海外社会貢献者からのメッセージ
Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
チューリップと風車の国、オランダ。多くの日本の方が持つこのイメージに違わず、オランダは農業大国です。街中から一歩出ると、のどかに草を食む牛や羊、馬などをいくらでも見る事ができます。
一方、外資系企業に対する税制優遇など、外国資本の投資環境が整えられており、様々なグローバル企業がこの国で活動しています。
ITベンチャー系企業の多い国でもあります。有名どころでは、世界のホテルを予約できるインターネット・プラットフォームの草分けとも言えるB会社の本社はオランダにあります。
また、環境保護に力を注いでいるのもこの国の特徴です。企業だけでなく、国民一人一人も「サステナビリティ」への意識が高いです。
全体的に財布のヒモが固いと言われるオランダ人ですが、ボランティアやチャリティーなどの慈善活動への関心は非常に高く、この分野にはしっかり寄付をするという公共心に満ちています。
そういった意味で、様々なボランティア活動の道が開かれている国と言えるでしょう。自然保護活動なども活発であり、色々なアイデアを学べる要素がありそうだと私も個人的に感じています。
文化
Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
今もオランダ人の中には「商人気質」が脈々と流れています。つまり感情論に流されず、非常に実利的に物事を見る傾向が強いです。
日本が鎖国政策をとっていた間にも、ヨーロッパの国としては唯一国交を結んでいた事からも、その実利的な姿勢をうかがい知ることができるでしょう。他のヨーロッパ諸国は海外進出(現地を植民地化すること)とキリスト教の布教が切り離せない存在だった訳ですが、オランダの場合はそこをスパッと「では商業活動のみでいきましょう」と決断できたことからもそのお国柄が分かります。
ではすべてが利益追求なのかというとそうでもなく、公共心に富み、本当に必要な物事にはドンと寄付をする、という太っ腹でサバけた一面も持っています。社会保障制度なども模範的としてよく日本でも取り上げられるようですが、それはこの国民全体としての公共心の強さに負うところがあると感じています。
また、「自分は自分、人は人」というプライバシーを尊重する国民性で、周りの人々の様々な価値観を大らかに、そのまま受け入れる人々です。賛否はありますが、良く話題となる大麻解禁や飾り窓地区、早期からの同性愛者受け入れなども、ある意味それを表していると言えるでしょう。
「違い」を笑って受け入れる、懐の深さがあります。ただし、自分のプライバシーは別問題。人からとやかく言われたくないというその一線はハッキリしており、ここは一種の「逆鱗」とも言えるかもしれません。
ぱっと見るとフレンドリーで笑顔の印象の強いオランダ人ですが、その物言いは歯に衣着せぬものがあり、他のヨーロッパ諸国の方でもカルチャーショックを受けたと言う人が多いです。思った事、感じた事は相手にどう受け取られるかに関わりなく、ストレートに表現します。「この新しい髪型、どう?」と聞いても、日本のようにほとんどの人が「うん、素敵だよ」と言ってくれるとは・・・どうぞ期待しないでください。
