海外社会貢献者からのメッセージ
Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
2つの大陸の間に位置するトルコは、ヨーロッパとアジアへの玄関口である魅力的な国です。 トルコには非常に豊かな歴史と遺産があり、アンカラ、イズミル、有名なイスタンブールなど、多くの歴史的な都市があります。トルコには、ボランティアでさまざまなプロジェクトに取り組む機会があり、ボランティアを通じて、国の異なる側面を発見することができると思います。
2011年にシリアで内戦が勃発して以来、トルコは100万人以上の難民を受け入れるために国境を開いてきました。支援にはボランティアが必要ですが、難民と協力するプロジェクトでは、ほとんどの場合、訓練を受けたスキルのあるボランティアが必要です。プロフェッショナルのボランティアとして支援したり、寄付したりする方法について詳しく知りたい方は、国際レスキュー委員会や国連難民庁などの救援組織に連絡することをお勧めします。
私が活動しているアダナ県アダナ市はシリアとの国境まで車で3時間半の場所に位置しており、難民を助けるためのプロジェクトがなされています。PTSDとなるような事を見てきている人たちの真の聞き手となり、物質的な援助だけではなく、もっとも必要としている心の慰めを与える活動もなされています。
文化
Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
トルコ人はもてなすことが大好きでとてもフレンドリーなところがあります。特に日本人は大好きです。トルコ人男性は日本人男性に比べていかつく見えますが、基本的に優しく、助けることが好きです。しかし感情が豊かなため普通の会話がエスカレートし、喧嘩をしているように聞こえることもあり、最初は慣れるのに時間がかかるかもしれません。
ややプライドが高く、自分の国に誇りを持っていて愛国心の強い国民性だといえます。
嘘をつくことが文化の一つであり、ビジネスでも普通にうそをつかれ被害にあう可能性があるので前払いをすることは絶対に避け、何かしらの契約をするときは信頼できるトルコ人の知り合いかトルコ語が流暢に話せる方を連れていくことをおすすめします。
何事もおおざっぱで適当なところがあるので、きっちりしたとした日本からくると最初はびっくりするかもしれませんが、そのうち小さなことにとらわれ過ぎない”なんとかなるさぁ”という感覚が心地よくなってくるでしょう。
Q. 現地の食文化はどのようなものですか?
世界三大料理と知られているトルコ料理。宗教上豚肉が禁止なので、昔から羊の肉を使った料理がたくさんあり、西洋と東洋の中間に位置するため場所によって異なる食べ物が味わえます。エーゲ海地域では野菜とオリーブ油をたっぷり使った料理が家庭ではよく作られ、ヨーグルト、漬物とパンがついてきます。東洋地域では肉料理が多く、有名なケバブが様々な形で食べることができます。生野菜のサラダが何種類か出てきて一緒にピデという平たいパンに包みながらいただきます。量は基本的にたっぷりあるのでみんなで分けて食べるのもありです。
食事の時によく出てくる飲み物のなかにアイラン(Ayran)があります。日本にある飲むヨーグルトに似ていますが、さらさらしていて味は甘くなく少し塩が入っています。食事の消化を高めると言われていて、私たちは夏バテ予防に飲んでいます。
トルコ料理で忘れてならないのが、朝食!きゅうり、トマト、ピーマンなどの生野菜に加え、数多くあるチーズに卵、トルコソーセージなどがたっぷりでてきます。何種類もの手作りジャムとはちみつをバターと絡めて頂く温かいパンは最高です。
Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?
