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各国情報提供

わたしの活動エリア「ソロモン諸島」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

ホニアラ市内にほど近い丘から海を挟んで北のツラギ方向への眺望

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

ソロモン諸島は、日本から5,500キロほど離れた、南太平洋の小さな島国です。ホニアラ国際空港へと向かう飛行機の窓から下を見ると、どこまでも続くかに思える真っ青な海に、緑のヤシの木に覆われた島々が点々と浮かぶのを見ることができます。国土には大小1,000ほどの島が点在し、そのうちの350に70万人ほどの人々が生活していると言われています。

地元の方々の生活は、日本からは想像もできないほど異なります。首都ホニアラや一部の大きな町をのぞいてほぼ自給自足で現金収入も乏しいため、医療やインフラなどの面で引き続き多大の支援が必要とされており、日本からもこれまでJICAなどを通してたくさんのボランティアの方々が生活の向上のために尽力してこられました。ソロモン諸島の方々が一般に、日本や日本人に対して好意的な印象を持っておられるのも、そこに負うところが大きいと思われます。第二次世界大戦で激戦地になったことから、今でも反日感情があるのではないかと日本人から尋ねられたこともありますが、私はこれまで、そのような反応に出会ったことは一度もありません。ですから、日本からボランティアとしてこの国で働かれるなら、きっととても大きな達成感を味わわれることでしょう。

とはいえ、どの場所でも同じだとは思いますが、ここで働くことにも独特の挑戦があります。海にはばまれた島々が広範囲に点在している国土のため、公共交通機関やインフラの発達が遅く、すこし以前までは多くの人にとって、自分の島もしくは村以外との接触はごく限られていました。今でも、携帯電話が通じる地域はごく一部ですし、インターネットにいたってはほとんどの人にとって、聞いたことはあるものの自分の生活とは関係ないものです。現在でさえ、地方に行けば衣服をほとんど、もしくはまったく着ないで生活している部族もあります。

先進国と呼ばれる国からやって来て、電気がないことや調味料のレパートリーが少ないことは時間が経つにつれて慣れていきますが、自分とまったく異なる環境や価値観で生まれ育った方々への敬意を失うことなく、よい関係を育みながら協力して働き、時には教えたり訓練したりすることには、独特の問題や挑戦が伴います。

この紹介が、ソロモン諸島に住む人々の生活向上に貢献したいという願いをかなえる、その助けの一助になれば幸いです。

ひとつ注釈させていただきたいのですが、現在、首都のホニアラは(日本とは比べるべくもないとはいえ)近代化が進み、それ以外の場所とでは生活レベルが大きく異なっています。外国からボランティアとして来られる場合、任地がホニアラ以外のところとなることも多いと思いますので、以下の情報は、特記していない限り、そのような土地でのソロモン人の一般的な生活について述べています。

文化

ビニール傘を売るコンビニがなくても、バナナの葉はあちこちに生えている

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

ソロモン諸島に住んでいるのは主に、肌の色の濃いメラネシア人と、肌の色が日本人に近いポリネシア人と呼ばれる人々です。国としての「ソロモン諸島」と比べると、自分の部族に対する帰属意識がより強く、生活のすべてに親戚や家族のつながりが強く影響を及ぼします。そのため、ソロモン人同士が初めて出会った場合、まず相手がどの部族出身なのか、もし同じ部族ならどの村の出身なのかを確認しあうことになります。遠い親戚であっても迷うことなく正確につながりを話すことができるのには、驚かされることでしょう。

そのため、外国人ボランティアとしてソロモン諸島で働かれる場合、強くおすすめしたいのが、新しくできた友人がどの部族のどの村出身なのかを、スマホの電話帳などに記録しておくことです。ソロモン人の方々は一般に外国人に対して敬意をもって接してくださいますが、自分と同じ部族や村出身の人を知っていることがわかると、とりわけ安心してあっという間に心を開いてくださることが多いからです。