Q. 現地の食文化はどのようなものですか?
筆者の正直な感想で言いますと、オランダ食文化を日本人感覚の「豊かな食文化」と形容することは難しいと思います。
イタリアやフランスといった南方のヨーロッパと比べ、やはり北方ヨーロッパ、ドイツに近い物を感じます。お隣ベルギーとは同じ言語(フラマン語)を共有する近しい関係にありますが、ベルギーはフランスの影響が色濃く、食を大切にします。一方、オランダは北方ヨーロッパ感覚が強く、食事は二の次のような感じです。この二者の違いには面白いものがあります。
家庭料理と言えば、フライドポテトが昔ながらのオランダ料理の主食。このため、調理器具の一つとしてポテト揚げ機がおうちにある方も多いです。
また、「スタンポット」という料理も代表的家庭料理ですが、こちらはマッシュしたポテトに野菜、グレイビーなどを混ぜ込み、そのポテトの山の上にドン!と肉やソーセージが載っかって出てくる料理です。
一品一品繊細にお皿や盛り付けまでこだわる日本食からすると、お味はともかく、オランダ料理は見た目にあまりこだわらない、豪快なものが多いです。
この国独特の食べ物といえば、「ハーリング」と呼ばれる塩漬けニシンも有名です。海沿いの国なので、日本人の喜びそうな魚介類も入ってくるのがオランダの良いところ。
この塩漬けニシン、日本人ならショウガ醤油で食べそうですが、生タマネギのみじん切りをたっぷり絡めて食べるのがオランダ風。頭と内臓を除いた丸ごとニシンのシッポを持って高く掲げ、下方からかじりつくというのがこの国のいただき方です。これにオランダのビール、ハイネケンと共に、さあ、オランダの味をどうぞ。
また、オランダにはスリナム料理やインドネシア料理がありますが、それはそれらの国がオランダの植民地だったからです。日本人にはそれほど馴染みのない料理かもしれませんが、一般のオランダ家庭に深く根付いています。
スーパーでも、イタリア系コーナー、アジア系(日本も他のアジアも一緒くた)コーナーとは別個に、インドネシア系、スリナム系のコーナーを見つけることができます。
また、これはオランダだけではなく、西ヨーロッパ全体に共通して言えそうなことですが、カフェ文化はかなり発達しています。オランダ人はお茶党ではなくコーヒー党が多く、友人達と気軽にカフェに入ってコーヒー1杯でお喋りを楽しんだりするのが日常風景です。気兼ねなく長く居座っています(笑)。
レストランはお手軽価格ではほとんどありません。1杯のコーヒーならお財布を気にせず気軽に入れるという事情もカフェ文化の広がりの大きな一因ではないかと、お手頃価格の外食に慣れすぎた日本人の筆者は密かに思っております。
Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?
オランダの住宅街を歩いていて日本人がまずびっくりするものと言えば、「家の中が丸見えの大きな窓」でしょう。
道に向かって特大サイズの窓がついており、暗くなってもカーテンを閉めない家庭が一般的です。
オランダでは、日本で言うテラスハウス(縦割りの長屋スタイル)が庶民的な家の作りとして多く見られますが、ほとんどの家のリビングルームは通りに面した構造となっており、夜ともなれば奥の奥まで見渡せるほどオープンなオランダ人家庭が多いです。生活感をそれほど出さずに素敵にしておけるのは凄いなあと思ってしまいます。
大型の窓が採用されている理由としては、貴重な日差しをできる限り取り入れるためとよく言われますが、なぜカーテンを閉めず奥まで丸見えなのかという事に関しては諸説あり、オランダ人自身に聞いてもハッキリした答えは返ってきません。
よく聞く説としては、プロテスタントの「清貧」を強調し、何も隠すものはないという表明のため、というものがあります。真偽の程は分かりませんが、第二次世界大戦中にはレジスタンス活動を行っていないというアピールにもなったとも。
いずれにしろ、未だに多くの家々でリビングの大きな窓はオープンになっています。ぴっちりカーテンが引かれている家は逆に、「ああ、外国人が住んでいるな」というサインにさえ見えてしまいます。ちなみに、ローカルルールではまじまじとのぞき込むのはNG、目線を素通りさせるのがお約束です。
オランダの宗教と言えば先に述べた通り、歴史的にはプロテスタント(カルバン派)が主流でした。ただし、現在においては人口の半数以上が「無宗教」と答えており、無神論の方が大半という印象です。
とはいえ、移民も多いため、イスラム教を始め、色々な宗教が少数派ながらしっかり存在しています。宗教に関する話題は普段の会話の中ではアンタッチャブルなものだと感じている人がほとんどのようです。
気候
Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
オランダ人自身のオランダの気候に対する点数はかなり辛めです。皆さん、「雨が多いでしょ?日差しが少ないでしょ?ひどい天気でしょ?」と言われます。
わたしは、オランダ人の皆さんが自己申告されるほどひどい天気だとは思いませんが、風の強さは確かに折り紙付きです。
オランダが強風の国というイメージは皆さんあまりないでしょうが、思い出してください、ここは風車の国です! そう、納得ですね。オランダ人が雨でもあまり傘をささずにレインコートだけで(または全く雨対策の装備なしに!)ずぶ濡れになって乗り切る理由の一つはここにあります。
