海外社会貢献者からのメッセージ
Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
モンゴルは民主化して30年以上が経ち、経済的にも発展を遂げてきた国です。
年配者は社会主義を経験し、若者は自由主義下に生まれているので、世代のギャップを感じてもおかしくないのですが、もともと家族単位のつながりが強い国なので、老若が補い助け合いグローバルな社会の変化にも順応している印象です。
私がモンゴルで生活し始めた10数年前は、民主化が定着し始め日本ブームも長らく続いており、多くの人が日本の文化、教育に関心を持ち日本語教師も引く手数多でした。今はもっとグローバルになり、携帯や電化製品、自動車、食料品、医療、ファッション、コスメなど様々分野で諸外国の影響も色濃く受けています。
以前より海外に留学する傾向がありましたが、近年留学に加えて技能を身につけるための実習生や就労を目的として海外に行く人も増え、先進国で取得した様々なノウハウを自国に戻り反映する努力もなされています。さらに外国人とビジネスパートナを組み起業したり、モンゴルの乳製品、産物などを活かした加工品を国内外で販売したり経済活動も活発です。
日本のようにアルバイト、パートのシステムがまだ少なく、1日中職場に拘束されたり、渋滞で帰宅が遅くなったりする人も多いため、外食産業やデリバリー、ケータリングも急速に人気が高まりつつあります。さらに移動を苦にしない国民性なので、頻繁に引越しを繰り返す人が少なくありません。それで日本を真似た引越し産業もここ数年で増えてきました。
大抵のモンゴル人は、聴いたことをすぐに記憶し口頭で伝える能力に秀でており、それゆえ口コミは重要な情報源になっています。地域社会のつながりよりも、家族、親戚、友人間のつながりが強いので、そうした関わりを理解し溶け込むように努力することが社会貢献者として活動し続ける上で大切です。
文化
Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
大陸で気候も安定しているので、基本おおらかでのんびりしています。すべての人が牧畜や遊牧生活をしているわけではありませんが、一か所に定住する習性があまりなく、土地や所有物に対する執着心がありません。
流行には敏感で、内面より外見、質より量、小より大、地味より派手さを好みます。来るものは拒まず、去る者も追いません。
最近の女性の社会進出はめざましく、様々な分野で女性が活躍しています。同時に世界的な傾向にもれずモンゴルも離婚率が高くなり、シングルマザーとして生活するゆえに男性並みに働かざるを得ない女性も少なくありません。
男性は幼少期からモンゴル相撲に親しみ野性味のある方が好まれてきましたが、社会主義崩壊後は体力のいる酪農より商才が求められるようになり、遊牧生活を捨てて都市に出てきたものの就職にありつけず、ストレスから酒に溺れてしまう残念な傾向も見られます。
Q. 現地の食文化はどのようなものですか?
遊牧生活を送るゲル住まいの人たちは、肉と小麦を中心にしたシンプルな料理を好みます。代表的なものとして、大鍋で羊やヤギの臓物や肉を煮たり蒸したりして塩で味付けした料理や、その残り汁に米や麺を入れてお粥やうどんにした料理などです。
ゲル住まいでもアパート住まいでも一般家庭で食されているのは、マントウボーズ(肉まん)、ボーズ(蒸し餃子)、ホーショール(揚げ餃子)、ピロシキ、ツォイワン(焼うどん)といった料理です。最近では上記の定番メニューに加えて、多国籍な料理も人気です。
モンゴルで生産される野菜の品種は少なく、外国からの野菜は出回っていても調理する方法を知らない人も多いので料理のレパートリーはあまり多くありません。
また3食きちんと摂る習慣がなく、昼か夜いずれかの食事に重点を置いています。
乳製品は豊富で、牛乳を入れたスーティツァイ(塩入りミルクティー)はどこの家庭の食卓にも上ります。
伝統料理ホルホグ(羊肉の蒸し焼き)
Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?
