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各国情報提供

わたしの活動エリア「タンザニア」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

自然と共に生きるタンザニアの人々

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

タンザニアは東アフリカ1平和な国、と言われています。確かに日本と比べれば危険は多いですし、至る所で腐敗が見られ、何をするにも時間がかかりすぎますが、総括的に住みやすい場所です。

日本からも海外からも様々なボランティア団体が入って、色々な援助をしています。田舎の村に水を引いたり、学校の給食を提供したり、田畑の開発をしたり…。大学のフィールドワークで調査に来る学生もいます。

住みやすい国である一方で、保障制度がなく困窮する人も多くいます。お酒に走って中毒になる人、エイズの蔓延、盗み、シングルマザーといった問題も抱えています。一見フレンドリーで陽気な国ですが、心のケアを必要とする人々も少なくありません。こうした問題に対処するサポートを、微力ながらさせていただいています。

文化

のどかな風景が広がるタンザニア

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

タンザニアには「ポレポーレ」という言葉があります。「ゆっくり」「のんびり」というスワヒリ語なのですが、タンザニアの文化を表すのにぴったりです。人々はいつでもどこでも、のんびりしているのです。

タンザニアの普段の生活は時間も手間もかかります。田舎では朝早くに並んで井戸から水を汲み、炭や薪を使って料理をし、手で洗濯をします。徒歩じゃなければ着けない場所もたくさんあり、長時間歩くのに慣れています。こんな生活に慣れているからこそ、人々はのんびりしていて、忍耐強いのではないかと思います。

時間のかかる生活ですが、人々はそれを苦と思っていません。友人とお喋りしながら、時にはお茶で一服しながら、楽しんで時を過ごしています。知らない人とも会話し、進んで話を聴きます。人の尊厳を偏見なく重んじているからだと思います。地元の人の精神から学べることは、本当に多いです。

洗濯のお手伝いをする子どもたち

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

暑い国だからか、食材にはよく火を通す揚げ物が多いです。主食にはとうもろこし粉で作るお餅パンのようなウガリ、日本米に似たご飯、調理用バナナが使われます。主菜には豆、鶏肉、牛肉、ヤギ肉、小魚がよく使われます。副菜として夏野菜を使った炒め物が添えられます。

味付けは油と塩のみで、他の調味料は使いません。とてもシンプルですが、食材のうまさを十二分に味わうことができます。特に強い日差しを浴びた野菜たちはとても美味しいです!唐辛子を刻んだものや、油につけたもの、ソースにしたものをお好みで乗せられ、自分で辛さを調節できます。

地元の人が苦手なものは、火のよく通っていない料理と砂糖の入った料理です。ケーキやジュースなどのデザート的な甘さはいいのですが、料理で砂糖を使うことがありません。日本の小豆や煮豆について説明すると、必ず嫌な顔をされます。他にも刺身や卵かけご飯はもちろん、アルデンテのパスタも火が通っていないと敬遠されます。

とうもろこし粉の主食ウガリと、小魚のトマトソース

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

オンラインブリタニカ百科事典によると、タンザニアの宗教構成はキリスト教60%、イスラム教35%、残りが伝統宗教となっています。この宗教の割合は、都市によって少し異なります。例えば観光地で有名なザンジバル島では、99%以上がイスラム教徒です。一方キリスト教徒の多い南西の都市ムベヤでは、イスラム教で禁止されている豚肉がオープンに売られていたりします。

現地のマナーとしては、アラブの影響が濃く信心深い文化なので、女性の足の露出は嫌がられる傾向にあります。女性は膝下丈のスカートやパンツを選ぶなら、地元の人に敬意と配慮を示すことができます。

また出会ったときに、挨拶を交わすことはとても大事です。例え車に乗っていても、急いでいても、時間をとって挨拶を楽しみます。挨拶に気を取られて渋滞を引き起こしている車を、何回も見たことがあります。