ちなみに、強風に煽られる傘は全く役に立ちません。また、天気が非常に変わりやすく、朝から晩まで雨という事が少ない割に、一日に何度も降ったり止んだりを繰り返すのも特徴の一つといえるでしょう。
オランダは気候区分としては西岸海洋性気候です。オランダの春休みは「クロッカス休暇」と素敵な名前が付いており、その名の通り、長く暗い冬の後、クロッカスが春の先触れとなり、有名なチューリプに先駆けて一斉に咲き始めます。
夏はカラッとしており、日本の夏と比較すれば非常に過ごしやすいです。四季はありますが、日本ほどにはハッキリしておらず、夏でも突然涼しくなってカーディガンや厚めの衣類が必要になる事があるため、基本衣替えは必要ない(できない)環境です。
海に近いため、冬も内陸のドイツなどに比べると比較的温暖ですが、どんよりとした日が続き、冬期うつなどの対処が必要!それで、ビタミンD摂取に励む方が沢山います。気温的には(特に昨今は)大して寒くないはずでも、風が強い時には、体感気温はかなり低いので要注意です。
温暖化の影響で、オランダの気候もだいぶ変わってきています。数日とはいえ、夏に30度を越える日も出始めており、クーラーなしが未だ一般的なオランダの家は大変な事になっています。
基本、寒い冬に備えて暖かさを逃がさない作りになっているため、大型の窓から日差しが注ぎ、室内の気温が上昇、そして暖気が逃げないゆえに、文字通りオーブン状態となります。外気温は既に下がっているのに、屋内は数日暑いまま、という事態にもなりかねず、屋外に逃げ出す人が多くなります。
冬には風物詩だったはずの凍った運河でのスケートも、ここ10年ほどはなかなかまともにできなくなっています。寒くなるとアムステルダム市も運河の水位をわざと下げて凍らせるように努めますが、なかなかまともに凍ることがありません。それでも運河スケートにトライする勇者たちがいて、毎年氷が割れて水中に落ちる事故が起きます。
2020年から2021年に渡る冬は記録的な寒さを記録し、非常にレアなスケートシーズンが到来しました。コロナ禍にも関わらず十数年ぶりのビッグチャンスに人々が一斉に運河に繰り出し、アムステルダム市は人が集まりすぎるエリアを封鎖しなければならなかったほどです。
Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
風土病などは特にありません。慣れていない人は、冬期うつに注意が必要です。
言語
Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
公用語はオランダ語です。
地方語も幾つかあり、有名なものとしてはベルギーでも話されているフラマン語などがあります。複数ある地方語はそれぞれの地域に行くと聞くことができます。
移民や外国人も多いため、特に都市部では英語を含む様々なヨーロッパ言語に加え、スリナム語、アラブ語など、様々な言語が話されています。
海外からの観光客も様々で、人気観光地では今まで聞いた事がないような言葉を耳にすることもできます。
オランダ語は、英語と同じアルファベット綴りですので、日本人にもぱっと見た感じとっつきは悪くないでしょう。オランダ語で難しい所は?というと、発音と文法(語順)が難しいという意見が多いです。
発音に関しては喉を開いて喉の奥で発音するG音などがあり、これに苦労する外国人は確かに多いです。ただしスペリングは発音そのまま、英語よりも楽な印象です。
余談ですが、オランダ人は地声が(笑い声なども含め)かなり大きいです。他のヨーロッパ諸国から来ている外国人の方でもこれを言われる事があるので、基本声の小さい日本人だけが感じる事でもないようです。これが言語の発音的なものから来ているのか、何か他の要素があるのか?興味は尽きませんが未だに答えは出ておりません。
生活
Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?
社会保障もしっかりしており、生活水準は高いと言えます。オランダ人にとって夏のバカンスは必須であり、日本のいわゆるボーナスの感覚でしょうか、バカンス費(?)が支給されたりします。
日本の消費税に当たる付加価値税は21%です。かなり高いですが、食品は9%と軽減税率が適用されます。1人1人の税金負担は軽くない国ですが、その代わり社会保障がしっかりしているため、セーフティーネットに対する信頼感は高いようです。
オランダはワークタイムバランスのお手本と言われる国の一つであり、雇用スタイルも個人の希望によりかなりフレキシブルです。事務所の終業時刻も18時と決まっていたら、その前から準備していて、18時きっかりにオフィスを出るのがオランダ流。定時が来たので、「さあそろそろ帰る支度をするか」と思って周りを見たら既に誰もいなかった、なんて事もあり得ます(笑)。
いわゆるパートタイムにも失業手当があるなど、かなりの程度の社会保障が用意されています。ただし、税金負担は軽くありません。外国人観光客が、「オランダはどこもかしこも道がいい!」と感心すると(実際、隣国などと比べても違いを感じます)、「これも私たちが払っているから・・・」なんて笑っている友人達もいます。
Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?