ソロモン人の方々の気質として、日本の感覚からすると、時間や約束ごとに関してとてもおおらかということが挙げられます。掛け時計や腕時計を売っているお店がなかなかなく、あっても手が出ない金額であったり、携帯電話の時刻表示も電池を外すたびにリセットされてしまったりするので、時計に合わせて生活するという習慣は、まだ新しいものです。バスや乗り合いトラックや船には時刻表がなく、飛行機の時刻さえも搭乗予定の客への予告なく変更されます。面白い例が、各村にある教会の礼拝です。礼拝と聞けば、決められた時間に信徒たちがぞくぞくと教会へ集まってくるというイメージかもしれませんが、こちらでは時計がありません。それでどうするかというと、教会の準備ができた時点で牧師さんが鐘(溶接やダイビングで使われていた古いボンベの再利用)をガンガンガンと力いっぱい鳴らして村中に知らせます。村の人たちはそれを聞いて、「ああ礼拝が始まるから(教会に向かおうか、ではなく)シャワー浴びてこようか」と言ってまず水浴び場まで行き、きれいにして帰ってきて着替え、それから教会に向かいます。

カヌーですこしサンゴ礁の外に出れば、新鮮な魚がたくさん釣れます

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

一般に主食としてよく食べられているものは、サツマイモ、キャッサバ、調理用バナナ、タロ芋、パナ芋、ヤム芋で、日本で食べ慣れていてソロモン諸島でも手に入る野菜には、チンゲン菜、キュウリ、生姜、ナス、ピーマン、オクラ、ミニトマト、それらに加えてマンゴーやバナナなどの数多くのフルーツがあります。お米は、ソロモン諸島中どこでも買うことができます。肉類は、魚、鶏肉、またタイヨーと呼ばれるツナ缶が毎日の食事としてよく食卓にのぼります。活きのよいイセエビも、毎日の食材という訳にはいきませんが、タイミングによってはマーケットなどで買うことができます。豚肉は、収入を補うものとして飼っている家族も多いものの、冷蔵・冷凍設備がなく小分けに少しずつ売ることができないため、結婚式など特別な行事の時に大人数に振る舞われることがほとんどです。牛肉は、飼っている家族が少ないので食べる機会がほとんどありません。とはいえホニアラには量り売りの肉屋さんがあるので、少量でも鶏・豚・牛肉を簡単に買うことができます。

調理法はシンプルに、火で焼く、油で揚げる、醤油を使って炒め煮にするなどが一般的です。とはいえ、ソロモン諸島の食生活も太平洋諸国の例にもれず、ココナツミルク抜きには語れません。茶色になったココナツを拾ってきて、分厚い表皮をむいて出て来た丸い殻を半分に割り、その内側にきれいに層になっている固い胚乳の部分を専用の道具で細かくこそげ落として、そこに水を加えて布やざるで絞ったものが、ココナツミルクです。このココナツミルクに塩やカレー粉などの調味料で味付けをして野菜や魚を煮込む料理も、ソロモン諸島では毎日食卓にのぼります。

他の伝統的な調理法としては、バナナの葉で包んでおいた食材をたき火で熱した石の間で蒸し焼きにする、モツと呼ばれるものがあります。

また、キャッサバ(タピオカとも呼ばれる)とココナツミルクを使ったプディングという人気の食べ物もあります。形はもっと大きくて平べったく、色はきれいな黄色をしており、触感はタピオカドリンクのそれとよく似ています。土地によって、おろし金でおろしてココナツミルクと混ぜたものをモツで蒸し焼きにするとか、あらかじめ茹でたり蒸したりしたものを木臼で突きながら熱いココナツミルクを加えるなど、作る手順が異なりますが、これらのプディングは伝統的に、焼いた魚といっしょに食べるのが美味しいということになっています。日持ちがして持ち運びしやすいこともあって、ソロモン人のお気に入りの料理です。

日本では一般的でないものの、ソロモン諸島では好んで食べられているというものもたくさんありますが、すこしだけ挙げるなら、森に住んで卵を持つ季節に美味しくなるカニ、木の幹の中に住んでいて炒めると香ばしい香りのする幼虫、ココナツの殻をさえ割る力を持つヤシガニ、珍味と称され年に一度だけ海中に大量発生するゴカイの一種などがあります。