タンザニア人の大好きな挨拶には、年長者への敬意を表すものから、若者同士の気軽なものまでたくさんの種類があります。道で会う外国人にいろんな挨拶をして、スワヒリ語が話せるか試してくる人もいます。タンザニアに来たら、ぜひ地元の人との挨拶を楽しんでいただきたいです。

イスラム教徒が多いザンジバル

気候

湿度が高く蒸し暑い海辺の地域

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

大部分が熱帯サバンナ気候に属しています。雨季と乾季があり、年間の気温差が少ない気候です。中央部は乾燥したステップ気候、山岳地帯は涼しい高山気候です。訪れる都市によって気温や気候が変わりますので、事前にチェックしておくといいかと思います。

季節のご紹介です。日本と違って南半球にあるタンザニアは、8月が一番涼しく、1月が一番暑くなります。また四季はなく、乾季と雨季の2つに分けられます。3−5月が大雨季、11−12月が小雨季と呼ばれ、その他の月が乾季です。大雨季の雨が暑さを和らげて涼しさをもたらし、小雨季の雨は蒸し暑さをもたらします。

都市による気候の違いですが、例えば大都市ダルエスサラームは港町で、年中日差しが強く、1月にはサウナのような蒸し暑さになります。観光地として人気のザンジバル島もダルエスサラームと似た気候ですが、四方が海に囲まれているので爽やかさを感じます。キリマンジャロ山の麓にあるモシは標高が高いので、雨季には寒く感じることもあるそうです。

健康維持のためによく水を飲むことや、暑い時には無理をしないことを心がけています。特に筆者は水を飲むのを苦痛に感じるタイプだったのですが、タンザニアに来てよく飲めるようになりました。

標高が高い乾燥した山岳地域

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

アフリカ全般に言えることかもしれませんが、やはり蚊にまつわる病気が多いです。代表的なものにマラリアやデング熱があります。マラリアは地元の人にとってはインフルエンザのようなもので、薬を飲むと1週間くらいで治ります。風邪のようによくかかる病気なので、日常的に「マラリアになっちゃって具合悪いのよー」という会話が聞こえてきます。

他には生野菜や生水に注意が必要です。寄生虫やアメーバが体内に入ることがあり、腹痛や下痢など消化器官のトラブルが起こりやすいです。日本からの薬は効かないことが多いので、病院で地元の薬をもらうことをオススメします。

健康を維持する予防策としては。栄養バランスの摂れた食事と睡眠をよく取る、蚊除けスプレーを使う、外出先での生ものを避けるなどができます。蚊は日没後から朝によく出没するので、その時間帯は特に気をつけると良いでしょう。

言語

アルファベット表記で読みやすいスワヒリ語

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

タンザニアには約125の部族がそれぞれの部族語を話していますが、教育によりほぼ100%の国民がスワヒリ語を話すことができます。対して英語を話せる人は少ないので、生活するにはスワヒリ語が必須になります。田舎ではスワヒリ語よりも部族語を話している人が多くなるので、地方に行った時は部族語も少なからず覚える必要があるかもしれません。

スワヒリ語はバントゥー語族に属しています。この語族の文法は日本語や英語と違うので、慣れるまでは混乱するかもしれません。ですが文字はアルファベットを使っているので読みやすく、発音しやすいです。地元の人はお喋りが大好きなので、実践で学んでいくといいですね。

生活

長距離バス乗り場で、日銭稼ぎをする物売りさんたち

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

その日暮らしの人が多いです。日銭稼ぎで、いつ仕事がなくなるか分からない人も多くいます。それでも人々はとてもたくましく暮らしています。朝ごはんを掘建て小屋で売ったり、物を売り歩いたり、お手伝いさんをしたり…。工夫をしながら、頑張って生きています。

お金がない時は人に頼む、ということが多い国です。親族はもちろん友人、出会ったばかりの人にまで聞くことをためらいません。「もらえたらラッキー」という感覚があるようで、当てにして言っているのではないそうです。特に外国人には抜け目なく聞いてくることがよくあるので、上手く断れるように頑張らなければなりません。