家族、子供をとても愛し、祭り事が大好きな国民です。核家族が増えてきた現在でも祝祭日には祖父母も交えてピクニックに出かけます。親が年老いた時、介護施設はほとんどないので、基本的には一番年下の子供が親と同居し世話をします。
モンゴルの主要宗教はチベット仏教ですが、カザフ族の人はイスラム教、韓国や欧米に出稼ぎに行く人も多いのでキリスト教の影響も強く、多くの宗派や宗教が混在しています。
現地特有のマナーとしては、若い人がバスの中で年配者や妊婦にすすんで席を譲ることがあげられます。乳幼児がぐずって大声で泣いても、迷惑がったり不平など言ったりせず、気遣います。
興味深い習慣としては、足と足が偶然ぶつかったり当たったりした時には、すみませんという代わりに握手をすることです。この習慣の意味が分からない異性同士の握手の習慣のない日本人は、急に握手を求められ驚き当惑します。男性でも女性でもあいさつの際握手をします。親しい家族、親族、友人間で握手やハグする光景はよく見られます。
ゲルに住む人の場合、伝統的なしきたりがあります。ゲルの入り口のドアに背もたれしたり、敷居をまたぎながら話をしたりしてはいけません。基本ゲルでは土足です。アパート暮らしの場合は靴を脱ぎます。家に入ったら帽子を取り、帽子をかぶる側を上にして置いてはいけません。座席も下座上座のような座席指定があります。
気候
Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
土地が広いので21県それぞれに気候の特徴に多少の差がありますが、海がないので台風などによる自然災害がなく安定した気候です。
首都ウランバートルの冬は例えるなら冷凍庫。積雪は少ないものの日中の気温がマイナス15℃から30℃の期間が11月末から2月末まで続きます。寒いとはいえ気候が安定しているので冬が嫌いなモンゴル人は少ないです。
3月から雪解けと砂嵐が始まり、5月は新緑、梅雨はなく、7月はモンゴリアンブルーと言われる雲ひとつない真っ青な晴れ間が続き、10月初めまで気候は安定しています。10月半ばから雪が降り始め、11月半ばから急に冷え込み始めます。
ウランバートルより以北以東の県では、冬はもっと冷え込みが厳しく積雪も多く、以南以西の県では、より紫外線が強くかなり乾燥します。
健康上気をつける点として、冬は風邪、気管支炎、神経痛、リウマチの予防のためしっかり厚着し長時間の外出は控えます。体を冷やさないためにも綿やポリエステルの生地ではなく革製品やフェルト製品を身につけることをおすすめします。ダウンやフリースもいいですが、長時間は耐えられません。外出中も冷たい空気を肺に入れないよう口をマフラーなどで覆ったり、外で歩きながらおしゃべりをしすぎたりしないようにします。これはゲル地区の使用する石炭や車の排気ガスの大気汚染から身を守るためです。逆に室内は暖房が効いているので、厚着をすると汗をかき、その状態でまた外出すると風邪をひく原因になるので、衣服の着脱はまめにすることが大切です。また底の厚い靴を履いたほうがいいです。地面は雪がなくても冷凍庫状態なので足先が冷え、風邪、凍傷、子宮筋腫の原因になりかねません。
夏は水分補給をしっかり摂らないと熱中症、日射病になります。夏の日中の長時間の外出は避けなければなりません。あまりにも紫外線が強いので汗も速乾し、水分が体から出ていることにも気づかないことがあるので、汗量にかかわらず水分補給はこまめに摂らなければなりません。夏冬共通して乾燥しますので、シワやシミを防ぐため肌には水分より油分でしっかり保護することが大切です。
夏、田舎で自家製のヨーグルトなどの乳製品を勧められて食べる際には、必ず容器が清潔か匂いは悪くないか確認してから口にしないと食中毒の危険があります。
さらに、モンゴル料理といえば脂肪分の多い羊肉です。暑い時期には喉が乾いてしまい、つい冷たい飲料水が飲みたくなりますが、油分の多い肉と冷たい飲料水を一緒に食し下痢を起こすこともあります。また肉の食べ過ぎで野菜不足から便秘にもなりやすいので飲食にはくれぐれも注意を払ってください。
真冬のマイナス30℃は10分足らずで水筒の水も凍る
Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
風土病の種類は都市部と地方で違います。
都市部では人口が集中しており、人との接触が多いため、A,B,C型肝炎、結核に感染するリスク、またゲル地区で使用されている石炭の煙、車の排気ガスによる気管支炎や喘息疾患などにかかる可能性があります。
遊牧生活を営む人が多い地方では、ブルセラ症、炭疽菌、髄膜炎菌性髄膜炎の感染疾患の危険があります。炭疽菌は、ウシ、馬などの動物(毛、革製品なども含む)から人間に感染しますが、人から人へはめったに感染しません。ブルセラ症は、動物にも人にも感染し、モンゴルではウィルス肝炎に次ぐ危険な感染症で、増加する傾向にあります。人には、調理されていない乳や乳製品や、感染した動物(主に家畜)との接触によって感染します。
都市部、地方で共通に見られる疾患は狂犬病です。これは都市部のゲル地区に住む人や地方の遊牧民が飼っている犬や野良犬、もしくはかなり田舎に生息する野生動物に噛まれる危険性が高いということです。
言語
Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
大半のモンゴル人はモンゴル語を話します。バヤルウルギー県に住むカザフ族の人たちはカザフ語を話します。モンゴル人の話すモンゴル語と中国自治区の内モンゴル人の話すモンゴル語は文字と語彙が違います。モンゴル人はキリル文字を使い、英語と同じ発音のものもあります。
日本人がモンゴル語を学ぶ時に一番挑戦となるのはおそらく発音でしょう。英語のアルファベットにRとLの違いがあるように、モンゴル語にも似たようで違う発音を持つ語があります。寒い気候のモンゴル人は口を大きく開けて発音せず、舌や息で発音する語は日本人にとって聞き取りや発音に苦慮するところです。文法は日本語と似ているので比較的学びやすいですが、男性母音、女性母音、動詞の語尾変化は慣れるまで時間がかかるかもしれません。
韓国語、ロシア語、英語を話す人がモンゴル語を学ぶのに使用するテキストはたくさん出回っていますが、日本人用のモンゴル語のテキストは種類が少ないです。ですから独学で学ぶにも限界があり、モンゴル語をしっかりマスターしたいのであれば現地に赴き、大学その他の言語学校で学ぶしかありません。しかしこれもモンゴルでは大きなビジネスで、高額の学費や授業料もモンゴル語を学ぶというハードルを高くしている要因の一つです。
生活
Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?