ソロモンの人たちの毎日の食事は、ほとんどが自分の畑で穫れたもの

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

ソロモン諸島は、キリスト教が主な宗教となっています。離島も含めて村ごとに教会があり、多くの人は今でも、毎週末に家族で礼拝へ出かけておられます。また、教会で僧職に就いている人は人々一般から敬意をもって扱われており、たとえばフェリー乗船時に料金を免除されるなどしています。

マナーについていえば、ある島や部族では誰も気にしないことが、別の場所ではタブーとなっていることも多いので、任地で地元の人に尋ねてみるのがいちばんですが、例を挙げるなら、干している洗濯物の下をくぐらない、床に足を延ばして座った時に相手に足の先を向けない、などがあります。また、若い世代や首都では変わってきましたが、女性が人前で半ズボンを履いていることは、慣習としてはあまりよく思われない方も多いようです。家から出歩く時や、客人が家に来た時には、半ズボンの上からでよいので、ラバラバと呼ばれる布を腰に巻いたりすることが期待されます。また、海や川で泳ぐ時も、水着を着ていたとしても上から半ズボンとTシャツを着て泳ぎます。ちなみに、ソロモン諸島ピジン語では、泳ぐことも水浴びすることも、同じswimという単語で表現します。

地元の方を訓練するときに覚えておくべきこととして、ソロモン人の方は他の人の目の前で誰かから自分の間違いを指摘されたり厳しく叱られたりすることにかなりの抵抗を感じるということがあります。それで、誰かとトラブルなどについて話す必要が生じた時には、他の人の目に触れない場所で、一対一で話すようにした方が、受け入れていただきやすいようです。

気候

ココナツの木陰で海からの潮風を感じながらハンモックに揺られるのは最高に贅沢な時間

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

日本のような四季はありません。年間を通して日中は30℃前後です。ほとんどの時間帯において蒸し暑く、夜寝る時でも長袖Tシャツでじゅうぶんです。以前は、雨季と乾季のようなものが一年のうちで決まっていましたが、地元の人たちによると、最近はパターンが不規則で、何月から何月が雨季と言えなくなってきているようです。

日中はじっとしていてもうっすらと汗をかくので、外に出歩くときには飲料水を持ち歩いてこまめに水分補給することが必要です。ソロモン諸島では、折り畳みの日傘を持ち歩くことは一般的です。帽子や日焼け止め、サングラスもあった方がよいでしょう。

また、徒歩での移動も多く日常生活でかなり体力を消耗するので、睡眠不足だと翌日の午後にはダウンしてしまうことがあります。地元の人たちは一般に、夜の9時頃には床に就き、朝も早起きです。雨や曇りの日には、「こんな天気だと眠くなっちゃうねぇ」と言って、午後に長めの昼寝を取ることもあります。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

風土病として存在感が大きいのは、マラリアです。倦怠感や頭痛や鼻水などの症状が出ると、まずマラリアかどうかを確認するために、近所の病院もしくはクリニックに行きます。血液検査の結果が数分から数時間で出るので、陽性だった場合は処方された薬を二週間ほど飲み続けることになります。ほとんどの人が1-2年に一度はかかっていて、もはやソロモン人の日常生活の一部となっており、私はこれまでのところ、マラリアで亡くなったという方の話は聞いたことがありません。もうすこし症状が重いと言われるデング熱は、マラリアほど頻繁には見られませんが、数年に一度流行が起こります。

どちらも蚊が媒介する病気だそうですので、家のまわりに水たまりがないか確認することや、すこし暑いですが窓に網戸を張ること、蚊帳の中で寝ることで危険を減らせます。蚊取り線香や虫よけスプレーは、すこし探せば売っている店を見つけられるかもしれませんが、あまり一般的とはいえません。地元の方たちの間では、パパイヤの種を毎日スプーン一杯食べることや、水分を多めに頻繁に取ることが予防になると言われています。

