Toggle

各国情報提供

わたしの活動エリア「ペルー」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

一度は行ってみたい世界遺産 — マチュピチュ遺跡

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

ペルー共和国は、南半球・南米大陸に位置しています。北側はエクアドルとコロンビア、東側はブラジルとボリビア、南側はチリと国境を接し、西側は太平洋に面しています。日本の約3.4倍の国土をもち、その中でも国を縦貫するアンデス山脈により異なる3つの気候を生み出します。海洋資源が豊富で、農業に適している温暖な沿岸部砂漠地帯(コスタ)、鉱物資源が豊富で農牧畜に適している標高が高い山岳地帯(シエラ)、そして深く覆われた森林と石油および天然ガス資源に富んだ熱帯雨林のジャングル地帯(セルバ)があります。

私自身首都のリマにて日本語教育・青少年スポーツ支援・日本文化紹介ならびにラテンアメリカ文化・スペイン語を日本へ紹介する活動を行なっております。

南米初の日本人移民を受け入れた国ということで10万人以上の日系人が国内におり、日本との関係は非常に強く、日本人に対する敬意や親しみがあるので日本人が活動をしやすい国と思われます。加えて、首都圏には日本語を話すペルー人も多くおり外国語に不安のある方でも現地での生活を楽しめると思います。

文化

コロニアル文化の建物を改装したデパート

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

国土が広く気候や習慣もエリアによって変わるのですが、基本的にペルー人は穏やかで親しみ深いです。特に外国人に対して非常に寛容です。公私を分けることなくフレンドリーに接してくれる国民性です。加えて、自分たちの文化に非常に強い誇りを持っています。

また、考えるときに感情が与える影響が非常に強く、論理的な話よりも、情熱的で心を揺さぶる言葉や熱心さに影響される人が多いと思われます。そのため、貧困者が路上で物売りなどをしていると多くの人が援助するために商品を購入したりする人が多くみられます。

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

エリアごとに代表される代表料理があり、どれも世界的に評価されています。近年では首都リマで行われたペルー食の祭典に世界各国からのメディアが訪れています。

海岸エリア(コスタ)では『セビーチェ』と呼ばれる魚介マリネが代表料理となっています。新鮮な魚介類を生で食べる料理を出す国として日本と肩を並べる国となっています。日本と同じ暖流と寒流のぶつかるペルー沖において多くの海産物が採れるためたくさんの海鮮料理があります。

山岳エリアでは3,000種類をこえるジャガイモが育てられており日本でも有名になった「インカの目覚め」はペルー原産のジャガイモから作られています。合わせて牧畜も行われているため乳製品も豊富に作られています。

加えて『ピスコ』と呼ばれるブドウの蒸留酒が有名で、アルコール度数が42度とは感じさせないまろやかさと風味は、世界に発信されるペルー食の一部となっています。

バリエーションが非常に多いペルー料理は日本人の口にもとても会うため訪れる多くの人は滞在を楽しみながらも、食を楽しむことができるでしょう。加えて日系人が多いため日本食材を容易に入手することができるので、自宅で日本食を作ることもできます。外でも中でも充実した食生活を送ることができると思います。

人々の生活の中心となる食品市場

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

挨拶の一般的な習慣として、男性は握手で挨拶(親しみある人には握手の後にハグ)、女性は同性、異性関わりなくキス(頬への)で挨拶をします。初対面の場合女性が男性に対して握手のみの挨拶を行うことはありますが、女性が同性に対しては必ずキス(頬への)で挨拶をします。

国教はカトリックとなっており、学校の授業においても宗教の授業としてカトリックの教理を教えるため信仰心を持つ方は多くおられます。加えて、先住民の言語(ケチュア語およびアイマラ語、シピボ語など)を話すエリアでは、その土地独特の習慣や宗教儀式を行うこともあります。

気候

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

ペルーは地理的に,砂漠が広がる沿岸部のコスタ(岸砂漠地帯),アンデス山脈が連なる高地のシエラ(山岳地帯),アマゾン川流域のセルバ(森林地帯)の3つの地域に大きく分けられ,砂漠性気候から熱帯雨林気候まで多様な気候があります。

沿岸部砂漠地帯(コスタ):