オランダの義務教育は5歳から18歳までです。初等教育は4歳からスタートし、義務ではありませんが、ここから学校に通い始める家庭も多いです。13歳から中高一貫教育となりますが、この前に初等教育最終学年で受ける全国共通学力テストを受け、3つのコース(大学準備コース、高等一般コース、中等職業コース)のいずれかに進むことになります。
子ども本人の主体性や得意な事を大事にする教育という一面が強く、クラス毎の授業というより、習熟度に応じて自分で時間割も選べるようにして、本人の自己管理能力を伸ばす教育が行われているそうです。
小学校の時から留年や飛び級もありますが、別に留年と言っても落ちこぼれといったネガティブなイメージは少なく、本人のペースで勉強が進んでいきます。
高校受験、大学受験といった受験がないのも大きな特徴です。最近ではこの日本とはあまりにも違う学校教育に感銘を受けて、子どものために日本から移住を考える親御さんも多いようです。
ただ、すべてがバラ色という訳ではなく、かなり高い率で子どもたちがうつになるなど、メンタルヘルスの問題も最近では取り上げられている事は覚えておくべきでしょう。
国自体が小さいため、大学数はそう多くはありませんが、世界順位100位以内に入っている大学が複数あり、大学の教育レベルは高いといえます。
Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
全体として治安は良いですが、人の多い街中ではスリ、置き引きは日常茶飯事です。
筆者の自転車は、鉄鎖のようなチェーンをしっかりしていたのに、それを切られ盗まれました。「おお、これで本当のオランダ住民になったね、おめでとう」とジョークを交えて友人達から言われるほど、自転車泥棒もほんと日常茶飯事です。狙われないため、わざとボロい自転車に乗っているんだ、とうそぶく人たちもいるほどです。
安全大国の日本の治安の良さとは比べ物になりませんが、普通に危機管理意識を持って生活していれば、特に怖いと感じる場面はそれほどありません。
ただし、発砲事件なども時々耳にしますし、実際に犬の散歩中の主婦が通り魔に殺されてしまった事件などもありますので、油断は禁物です。
Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?
基本的には、広さもそれなりにある住居がほとんどです。ただし、都市部の賃貸物件の人気は非常に高く、値段も安くありません。1軒募集があると、20人30人の希望者が列を作って内覧をするということがよくあります。
このため、今まで家を借りた実績もなく、過去数年の給与明細もない外国人や学生などにとって賃貸のハードルはかなり高いです。それで、アパートを丸々ではなく間借りをしたり、ルームシェアをしたりする方法を取ります。かなり狭いスペースに住まざるを得ない人たちもおられます。
地元の人でも若い世代が独立したいのに家が見つからず、独立できないという状況が見られ、国もなんとか解決しようと色々政策を打ち出してはいますが、なかなか追いつかないのが現状です。
日本の市営住宅のような公営住宅制度もあり、こちらは家賃も非常にリーズナブルですが、毎年登録料を払ってリストに名前をキープしてもらい、何年も待つ必要があります。例えば、アムステルダムでは大体12年から13年ほどの待ち時間が必要と言われており、その間「待っている」人は一体どこに住むのか?頭痛の種は尽きません。
大きな街の中心部には古くからの住宅が建て込んでいる場所もありますが、それ以外は市内でも緑地が沢山設けられており、至る所に走る運河のお陰で、グリーンベルトの緩衝地帯が沢山あります。
自宅内の木でも、大きなものだと鳥の営巣シーズンには伐採してはいけないといった条例があり、全体的に自然に優しい街づくりが常識となっています。
Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
もちろんインフラはきちんと整っています。ガスは今でも多くの家で使われていますが、政府はガスをなくす方向の政策に舵を切っており、将来的にはなくなると思われます。
最近のレポートでは、インターネット料金の高さがオランダはヨーロッパで一番、と評されていました。
オンライン化が進んでいるこの国においては、インフラ系もクリック一つで決定できる事が多いのですが、これは例外的な事が何も起こらない場合、です。一つでも「例外的な事」が起こると、その問題特定や解消に膨大な時間が掛かるのがオランダ。地獄を見ます。