また、ソロモン諸島で近年多い病気のひとつに糖尿病があり、闘病の結果、片脚や両脚を切断した方もよく見かけます。原因のひとつとして考えられるもので多くのソロモン人が好きな飲み物に、コーヒーミックスというものがあります。一杯ぶんのインスタントコーヒーと砂糖と粉ミルクが小さな袋に入っていて、コップに入れてお湯で溶かすだけで飲めるのですが、ソロモン諸島では標準的に、これに大さじ山もりで2杯とか3杯の砂糖を追加して混ぜて飲んでいます。友人の家で出されると断るのはなかなか難しいですが、あらかじめノーシュガーとお願いするなどして、すこし気を付けたほうがよいかもしれません。

コロナウイルスについては、2020年6月現在、感染が確認されたケースはまだ出ていません。

また、気を付けていただきたい別の点として、皮膚にちょっとでも傷ができた場合、清潔にしてから絆創膏などですぐに覆うことがあります。これは、蚊などの虫にかまれた所を寝ている間などに掻きむしって傷になってしまった場合も同様です。ハエが多いので、覆わずに放っておくと確実に化膿し、一旦そうなると腫れあがったり頭痛の原因にさえなったりして、回復するまでにかなりの日数を要します。そのため、こちらにいらっしゃる時には常備薬として、「かゆみ止め」「虫刺され薬(ハチ含む)」「抗生物質軟膏」「品質の良い(簡単に剥がれない)絆創膏」をすこし多めに持って来られることをお勧めします。公立病院やクリニックや商店でも、簡単な医療品は無料もしくは低価格で手に入ることもありますが、遠かったり、休業日でない日に休んでいたり、使い勝手が悪かったり、期限が切れていたり、品切れのことも多く、自分で処置せざるを得ないことも多いので、上記に挙げたものは必ず役に立ちます。

言語

アルファベットで表記される、ソロモン諸島ピジン語での印刷物

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

ソロモン諸島で使われている言語は、大きく分けて以下の3つです。

ソロモン人はほぼ例外なく、自分の部族の固有言語を話すことができます。「クワラアエ」「ロビアナ」など、ほとんどの場合に部族名がそのまま言語名になっており、ソロモン諸島全体で数百あると言われています。これらの部族言語は主に話すための言語で、読み書きに用いられることはめったにありません。とはいえ、ソロモン人にとってはこの言語がもっとも緊張せずに話せて心に響く言語のため、ボランティアとしてこの国で働く外国人が習得するなら、地元の人との親交を深めるのにとても役立つことでしょう。

自分と異なる部族出身の人と話す時に共通語として用いられるのが、ソロモン諸島ピジン語です。相手の部族にかかわりなくコミュニケーションを取ることができるので、ボランティアとしてこの国で働く外国人にとって、まず学ぶべき言語だと思われます。ピジン語は基本的に話すための言語ですが、時おり印刷物やポスターなどで見かけることもあります。パプアニューギニアなどの周辺国でもピジン語が話されていますが、ソロモン諸島で話されているのとはほぼ別の言語です。

以上に加えて、書類や掲示物、新聞、政府からの発表などでは基本的に英語が用いられています。英語から取られた単語がピジン語でたくさん使われていることや、学校教育も英語で行われていることもあって、ほとんどのソロモン人は多少の英語を読み書き話すことができます。とはいえ、話すのはすこし気恥ずかしいようで、ソロモン人同士が英語で会話する場面は、改まった公式な場を除いてはほとんど見かけません。

ソロモン諸島ピジン語を学ぶための学校などは、現地でもあまり聞きませんが、言語としてはとても単純な構成のため、もしこれまでに英語を学んでこられた経験をお持ちでしたら、毎日の生活でソロモン人と話すことや、ピジン語での印刷物を定期的に読むことで、数か月もすればじゅうぶん理解できるようになることでしょう。