海岸エリアは年間を通して降雨が少ない砂漠性気候です。雨が降っても霧雨程度で傘が必要がないことがほとんどです。砂漠地帯であっても寒流であるフンボルト海流の影響で1年を通して気温がそれほど上がることなく、年間を通して常に高湿度であることが特徴です。しかし、近年の環境変化により降雨や寒暖の差が多くなっています。5月から11月までの“冬”の期間は,1日中雲に覆われ太陽を見ることが少なくなります。

冬の時期に霧に包まれるリマ海岸のショッピングモール

標高が高い山岳地帯(シエラ):

クスコやアレキパなどの山岳部エリアは標高3,000メートルを超えるため日中と朝晩の気温差が大きくなります。日中は晴天となり気温が上がりますが,朝晩は摂氏10度以下まで冷え込みます。場所によっては氷点下となることろもあります。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

3,000メートルを超える高地では高山病が一番懸念されます。高山病予防薬としてアセタゾラミドが有効ですが、日本においては処方箋が必要となります。現地では薬局にて処方箋なしで購入できます。

水の質が良くないためにA型肝炎や腸チフスの心配があります。日本で予防接種を行うこともできます。

ペルー全域、特にジャングル地域(セルバ)では蚊によって伝搬されるデング熱・ジカ熱・黄熱病・マラリアがあります。ペルーはWHOにより黄熱リスク国と認識されているので,ペルー渡航後に第三国へ入国する際にイエローカードの呈示を求められる可能性があります。ペルー国内でも予防接種を受けることはできます。

健康維持のために行うべき事:

・生鮮食品の鮮度に注意し,スーパーや信用のある店を利用する。
・セビッチェなど生の魚介類を食べる場合は,衛生状態の良いレストランを選ぶ。
・ペルーには狂犬病が存在するので,野犬や野生動物には注意。
・リマでは,排気ガスや工場からの粉塵などにより大気が汚染されているので(PM2.5が基準値を大きく上回る)咳や痰が続いたり,鼻炎などのアレルギー症状が出る場合があります。
・湿度が高いのでカビやダニが発生し易いので,よく換気をした上で清掃することを心がける。特に冬の時期には除湿機の利用をお勧めします。
・夏は紫外線が非常に強いため日焼け止めの塗布,帽子,サングラスの着用などをお勧めします。

言語

日本語教育の現場 ― 日系社会への日本語普及

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

ペルーの公用語はスペイン語です。ペルーで話されるスペイン語はラテンアメリカにおいてもニュートラルなものとなっており、現地にてスペイン語を習得することを楽しみながら生活を行えるでしょう。日本人にとってスペイン語はローマ字読みでほとんどの単語を発音できますがR音の際の巻き舌やL音は日本にはない独特のものなので難しいかもしれません。

さらに国内には、先住民の言語(ケチュア語およびアイマラ語、シピボ語など)も一部の地域で利用されています。これらインカの魅力的な言語を学ぶ機会も持つことができるかもしれません。

生活

リマ海岸にあるショッピングモール

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

ペルーの首都リマにおける生活水準は高いと思います。

電化製品や車などの輸入品は日本の1.5倍以上の物価となりますが、国内生産品(食品など)は日本の1/3から2/3で購入することができます。現地の人々は市場にて買い物をする人が多く、公共エリアに机をおき商品を並べるといった販売方法がオーソドックスなものです。

スマートフォンも十分普及しており一ヶ月のミニマムプランも1,000円程度で契約することができます。地方においても中心地ではショッピングモールが展開されており、快適に買い物ができます。

貧富の差が激しい上に政府援助がほぼないため大変な生活を送る人もいます。路上で大道芸をしたり、窓拭きなど行い生計を立てる人も見られます。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

義務教育は浸透していますが地方では環境の整わない地域もあります。義務教育は11年(小学6年、中学5年)となっています。公立学校は多くは午前と午後に生徒を分けて授業を行なう2部制をとっており、同じ校舎を利用して多くの生徒を受け入れられるように組織されています。そのため、公立学校の教育の質が私立学校に劣るため、教育を重視する人たちの多くは私立学校へ通うことがほとんどです。(教育の質の高い公立学校もありますが全国で5つと非常に少ないです。)

ペルーは学歴社会となっており、出身大学で初任給が変わるために子どもの教育に熱心で、海外に留学を考える人も多くいます。

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

近年の経済の成長によって軽犯罪(強盗,窃盗,バイクによるひったくり)が少し増えています。全国的に多発しているほか,スマートフォンやパソコンを狙ったひったくり事件,渋滞等で停車中の車の窓ガラスを割り車内からバッグ等を強奪する「窓割り強盗」も報告されています。