基本的に朝はゆっくりな方で、特に週末になると10時過ぎに起き、11時くらいに朝食をとる家庭がほとんどです。
国の宗教はイスラム教です。イスラム教もいろんな宗派があり、宗派によって服装や儀式が違います。
挨拶はキスを両方の頬に一回ずつするのが習慣ですが、仕方も宗派によって変わってきます。例えばスンナ派は異性に触れることが禁止されているので同性の頬にキスをします。地中海側は考え方がとてもオープンなので、性別関係なく初対面は基本的に握手、そのあとはキスを頬にします。判断が難しいと感じる場合は相手がどのように出るかを見るのがよいでしょう。
一日5回の礼拝があるので、祈りを呼びかけるアナウンスが毎日五回あります。金曜日は聖なる日とされているのでモスク(Cami)へ礼拝に行く男性をよく見かけます。
気候
Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
国土が広大なため場所によって気候がとても変わってきますが、日本のように四季が味わえる国です。
例えば、トルコの南部にあたる地中海に面しているイズミルやボドルムは地中海性気候で夏は高温で乾燥していて、冬は雨が多く湿度が高めです。トルコの東部にあたる黒海に面しているイスタンブール、サムスン、トラブゾンは温暖湿潤気候で比較的過ごしやすい気温ですが雨量と湿気が多いです。内陸部は大陸性気候で寒暖の差が激しいです。行く場所によって気候が変わるので目的地と季節に合わせた服装をされることをお勧めします。
私たちが活動しているアダナ市は冬は比較的温暖ですが、夏は高温多湿で日本を思い出します。紫外線も日本と比べてとても強いので、日焼け止め、帽子や良質のサングラスは必ず持参なさってください。
Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
狂犬病、A型肝炎、B型肝炎、腸チフスがあげられます。トルコの医療水準があまり良くないので、心配な方は旅行される前に予防接種を受けることをお勧めします。またトルコには野良犬や野良猫がたくさんいます。かわいそうに見えますが、どこかの誰かには世話されているので、できるだけ触らないようにしましょう。
トルコの水道水はあまりキレイではないので、市場などで買った野菜や果物を生で食べる場合はお酢などを使ってしっかりと洗うことが大切です。おなかの調子を整えるために私たちは常に乳酸菌サプリと発酵食品をとるように心がけています。
言語
Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
トルコ語は言語改革がなされたあと、アラビア語表記からラテン語表記になったのでローマ字読みができ学びやすいです。文法も語順も日本語に似ているので日本人にとって比較的学びやすい言語だと思います。ただトルコ語ではLとRの発音がはっきり違いますので、この違いをしっかり学ぶ必要があります。
どこの国もそうかもしれませんが、現地の方は話すのがとても早いので、恐れずに「ゆっくり話してください」と言ってほうがいいです。イスタンブールのトルコ語はとても聞き取りやすいですが、地方にいけば行くほど訛りが強くなっていきます。
人の出入りが多い国ですが、英語を話せる人が少ないので、空港やホテルでも英語が通じるとあまり期待しない方が良いかと思います。
東部は公用語のトルコ語に加え、アラビア語やクルド語を話す方も多くいます。
生活
Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?
貧富の差が激しく、移民や難民は簡易テントやミニバン、または今にも崩れ落ちそうな家に住んでいるのを見かけます。反対に良い仕事につけている家族や海外にでる機会があったトルコ人は裕福で、家を何軒か所有している場合もあります。
生鮮食品は日本の1/6くらいの値段で、とても生活費を抑えてくれます。家賃は場所によって変わりますが、安全できれいな3LDKの家も日本の値段の半額くらいで見つかると思います。ちなみに私たちの現在の家賃は日本円で約24,000円。間取りは3LDKでお手洗いが3つあり、ベランダが2つとなっており、快適です!
ガソリン価格は日本とほとんど変わりません。
外資系ファーストフード店は日本に比べて少し安めとなっています。他国の物価水準よりも低いため、外国と同じ値段にするとトルコ人にとっては高価になります。それでトルコ人の生活水準に合わせて少しだけ安くなっています。(トルコ人にとってはそれでもまだ少しお高めだと思います。)
Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?
トルコは12年の義務教育があり2つの学校に分かれています。 最初は6/7歳から14/15歳までの生徒が行く小中学校があります。この教育は8年(1年生から8年生)続き、4年生から外国語のレッスンが始まります。高校は14/15歳から18/19歳までの生徒がいき、4年続きます(9年生から12年生まで)。生徒によっては5~8年生の期間、別の中学校に行く場合もあります。公立学校は無料です。
小~高の教育水準が低いため、ほぼ全員と言っていいほど大学に行きます。パートタイム制度がないためマクドナルドで働くにも大卒でなければなりません。しかしトルコの大学費用は他のヨーロッパの国に比べて比較的安く、近代的なキャンパスと最先端の施設を備えています。教育の質も良いといわれています。
Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
トルコの治安は、危険といわれている一部を除けば悪くありません。日中は一人で安全に歩くことができますし、夜も人通りが多い道では安全に歩けます。観光都市は旅行者をターゲットにしたスリやひったくりの被害を時々聞きますので、貴重品は身近に持ち、財布や携帯はズボンの後ろポケットにいれないことをお勧めします。
トルコでは値切り交渉ができます。外国人と分かると高い値段を必ず言ってくるので、値札が付いてないものは必ず値段を聞き、値切ってみましょう。
昔からテロと戦いをしてきたトルコなので、いろんな場所に銃を携行している兵士や警察を見かけます。車で移動する場合はたくさんのセキュリティチェックポイントを通過します。特に何かがあって出動したのではなく、いつもいるのでご安心ください。必ずと言って良いほどIDをチェックされるので、パスポート、ビザや滞在許可書は常に持っておきましょう。持っていないと罰金を払わなければならなくなるのでご注意を!
Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?
大都市はほとんどマンションかアパートです。田舎の方に行けば一軒家もあります。プールやジムがついているコンドミニアム(SITE)もたくさんあります。
防音素材を使わないせいか、音が響きやすいので隣接する部屋からの騒音が聞こえる場合があります。通気性の悪い家が多く壁にカビが生えることもあり、それをペンキで隠すだけのアパートもあるので、喘息もちの方やアレルギーのある方はできるなら築年数1~3年以内の家を探すことをおすすめします。
観光都市-ボドルムは法律上2階建ての家しか建てられず、壁は白と決まっています。象徴的な外観を守るためだそうです。ギリシャの海辺を思い起させる風景です。
賃貸のメンテナンスは大家さんの責任なのですが、言ってもほとんどしてくれないことが多く、時間がかかるので借主がすることが多くみられます。
Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
水道インフラですが、上水道は基本的に良い方だと思います。下水道はあまりよくなく、大雨が降ると運転できなくなるほど道に水が溜まります。
電気は停電が起こりやすいのが難点です。事前に通知もなく電気や水を切られる時があるので、大きなペットボトルなどの飲み水を特に常備しておきましょう。
都市部は都市ガスがありますが、地方は電気でお湯をつくるタンクかソーラータンクが屋根に備えられています。長い温かいシャワーが取りたい方には残念ながらすこし物足りないことでしょう。
現在活動しているアダナ県市内では光ファイバーがマンションに備えられています。日本円で月々約1,400円。ここ最近になって光ファイバー網が普及し始めていると思います。地方ではDSLか3/4Gによるインターネットの使用となります。以前にいたボドルムではDSLしかなく、値段はその分お安めで月々約900円でした。
Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
レストランやファーストフード店は基本的きれいだと思いますが、外国からきた方が外食すると最初は必ずと言っていいほどお腹を壊します。体が慣れていない細菌にびっくりしている場合や病原性大腸菌による食中毒の疑いの場合もあるので、基本的に生ものは避け、火のよく通ったものを食べるようにしてください。夏場は熱いため、肉の管理ができていないお店をありますので、ご注意ください。
Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
トルコの水道水はほとんど飲めませんが、うがいや歯磨きには使用できます。飲料水は19リットルの水のタンクを配達してもらうこともできますし、個人で調達することもできます。または水道水のパイプにフィルターをつける家庭もあります。わたしたちは個人で水道水を浄水フィルターにかけて飲んでいます。
Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
トルコでは車両優先と考えるドライバーが多いことから無謀運転も多く、歩行者優先ではないので気を付けて道路を通行してください。隙間があれば入れ、という感覚なので2車線なのにいつの間にか4車線になっている状況をよく見かけます。五人乗りの車に8人乗っていたり、ミニバイクに赤ちゃんを抱いたお母さんを乗せていたりとありえない状況をよく見ます。しかし車での旅行は基本的に道路が整備されているので快適で、高速道路も少ないので旅費の負担が抑えられます。
車が高額ということもあり車を持っていない家族も多くいます。そのため国内線の飛行機が多数飛んでいて、比較的安価なのでこの手段を使う人もとても多いといえます。県と県を跨ぐのにバスや電車もあります。
Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?
トルコには私立と公立の病院があります。公立病院の医療サービスの質は低く、設備やケアの面で心配があるといえます。私立病院は高額とはなりますが、衛生面や医療設備などの面を考えると私立病院を使用した方が安心だと思います。
長期滞在する場合は、保険の購入が義務付けられています。短期滞在であれば旅行保険などに加入しておくことをお勧めします。
またトルコには日本語が通じる病院がなく、英語を話せる医者もとても少ないのでトルコ語が分かる人を連れていくか通訳をつける必要があります。
執筆者:kanikochan
執筆年月:2020年7月