生活

サゴヤシの葉を編んだパネルを壁や屋根に使っている、地元の典型的な住宅

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

首都ホニアラでは、政府のオフィスで働く方や、建設や車の修理などのビジネスをしておられる方も多く、ある程度快適な生活を送ることができます。お手伝いさんや警備員を雇っている家も、少なくありません。

ホニアラを離れると、多くの家族は毎日の食事を自分たちで収穫した野菜と釣った小魚などでまかなっており、石鹸や洗濯洗剤やお米などを買うための現金を得るために、ココアやコプラ(ココナツ)の農園を持っていたり、首都から古着などを仕入れて売ったり、収穫した野菜や釣った魚をマーケットで売ったりしています。

近年、各地で外国の企業による森林伐採と木材輸出がさかんに行われており、大きな現金収入になるため、土地所有の権利にまつわるトラブルが増加しています。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

学校教育は、英語で行われています。大学教育を受ける人は人口のほんの一握りです。学費は保護者たちにとって大きな負担となっており、そのために親戚から借金することも頻繁に見られるほどなので、プライマリースクールだけしか卒業しておられない方も、かなり多くおられます。学校にあまり行けなかった方でも、日常生活で使う部族言語やピジン語で流暢に会話することはできますが、文章を読んで理解するのにはどうしても時間をかける必要があります。

ボランティアとしてこの国で働く場合、このことを覚えておくことは大切です。たとえば、会合のための資料は直前に渡すのではなくじゅうぶん前もって渡すことや、指示を書類や手紙で渡すだけでなく直接顔を合わせて伝えることが必要です。また、忘れないようにメモを取ったり、カレンダーに予定を書き込んだり、印刷された資料を見直して確認するような習慣がまだほとんどないので、日本の感覚を当てはめて誤解してしまわないようにする必要もあります。

そろそろ人通りが少なくなってくる、日暮れ時のホニアラ

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

基本的な防犯に気を付けていれば、比較的安全な国だと言えるでしょう。首都のホニアラでさえも、強盗にあったという話は、ごくごくまれにしか聞きません。ただ、昼間であっても空き巣、置き引き、車内の物の盗難には気を付ける必要があります。また人の混みあう場所、とりわけマーケットでは、人ごみにまぎれてスリを行なう若者たちのグループがあり、この被害はちょくちょく耳にします。財布や携帯電話は、手に持ったりズボンやシャツのポケットに入れたりするのではなく、カバンに入れて体の前に抱えておくと、手を出してくることはまずありません。

ホニアラの夜は、徒歩での外出は危険です。車で地元の人といっしょに乗っていればそれほど危険ではありませんが、数人で車を止めさせてお金をせびってくるようなグループとは出くわしますので、地元の人から治安のよくない場所をあらかじめ聞いておいて、できる限り別のルートを通るほうが得策です。また、選挙にともなってデモ行進が起きた時は、人種にまつわる感情が高ぶりやすい時期ですので、外出を控えたほうが賢明です。ホニアラを離れると、夜の9時を過ぎて出歩く人はほとんどいません。

外国人ボランティアとしてソロモン諸島で働かれるうえで、最も有効な防犯対策は、職場や近所のできるだけ多くの人たちとよい関係を築くことです。ソロモン諸島では部族のつながりが強く、たとえ人口の多い首都であってもニュースはすぐに伝わります。ですから、まったく見覚えのない人であっても、相手はこちらがどこの誰かをよく知っています。たとえば数人の若い男性がお金をせびる相手を待ち構えていて、あなたがひとりで道を歩いているのを見かけた場合、もしあなたのことをそのグループの誰も知らなければ躊躇なくターゲットになりますが、誰かひとりでもあなたを見かけたことのある人がいて、自分の家族や親族に親切に接してくれていることを聞いていれば、「あの人からはやめておこう」となる確率が非常に高くなります。地元の方々と共に働き、お互いの間にある垣根が取り除かれていくにしたがって、ここでの生活はますます安全になっていくことでしょう。