私も最初の住まいでは、半年以上インターネット回線が入らないという(もちろん何度も解決のためにメールや電話のやり取りを挟みつつ)石器時代のような体験をしました。
また、家で何かが壊れた時などにやってくる職人さんたちも、良く言えば大らか、悪くいれば適当なやっつけ仕事をする場合があり、作業が無駄に長引いたり、逆にトラブルを引き起こしたりするという事もよくあります。
わたしも改装したての物件の1階に住んでいた時に大雨が降り、夜中にバスルームの排水溝から水が上がってきて部屋中が水浸しになり、大騒ぎになった事がありました。後で原因を確認すると、未だ外回りの作業をしていた職人さんが「一時的に」排水ラインと雨水排水のラインを繋いでいたとの事。
友人宅もヒーターにトラブルが起き、職人さんを呼んだら、なぜか家中のヒーターが一斉にダウンしていまい、いつ復旧するかわからないと言われたことがあったそうで、「なぜそんな事が?」という職人さんにまつわるトラブルは至る所で聞く事ができます。
Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
基本的に西側諸国の衛生基準ですので安心できますが、綺麗好きな日本人からすればツッコミどころ満載といった感じです。
スーパーでもパンなどが丸裸のまま並んでいて、最終的にはそれぞれ手で掴んで袋詰めなど、日本人からすると、ちょっとどうかな?と思えるものもそこここに見受けられます。よく言えば大らかですね。
Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
オランダの水環境はヨーロッパ内でもかなり良い方で、基本的に日本と同じように水道水をそのまま飲んでも安全です。もちろん、多くの方は浄水装置やミネラルウォーターを使っておられます。
Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
公共交通機関はよく発達しており、都市部ではバスに加えて、路面電車(トラム)も走っています。アムステルダムやロッテルダムなどの大都市には地下鉄もあります。
しかし、オランダでメインの交通手段は、何と言っても自転車です。環境保護を大切にする、しかも節約精神に富んだオランダ人にはピッタリはまる乗り物と言えるでしょう。
車より、歩行者より、何より優先されるのが自転車です。大きな道では車道、自転車道、歩道と3セットになっており、うっかり自転車道に歩行者がはみ出た場合、ひき殺されても文句は言えません・・・というのは冗談ですが、自転車道は完全に自転車優先で、ものすごい勢いで走ってくる暴走自転車にベルをけたたましく鳴らされることとなりますので、慣れていない外国人は要注意です。
歩道表示はなくて自転車道表示のみ、私はどこを歩けば良いの?となる事も。車でものすごく道が迂回していると感じる場所でも、なぜか自転車道は最短距離で作られていたりして、(筆者個人の感想ですが)自転車道を基準に車道が配置されているのだなと感じることも時々あります。
Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?
医療水準はそれなりに高く、いわゆるハイテク系の実験的な先端治療を行う世界的な施設などもこの国にはあります。
ただし、風邪やちょっとした不調でクリニックに行っても、門前払い的に扱われることが多いとも聞いています。つまり、乱暴な言い方をすれば、日々の不調に関しては自分で始末を付けなさい、ガンなどの本当に重い病気の時には素晴らしい治療を提供しますよ、といったところでしょうか。このせいで重篤な病気の発見が遅れることも多々あるわけで、議論を呼ぶところです。
オランダに居住する場合には国内の医療保険への登録が義務付けられています。毎月の支払いはばかにならないので、日本の比較的安い医療保険料に慣れている方の中には、はじめビックリする方もいるかもしれません。
実際に医療を受けた場合には、個人負担額の上限が取り決められているため、上限以上かかるケースでは残りの全額(注:保険適用外の医療もあります)が保険でカバーされます。ですから、持病があって毎月医療費がかかる方にはかなりお得な制度、健康体で全く医者いらずの方にとっては毎月保険料が高いだけ、という感覚が強いシステムです。
歯科に関してはこの基本医療保険ではカバーされないため、追加で保険を契約しておられる方がほとんどです。
執筆者:Miriko
執筆年月:2021年7月