海外社会貢献者からのメッセージ
Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
アフリカ大陸の南端に位置し、多種多様な人種、文化背景を持つ人々が、同じく多種多様な大自然と美しく共存する国です。金、プラチナ、ダイヤモンド等の鉱物資源の豊富な国ではありますが、失業率や犯罪発生率が相変わらず人々の生活を圧迫しており、心の支え、技術支援など、実際的な援助を必要としています。
文化
Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
個人差や民族による多少の差はあるものの、基本的に明るくフレンドリー、にぎやかで好奇心旺盛な気質の人々です。見知らぬ人同士でも、気軽に挨拶しを交わし、会話がはずみます。小さなことはあまり気にせず、おおらかに生きている感じの人々です。また、家族のきずなが強い人々です。
Q. 現地の食文化はどのようなものですか?
南アフリカの食文化と言えばブライ(バーベキュー)と言えるほど、肉をよく食べます。民族背景にもよりますが、主食はトウモロコシが原料のパップ、米、マッシュポテト等が一般的です。生野菜や季節ごとのフルーツも豊富で、価格も比較的安く入手できます。塩素消毒せず、水洗いだけでも安全に食べられます。
Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?
歌や踊りが大好きで、それらを通して自分たちの考えや主張を表現するのをよく目にします。総じて信仰心が篤く、地方に行くほど、週末に独特の衣装を身につけて教会に集う人々を目にします。アフリカ全体に共通しますが、何かをお願いした際、「できない」という返事をすることをためらう傾向があるように思います。ですので、肯定の返事や約束があっても、それが必ずしも実現しない場合があることも見込んでおいたほうが良いかも知れません。
気候
Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
地域によって異なります。ヨハネスブルグ近郊では、夏場は30度を少し超えるくらいの暑さです。雷雨が多く、雹を伴うこともあります。4月から10月まではほとんど雨が降らない非常に乾燥した冬となり、気温は氷点下になることもあります。ダーバン近郊は温暖なインド洋沿いの気候で、冬でもさほど寒くはなりません。ケープ地方は沿岸の風が強く、冬は雨の多い月々となります。全般的に、建物の作りが冬の寒さへの対応が不十分で、実際の温度以上に寒さを感じます。着るものなど、寒さ対策が必要です。
Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
狂犬病や破傷風等への注意喚起が何度かなされてきましたが、特に目立った風土病はありません。ただ南ア国内でも、高温多湿な地域を訪れたりする際にはマラリアに注意が必要です。日常的に脅威を感じるレベルではありません。
言語
Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
公用語は一つではなく、英語、アフリカーンス、ズールー、コサ、ベンダ、南ソト、ツワナ、ツォンガ、スワティ、北ソト、ンデベレの11言語あります。ただし、ほとんどの場合は英語でのコミュニケーションが可能です。これだけ言語数が多いですので、現地語のどれを学べばよいのか、迷ってしまうかもしれません。
生活
Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?
都市部では大きなショッピングモールがいたるところに存在し、ヨーロッパの高級車が大衆車並みの数で走っていますので、裕福な国という印象も受けますが、貧富の格差が極端に大きな国です。宮殿のような家に家政婦付きで生活する人々がいると思えば、毎日の食事もままならない人々もおり、様々です。
Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?
アパルトヘイトが終わってから国民全体の教育水準が上昇し、成人の7割以上が高卒レベルの教育を受けています。それ以上の高等教育まで受けている人の割合は、G20中では最低レベルですが、徐々に上昇傾向にあり、失業率の改善にもつながりつつあるようです。
Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
2020年現在、殺人発生率の世界平均は10万人につき7人ですが、南アフリカでは36人となっています。レイプ、性犯罪、ハイジャック等も増加傾向にあります。日本人も、空港出発時から追尾され、自宅到着時に襲われるケースに巻き込まれています。追尾車両がいないか気を配り、不審な場合はコース変更をして警察署へ向かう、また日常的には、華美な服装や目立つ行動を避け、同時刻に決まった場所に同ルートで行くといった、行動パターンを読まれるような状況を避けるなどの工夫が必要です。
Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?
数十件かそれ以上からなるコミュニティー全体を外壁で囲み、入場口に警備小屋とゲートを設けるのが、一般的な住居群の作りです。日本程度の家賃を支払えれば、リビング、ベッドルーム、キッチン、駐車スペース等、ある程度整った住居での生活が可能です。各住居に関しては、玄関に鉄格子、ベッドルームにも鉄格子、セキュリティーアラーム、非常呼び出し装置、といった装備が一般的で、強盗被害対策を意識した作りとなっています。
Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
電気水道ともに、国民の9割かそれ以上がアクセス可能です。ガスはボンベ使用となりますが、一般的に利用されています。インターネットについては、主要都市では家庭でも光アクセスが可能、プレトリアとヨハネスブルグでは5Gアクセスが可能、ダーバン、ケープタウン、及びハイウエイ沿い等では3G/4Gアクセスが可能です。
Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
都市部でのレストラン、スーパーの食品販売などに関しては、衛生状態もよく管理されている印象を受けます。地方の露店販売での肉類、飲料水等の購入に関しては、注意が必要です。最近は地方都市でもチェーンのスーパーが入っている場所が多いですので、そうした店舗の利用をお勧めします。
Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
都市部では水道水を飲用水として使用できます。地方では水道設備が整っていない場所もあり、そうした場所では井戸からの取水が必要かもしれません。そうした場合は煮沸やスーパーで購入した飲用水が必要となります。
Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
ハイエースベースの乗り合いタクシーが一般的ですが、外国人の利用はあまりお勧めできません。どうしても公共の乗り物が必要な場合はUberの利用が可能ですが、現実的には、自家用車での移動が唯一の手段になります。日本でETCに相当する設備を備えたハイウエイが主要三都市間を結び、さらなる整備も徐々に進められています。空の便は比較的充実しており、複数の航空会社が価格競争をしています。
Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?
ある程度の医療費の支払い、保険加入等が可能であれば、比較的リーズナブルな価格で、世界トップレベルの医療の恩恵を受けられます。基本的に、本人の支払い能力や保険加入を証明できる書類がなければ、緊急時でも医療を受けられません。万一救急車等を利用する場合も、保険会社経由での手配が一般的です。
執筆者:M’s
執筆年月:2021年3月