とはいえ、注意をひとこと。酔っ払ってしまっている相手には、良い関係も部族のつながりも効果がないので注意が必要です。通常は長い話に付き合わされるだけで済みますが、時おりマリファナや、アルコール度数の高いクワソーと呼ばれる違法な自家製酒で酔っ払っている人に出くわすと、最初は友好的に見えても突然ちょっとしたことで攻撃的になるパターンも多いですので、決して近づかないようにしてください。

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

首都のホニアラでは、賃貸物件があります。仲介業者を通したり、掲示板やFacebookを使って探したりすることができます。家賃は、過去に治安維持のための外国人がたくさん入っていた時期に上昇して以来下がっておらず、日本と比べてもかなり高い水準だと思います。

ホニアラ以外の多くの場所では、仲介業者の仕組みがまだほとんど浸透していません。新しい土地に引っ越したいと思った場合、適当な土地の所有者と交渉して土地を購入するか借りる約束をし、多くの場合、森から木を伐り出すところから家を建てることになります。外国人ボランティアの場合、そのあたりの交渉はバックアップしてくれる組織がしてくれることでしょう。もし地元に友人をお持ちであれば、直接その方と交渉して、間借りや空き家を賃貸させていただくことは可能だと思われます。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

首都のホニアラではSIWAという会社が水道水を(検針されたメーターに従って後払い)、SIEAという会社が電気を(窓口での前払い)供給しています。また、調理用としてORIGINという会社からボンベに入ったプロパンガスが購入できます。携帯電話サービスはTelekomとbmobileという2社が4G(LTE)サービスをプリペイド方式で提供しており、ラインやZoomでのビデオ通話も可能なスピードが出ています。オフィスによってはWi-Fi回線が引いてありますが、各家庭には普及しておらず、ほとんどの人は携帯電話会社のデータプランを使ってインターネットに接続して、FacebookやWhat’sAppを楽しんでいます。

ホニアラを一歩離れると、状況はがらりと変わります。ほとんどの場所では水道が通っていないので、村でお金を出し合って塩ビパイプを購入し、湧き水を引いてきて、それを水浴びや洗濯に使っています。湧き水は、飲めないことはないとはいえ独特の味がするため、余裕がある村や家庭では、大きな雨水タンクを購入して屋根の雨どいから集めた水を飲用や調理用に使っています。電気が通っていない場所では、夜間の照明や携帯電話の充電のために、小型のソーラー発電機を使っている家が多くなってきました。ガソリンやディーゼルの小型発電機はホニアラで購入できますが、場所によっては燃料が300円以上/リットルと高額なので注意が必要です。一般家庭は調理に薪を使っていますが、大きな村に近ければ調理用のプロパンガスを買うことができます。携帯電話およびインターネットは、電波塔の数も少なく、ソーラー発電の不具合や土地の権利者同士の争いなどで頻繁に途切れます。2Gのところも多く、速度が遅いのでラインなどでの文字チャットはかろうじてできますが、ビデオ通話はかなり厳しいです。アプリをホニアラであらかじめダウンロードしておくなどの工夫が必要です。

上記のように、ソロモン諸島のインフラの状況は日本のそれと大きく異なります。こうした新しい環境に慣れるのには、紛争地帯や犯罪多発地域で生活するようなストレスとは別ではありますが、それでもかなりのエネルギーが必要で、ともするとそれに消耗してしまって、本来の目的であるボランティア活動に振り分ける身体的また精神的エネルギーがなくなってしまうことにもなりかねません。以上のことから、ボランティア先としてソロモン諸島を選択肢に入れられる際には、まず下見して自分にとって本当に無理がない環境かどうかをよく調べることや、移動されるにしてもご自分がある程度快適に生活していくうえで必要な物をよく見極めて準備されることを、強くお勧めします。

流木や廃材を切り出した薪で調理するので、鍋の底を洗うのがたいへん

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

ソロモン諸島のほとんどの人にとって、家族揃っての外食は一般的な習慣ではありません。働きに出ている人は昼食を、マーケットでフィッシュアンドチップスやドーナツを買って簡単に済ませることがほとんどです。とはいえ、首都のホニアラや観光地のギゾなどでは中華レストランや西洋風のホテル、おしゃれなカフェなどもあり、日本と同じかそれ以上の金額はするものの、美味しいものを食べることができます。レストランやマーケットでの食事は、一般に特に衛生状態の問題はありません。