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

部族語がそれぞれあるものの、ほぼ全ての人が共通語であるスワヒリ語を話すことができます。読み書きできる人も多く、識字率は約77%と言われています。特に遊牧民のマサイ族は読み書きできない人が多く、スワヒリ語よりも自分たちの言葉であるマサイ語の方が得意です。

学校教育としては、小学校7年・中学校4年・高校2年・大学3-4年というシステムです。7歳から入学で、基本的に小学校は無料です。ですが、家の手伝いや遠すぎる距離、マラリアなどの病気によって一時的に学校に行けなくなる子どもも多くいます。ですので、同じ学年でも年齢が違うことが多々あります。

中学校は寄宿学校が多く、親元を離れる子どもが少なくありません。中学卒業後は高校に進む学生もいれば、技能学校で職業訓練を受ける学生、働く道を選ぶ(選ばざるを得ない)学生もいます。また困窮している家庭であれば、中学自体行くことができず、家の手伝いや農業に従事するようになります。

英語学習は小学校3年生から始まり、中学校以降は英語で全ての授業を受けますが、流暢に話せる人は少なく、正しい文法が苦手なようです。ですがタンザニアの人たちは耳がよく、学校教育を受けていない人でも道で聞いて覚えてしまいます。そして間違っていても躊躇いなく試そうとし、会話をしようとします。この積極的な姿勢には、いつも感心させられます。

読み書きする子どもたち

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

世界的には安全な方ですが、日本と比べるとスリや泥棒が多いです。外国人からだけでなく地元の人からも盗むので、いつでもどこでも注意が必要になります。また薬を使って眠らせて強奪したり、誘拐してお金を引出させたりという事件も頻発しています。

外国人はそれだけで目立ちますので、なるべく金品を持たず、高級そうに見えるものは持ち歩かないようにします。カバンは常に道路の内側に持ち、道路側には下げません。キョロキョロしすぎると逆に不審で目立つので、さりげない程度に周囲に気を配ります。

知らない人から物をもらわない、握手を避ける、食べ物を勧められても断る、なども必要です。日本人だと知っていて、その人の良さにつけ込む強盗も多いのです。相手が日本語で話しかけてきたら要注意です。あいさつ程度で、接触をできる限り避けます。

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

私が住んでいる平屋で2LDKの家は賃貸で、大家さんと同じ敷地内にあります。窓には内側に鉄格子、外側にガラスがあります。入居前に出入り口には木製のドアしかなかったので、個人的に鉄格子のドアを付けさせてもらいました。ペンキを塗ったり、壁に釘を打ったり、こちらでは賃貸であってもDIYがやりたい放題です!

大家さんの敷地の周りにはしっかりした2mほどの塀の上に、尖った柵が設置されています。鉄製のゲートで強固な鍵がついていて、夜間には何匹かの犬が放たれます。私の家も大型犬を飼っていて、番犬として家を守ってくれています。

昼間は大家さんの関係者が常にいて賑やかなので、空き巣よけになり安心です。家の前の道も人通りが多く、近所には警備員を雇っているお家がたくさんあり、泥棒が近づきにくい環境です。1人の場合はなるべく暗くなる前に帰宅し、常に施錠するよう気をつけています。

泥棒よけに犬がいると安心

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

私が住んでいるのは都市部なので、どれも手軽に使えます。時々予告なく断水がありますが、通常は蛇口をひねれば水道局から水が来ます。時々停電も突然起こりますが、普段は問題なく使えます。ガスはプロパンガスで、無くなったら缶を持っていって満タンのものと変えてもらいます。インターネットもいろんな会社があり、いろんなプランを選べます。

水道は使った分だけ月々後払いで、2人で普通に生活して月500円ほどです。電気とインターネットは前払いで、電気は月3,000円ほど、インターネットは2000円ほどかかっています。ガスは1回2,500円払って、毎日自炊しても4ヶ月ほど使えます。

