスにかからなければ御の字だと思います。日本から行った最初の一年は、日本で未遭遇の菌・ウイルスに晒されるからか、よく風邪のような症状が出るかと思います。乾季の埃・大気汚染対策の意味でもマスクは多めに持って行ったほうがいいです。地元のマスクは、質の悪いものが多いです。

言語

駅の時刻表 西洋数字と微妙に似ているベンガル数字

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

ベンガル語(英語が通じる人も多いですが)。学習のはじめが、目に慣れないベンガル文字বাংলাと動詞の(時制×人称)で変化する(算数の九九の様な)複雑な活用というとてつもなく大きな壁。1~99までの数字の読み方の規則性の弱さに「うそでしょ」と思う。一人称の一般動詞の進行形が「コッチ」だと教科書で覚えて、街の人が実際には「コッテシ」と言っているのを知った時にショックを受ける。バングラ数字の৪を見て、4なのか8なのか一瞬頭が思考停止する。最初の大きな壁を越えると、随分楽になるかと思います。

生活

住宅ビル建設が続くダッカ市

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

一部の人たち(国民の絶対数から見るとかなり少数ですが、都市では珍しく無い)は、住み込みのお手伝いさんに家の仕事をさせて、運転手が運転する外国製の高級車に乗って移動する生活をしていますが、都市に勤めている人の多くの人の一日のお給料が、日本人が日本で1時間アルバイトして稼ぐお金と同じくらいで、裁縫工場で働く女工さんたちだとその半分くらいだと思います。仕事が少ない(というか人が多すぎる)ので、いつも雇用者側有利の買い手市場で、一日10時間週6労働とかは珍しいことではありません。それだけ働いても収入と出費はトントン、田舎の家族への仕送りの必要も途切れることがなく、そこに病気や事故が生じるという話しはよく聞きます。でも、基本的にみんなたくましく明るく元気です。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

全く学校に行かなかった人もいるし、途中で辞めた人もいるし、外国に留学して帰ってきた人も大勢います。日本の高校レベルまでの学校に行った人の場合、理数系の内容は、日本と変わりないないと思います。芸術系のコースも盛んだという印象があります。

英語の聞く・話す能力は日本の同じ年齢でのそれと比べて、総じて高いと思います。街で会う小さい子達も、外国人を見ると物怖じせず習った英語で(面白がって)話しかけてきます。テレビで、外国(アメリカ・イギリス・中東・インド等)の放送も観られるからでしょうか、国際情勢にもよく通じています。

下水の汚泥掻き出しの仕事

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

人がどこにでもいるので、日中であれば、命に関わる犯罪に巻き込まれる可能性というのはかなり低いと思います。都市部なら、日中は女性一人でも外出できます。夜間は、ちょっと避けた方がいいですが。スリ(携帯・財布)は身近でも被害にあった話をよく聞きました。外国人は狙われると思います。

少し話が違いますが、ATMにカードを呑まれたという話も何件か聞きました。それじゃなくても、昨日まで使えていたクレジットカードが同じATMで突然使えなくなるということはよくあったので、クレジットカードのキャッシングで現金を用意しようとする人は、違う会社のものを数枚用意しておいた方がいいと思います。

あと、お金が絡むことは、いつ何に対していくら払うかははっきりさせた方がいいです。結構、後から「あれはエクストラサービスだから追加でいくらだ」とかそういうことになりやすいです。外国人はふっかけられることが多いですが、逆にサービスでまけてくれる人もいます。ヒジュラーが時々絡んできます。安全という意味では、交通・移動の方がリスクが高いかもです。首都では道を横切るのも命がけです。

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

都市だと、台所・トイレ共有の平屋の一部屋長屋か、鉄筋コンクリートビル1K~3DKに下〜中所得層の方たちが住んでいる感じかと思います。

日本人が住むとなると鉄筋コンクリートビルの一室に住むことになるかと思いますが、日本の木造に比べて作りはしっかりしています。

トイレとシャワーは一つの部屋にあり、バスタブはありません。普通、温水ボイラーはないので、台所で沸かして運ぶか、必要なら自分で温水ヒーターを用意します。トイレはいわゆる和式です。

夏〜雨季の湿度が高いので、多少高くても、通風の良いところを選んだ方がいいと思います。革製品は簡単にカビます。

大通りの近くだとひっきりなしにクラクション・ベルの音が聞こえてきます。(1分間に100回と言ってもあまり大げさでは無いくらい。)イスラムのお祈りの時間を知らせる歌?が、(早朝・深夜でも)大音声で流れるので、モスクや拡声器の場所は確認して、家を選ぶ参考にするといいと思います。

ビルの一階には、警備・雑用をするおじさんが住み込みで常駐しているところが多いです。敷金(アドバンス)は家賃の二ヶ月分が相場。日本の敷金と違うのは、家を退去する二ヶ月前に大家さんにその旨を伝え、その後の二ヶ月分の家賃は、そのアドバンスから支払われるという点です。(突然に来月退去しますという場合、アドバンスは返ってきません。)