上記の犯罪を留意して行動すれば生活に支障はありません。

・レストランで財布やスマートフォンを机の上に置かないようにする。
・パソコンやスマートフォン,カメラ等を携帯するときは目立たないよう注意する。
・特に屋外での使用時には特に注意する。
・夜遅くの外出や一人歩きに注意する。

リマの中心地と大通り

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

サン・イシドロやミラフローレス、サン・ボルハといったハイセキュリティーエリアでは24時間コンセルジュがいるためセキュリティーは万全となっています。リマ首都圏のマンション一戸当たり平均床面積は、約70㎡ (1LDK-3DK)となっています。家賃はUSD750〜(共益費を含む)と少し高いですが、独身者や夫婦用の住居(1K)は少しお値打ちになるかもしれません。さらにエリアを少し変えると安全なエリアでお値打ちに賃貸できる場所もあります。(20%〜40%程度の料金で賃貸可能)

国内の70%がセルフビルドで建てられており、主な材料はレンガとセメントです。防音材が入っていないので騒音が気になることがあるかもしれません。加えて、電気配線や水道管もコンクリの中に埋めてしまうので修繕の際には壁を壊しての大がかりの工事になることが多いです。

賃貸物件には短期滞在者向けの家具付き物件もあり、半年~1年単位で賃貸可能。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

都心部の生活インフラは整っています。水道や電気は問題なく配備されていますが、地方では時折、停電になることがあります。マンションなどの建物では地下に水を貯める水槽を持っておりそこからポンプで組み上げて支給するようになっているため、停電時に水が使えなくなることもあります。

シャワーにお湯が出ない家庭がありますが、外国人への貸物件には通常設備されています。

リマの一部のエリアでは都市ガスは普及し始めていますが多くの家庭はプロパンガスです。プロパンガスが切れると、電話で販売店に依頼をします。30-60分で配達してくれます。

インターネットはいまだにADSLですので日本よりも速度が劣ります。混雑時には安定しないことがありますが問題なく利用できます。 携帯電話のインターネット無制限プランも浸透しており、毎月2,500円程度で利用ができます。(デザリングに対応するプランもあります。)

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

リマで利用している多くのレストランならびに大手ファーストフード店舗の衛生状態は保たれています。ただし露店などで販売されているものは注意しなければなりません。衛生基準を保っているものもあれば手洗い用の水すら準備されていない屋台もあります。

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

水道水は飲用に不適なので、煮沸した水もしくはミネラルウォーターを利用するのが一般的です。リマではスーパーマーケットで20ℓの家庭用のサーバーが販売されています。加えてそれらのスーパーではインターネットによる注文と配達も行ってくれるます。生活利用(口を濯いだり・野菜を洗ったり)は問題なく利用できます。

世界遺産の街クスコの中心広場

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

ペルーは、交通マナーが大変に悪い事、交通インフラが追いついていない事に加えて、交通ルールの遵守意識が薄いため、交通事情は非常に悪いです。信号無視,ウインカーの不使用,無理な追い抜き,一時停止無視等は日常化しており,都市部での運転には相当な危険を伴います。

また歩行者優先という意識はなく,車優先の交通ルールであるため,歩く時には青信号であっても車は停車しないものと考えといいでしょう。私自身車の運転を行なっていますが、当て逃げは茶飯事となっており運転手の責任意識も非常に低いものとなっています。

リマ市内においては公共交通機関(主にバス)が充実しており自家用車がなくても市内の移動に苦労しません。さらにタクシーも格安で利用できますが、メーターが無く,市内の流しのタクシー料金は事前交渉によって決められるため,土地勘がなかったり,スペイン語が話せないと利用し難いかもしれません。加えて,割高な料金を要求される場合があるのでUberなどのアプリを利用するとよいでしょう。また車両内では貴重品(カバンなど)を外部から見えないようにすることも大切です。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

医療水準は高いと思います。風邪や腹痛などであれば近所の薬局で症状を伝えれば薬剤師が薬の処方をしてくれます。海外旅行保険でカバーできる病院がリマならびに地方の主要観光地に数件あります。一般の私立病院の医療費は若干割高ですが、リマには海外社会貢献者のために特別な配慮をしてくれる病院もあります。

執筆者:Seghohr
執筆年月:2020年7月

Return Top