田舎であれば、朝5時に並んで井戸から水を汲んで、その日の分を確保します。ガスはなく主に炭や動物の糞を燃料に料理します。電気は通っているところが多いですが、頻繁に停電するので、常に充電を忘れないようにしなければいけません。

道端でキャッサバを揚げる人

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

外国人用のお店であれば、大体安全です。地元の人が行くお店では、生のものには気をつけてください。常に手洗い消毒を忘れずに、水滴が付いて出てきたお皿やフォーク、飲み物の瓶の口などは使う前にティッシュなどで拭うと安全です。

特に暑い時期には、作りたてのものを食べるようにするといいです。いつ作られたのか分からない物や、見るからに新鮮でないものは避けた方が無難です。調理済みの魚介類を売り歩く人がいますが、お腹の弱い人は食べない方がいいでしょう。

食べ物によく火を通す地元のコックさん

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

私はバケツ型のフィルターに水道局から来た水を入れて、濾過されたものを使用しています。水道局の水も煮沸すれば飲めますので、たくさん沸かして保存しておいてもいいかと思います。大抵どこのお店にも大きなボトルで水が売られていますので、それを購入する人もいます。

地元の人は蛇口から直接飲むことも多いのですが、外国人は絶対しない方がいいでしょう。アメーバや寄生虫などに侵入されるリスクが高いので、必ず飲料水を手に入れましょう。歯磨きなどで口を濯いだり、うがいをしたりする時も、飲料水を使った方が無難です。シャワーを浴びる時は、なるべく水が口に入らないよう注意します。

飲み水を確保できる濾過装置

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

都市部は市内バスが発達しています。特にダルエスサラームは縦横無尽に快速バスと普通バスが走っていますので、とても便利です。普通バスはスワヒリ語で「ダラダラ」と呼び、1回20円ほど(長距離乗車であれば50円ほど)で乗れます。バス停かどうか分からない所もありますし、合図しなければ停まらなかったりするので、慣れるまでは乗車時に添乗員に降りる駅を告げておくと安心です。

バスよりも速く便利に動けるのが、三輪タクシーの「バジャジ」です。インドなどでは「トゥクトゥク」と呼ばれています。ここ数年ではuberが発達し、普通車のタクシーだけでなくバジャジもこのアプリで呼ぶことができます。距離によってお値段が変わりますが、10分程度の距離なら150円くらいです。

車が通れない小道や、渋滞している道路で活躍するのがバイクタクシーです。「ピキピキ」と呼ばれるバイクタクシーですが、事故に遭うことも多いので注意が必要です。都市部ではなるべく短距離で使う方がいいでしょう。5分程度の距離で50円くらいです。

とても便利な三輪タクシー、バジャジ

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

マラリアなど地元の人もよくかかる病気であれば、最寄りのクリニックにかかっても大丈夫です。地元の人からどの病院がいいか、情報をもらうといいでしょう。マラリアの薬や寄生虫の薬は比較的安く、500円以下で薬局にて手に入れることができます。

私はまだマラリアにはなっていないのですが、デング熱にかかった事があります。高熱が出て寒気が続いたので血液検査をした所、なんとデング熱である事が判明。2日後には下痢・嘔吐・吐き気が悪化して薬も戻してしまうため、結局点滴をしてもらいました。体力が戻るまで1ヶ月ほどかかり、後遺症の抜け毛はその後2ヶ月ほど続きました。

手術を伴うような大きな病気であれば、帰国するか隣国に行くことが薦められています。ケニアや南アフリカは医療が比較的整っていますので、そちらで検査を受けると良いでしょう。タンザニアの医療はまだ発展途上で、特に外科的治療は技術が良くありません。その中でも比較的良い病院に行こうとすると、外国人経営のプライベート病院になりますので、かなり高額になってしまうようです。心配な方は、海外医療保険に入ってくるといいと思います。

デング熱にかかった時の点滴

執筆者:Miyuki Meta
執筆年月:2020年11月

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