今のところ、マクドナルドやケンタッキー、スターバックスなどの海外チェーンのレストランは、ソロモン諸島にはまだ入ってきていません。

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

ミネラルウォーターをどこのお店でも、買うことができます。1.5リットルのものがおよそ100-150円です。

田舎に住まれるようでしたら、田舎でもミネラルウォーターは購入できますが、タンクの雨水も飲用や調理用に利用できます。湧き水も飲めないことはないとはいえ、独特の味がするのと、雨が降るとどうしてもしばらくの間にごるので、天気に左右されることになります。

しばらく乗っているとお尻や背中が痛くなってくるトラックの荷台

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

首都ホニアラではバスが走っています。時刻表はありませんが、たくさん走っているので、営業時間内であれば乗れなくて困ることはほぼないと思われます。始発のバス停で乗客が満員になった時点で出発し、車掌さんに料金を手渡して、目的のバス停が近づいた時点で合図をして止めてもらいます。ホニアラ市内は距離にかかわらず1回の乗車当たり$3(約45円)で利用できます。タクシーもたくさん走っており、料金メーターはありませんが、ハンドルの前のトリップメーターを使って料金を決めるようです。基本的に1km $10(約150円)で利用できますが、要確認です。

ホニアラを外れると、バスはめったに見なくなり、代わりにトラックの荷台に乗るタイプの公共交通が多くなります。また島と島との間の移動は、短距離は船外機つきボートの運転手付きレンタル、長距離はフェリーか飛行機になります。とはいえ、国内に航空会社は1社のみで、料金は日本と比較してもかなり高いので、ほとんどの地元の人にとって長距離移動の手段はフェリーの一択になります。所要時間は目的地によって、数時間から数日間とさまざまで、荒海で波をかぶったり、豚といっしょに乗り込んだりと、とても快適とは言えませんが、途中の港での荷降ろしの間にしばらく下船してマーケットで買い物したり、時おりイルカが船体と並走して泳いでいるのを見かけたりと、ソロモン諸島ならではの経験ができますのでお勧めです。クリスマスと年末年始は、船も飛行機もとても混みあうので、注意が必要です。

ご自分で運転することもできます。日本の運転免許証と国際免許証を持ってこれば、ソロモン諸島の運転免許証を発行してもらうことができます。車やバイクを輸入するには、車両価格と運賃の合計金額の30%ほどの税金を払う必要がありますが、地元で購入できる車は整備状態があまりよくない割に値段が高く、選択肢も少ないので、外国からソロモン諸島へ来られるボランティアの中には、そうされる方も少なくありません。取得されるビザの種類によっては、自分がこれまで使っていた車やバイクを最初の入国から6か月以内に輸入する場合、税金が免除される取り決めもあるようです。

ソロモン諸島の道路は、未舗装の場所も多いとはいえ、右ハンドルの左側通行ですし、日本人にとって運転しやすいと思います。オートマチック車がまだ多くないので、マニュアル車の運転を知っておられると、役に立つことでしょう。また、今のところ国内に信号機はありません。

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

公立の病院が首都と各地方にあり、病院から遠い場所にはクリニックが設置されています。こうしたクリニックでも痛み止めの処方や消毒、傷口の縫合などは可能ですが、大きな病気やケガをした場合は地方の病院へ、さらに深刻な場合は飛行機で首都の公立病院へ送られることになります。基本的に無料で診療してくれます。

ホニアラには、有料ですが個人経営のクリニックがいくつかあります。お医者さんによって技術がかなり異なるので、地元の人からおすすめのクリニックを教えてもらうのが賢明です。私が一度、歯の詰め物をしてもらった時に支払った料金は、9,000円ほどでした。

Lukim iufala bihaen! (また会いましょう!)

執筆者:JO
執筆年月:2020年6月

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