手仕事で作られた見事なベッド

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

ダッカ市内では、水道は普及しています。ただ、個々のビルのポンプが原因の水のトラブルの話はよく聞きます。家を探すときには、同じビルの既に住んでいる人に、水回りのトラブルがないか聞いてみるといいと思います。

電気は、暑くてエアコンを使いたいときによく停電します。この数年で大分改善されてきましたが。みんながエアコンを使うので供給が間に合わなくなるのでしょうか。後、雨・風が強い日に電柱のトランスがとんで停電ということも間々あるようです。雷がよく落ちて不安定になることもあるので、大切な電気機器は電圧安定器を通すと良いと思います。

都市ガスは供給能力の限界のため、最近のビルではプロパンガスになっているところもあるようです。インターネットは、4Gのモバイルネットワークが整備されているので、意外と問題なく使うことができると思います。(政治情勢が不安定な時に遮断されることがありますが。)あとは家庭用の有線Lanネットワークを大きくしたような、地域の有線インターネットのサービスプロバイダーもあります。モバイルでも有線でも動画を観るくらいなら全く問題なく利用できます。

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

これはそれぞれのお店ごとにかなり違います。大きくて綺麗な店であれば安心というわけでも無いようです。ある大きいお店では売れ残りを冷蔵庫で保管して翌日以降に提供することがあると聞いたことがあります。それに比べて、道路の脇に立っている店は冷蔵庫など無いので、朝バザールで買った食材をその日に使い切ったら閉店で、そっちの方が安心だと(あくまでも聞いた話ですし、埃や他の衛生の要素は別ですが。)

あとは、ローカルのお店で食べると油と辛さで胃腸に負担がかかります。地元の人たちが辛いものを食べるときは、一緒にご飯を大量に食べますし、食べた後、濃いミルクティーを飲んで辛味を中和していると思います。少食の人があまりご飯は食べずに辛いものを食べ、水だけしか飲まないと次の日の朝くらいには腸に違和感が・・・。安い油をけちって使いまわしているお店も多いので、気をつけるといいと思います。

マーケットに並ぶたくさんの魚

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

ダッカ市内は地域毎に井戸で水を汲み上げて各建物に供給しているようです。地元の人たちはそれを沸かしてフィルターにかけて飲んでいます。

私の周りの外国人はUnileverという会社の塩素式浄水装置を使っている人たちが多かったです。これは沸かした水じゃなくてもろ過できる点でメリットがありますが、体質によって合わない人もいるようです。マーケットではRO膜式の浄水器が手に入りますので、地下水のヒ素が問題となっている地域で生活する場合は、ヒ素除去に対応するRO浄水器を用意すると良いかと思います。

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

未経験では想像するのが難しいレベルだと思います。

例えばダッカの空港に着いたとしても、自力でそこから移動して市内の目的地に向かうことができるのは、限られた人だけだと思います。

エアポートバスなし、直接の接続駅なし、タクシーは一般の車と見分けがつかず、タクシーの客引きの人も怪しく見えますし(実際高い値段をふっかけます)、三輪のミニタクシー(CNG)もちゃんと目的地に素直に行ってくれるか怪しいところがあります。(そもそも、地元では飛行機に乗るのはお金持ちなで、そう言う人たちは自家用車で空港に来るので、一般の人が使う公共交通機関が空港にアクセスする必要がないわけですし。)意を決して、空港の敷地を出て、バスに乗ろうとしても、そもそもバス停の場所を示す目印標識があるわけでもなく、そしてポンコツつぎはぎだらけのバスの車体には、ベンガル語で番号と会社名が書いているだけで、行き先はバスのコンダクターが車内から早口で叫ぶのを聞き取るしかないと言う状況になると思います。あらかじめ、空港からの移動を手配しておくか、その辺の地元の人を味方にして情報を引き出すか、とにかくトライアンドエラーで突き進むかの3択でしょうか。

そう言う状況ですので、お仕事でバングラにくる外国人の多くはお抱え運転手付きの生活をします。中には地元の人たちから、バングラ交通リテラシーを学び、バス・CNG・リキシャ・テンプー(軽トラ改造バス)・オート(電動三輪車)・川船を駆使して移動する人たちも少なからずいますが。川の多い国土・脆弱で雨に弱い道・国として世界一の人口密度・増加する二輪車・繰り返されるバス事故と利用者の不満・メトロ整備。バングラの交通に関してはネタが尽きません。

雨の後の渋滞で隙間を縫って走るCNG(三輪タクシー)

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

首都には、日本で言うところの“病院”と言えるレベルの病院が数件あり、大抵の病気には対応してもらえます。

ただ、それは地元では例外的なレベルの病院と言えます。地元の人たちは、軽い病気や怪我なら、薬屋さんを兼ねている町医者さん(本物?)のところに行って診てもらい薬を買って飲んでいます。それらの薬屋さんでは、気軽に安く薬が買えるからか、地元の人たちは結構薬のことを知っていて、体調が悪いと言うとあの薬がいいとか、それがいいとか結構教えてくれます。

地元の人たちが入院する場合、そのお世話は全て家族・友人がする必要があるようです。(看護師さんは薬を配る人。)怪我、風土病以外は、日本に帰っての治療が現実的かと。

執筆者:Kanter
執筆年月:2020年7月

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