ここ10年でモンゴルの経済水準も向上してきましたが、収入の格差は大きいです。社会主義政権影響下にあった1990年くらいまでは、医師、看護師、教師、銀行員、国家および地方公務員は終身雇用が保証され収入が安定していたようですが、民主化後は商才や先見の明のある自営業や事業で成功した人たちが富裕層になりモンゴル経済を牽引しています。
モンゴル人が乗馬する姿も勇ましいですが、今や馬は日本車に取って代わられました。日本のプリウスはタクシーにも利用されており、自家用車の中で一番普及率が高いです。大家族で、がたいも大きいモンゴル人にとってランドクーザーやワンボックスカーは人気があり、女性でも軽々と乗りこなしています。
スローライフの地方では乳製品や野菜やアパートなどの賃貸料こそ首都より安いですが、賃金はかなり低くなります。
都市、地方共に生活水準が上がったこともあり物価もここ10年で3倍から5倍は高くなっています。さらにここ数年のうちに消費者金融やローン会社もかなり増えました。
Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?
識字率は途上国の中でも高い方だと思います。特に読み書きに関しては小学校の低学年でかなり徹底されます。JAICA,KOICAなどの援助により教育水準も向上してきました。
社会主義時代には、男には肉体労働、女には頭脳労働、という考えが強く、女性の進学率が高かったものの、今ではコンピューター関係や技術職という分野も開け、男性の進学率も高くなっています。特に都市部では近年英才教育、情操教育に力を入れ始め、子供のうちから習い事や塾に通わせる親御さんも増えています。多くの若者が国内外の専門学校、短大、大学、大学院に進学するため、教育費の負担も大きくなっています。
モンゴルの幼稚園、保育園、小中高大学いずれも、9月から一斉に授業が始まり、5月いっぱいで終わります。夏の3ヶ月間全ての教育機関が休みになります。修業期間が短い分、学校の勉強は宿題も多くかなり詰めて進められます。
Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
15年以上前は路上生活者や物乞いする子供も多く、真冬でも泥酔してそのまま道路で凍結死した人も見かけました。モンゴル人女性の一人歩きさえ危険でした。しかし近年、状況は少し変化しています。
マイカーが増えたので、スリは減少しているものの、外国人は依然として狙われやすいです。とりわけ大型のスーパーや市場、バスの中でのスリや窃盗には注意が必要です。以前は服装や人相でいかにも怪しいと思える人が常習犯でしたが、最近は外見上では見分けがつきません。手口もより狡猾になっています。
5月から7月にかけて日照時間が長く、夜9時や10時でも外が明るいので、夜でも出かけたくなりますが、言葉のわからないうちは特に冒険心での単独行動は避け、目抜き通りを歩いたり、公共の乗り物を利用したりするなどして早めの帰宅を心がけましょう。
言葉が通じるようになるころが一番注意しなければなりません。外国人目当てに友好的に近づき話しかけ、家の住所や日本にいつ里帰りするのか聞き出し、留守を狙って空き巣に入ろうとする人もいます。
Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?
5階建以上のアパートやマンションが建ち並んでいます。新しい高層アパートは治安も考慮されセキュリティーがしっかりしています。さらには、同じ建物内に私立の幼稚園や託児所、スーパーマーケット、歯医者や駐車場なども完備されています。ただ、外見の立派さとは裏腹に突貫工事で建てられたものも多く、水回りの問題には悩まされます。
一方、旧社会主義の時代に建てられた5階建の建物は構造がしっかりして丈夫ですが、電気の配線や水道の配管の老朽化による問題が多く、改装修理がなされていない家に住むと厄介です。使われている部品はロシア製のものが多いので、交換修理に手間がかかります。
新旧いずれの建物にしても管理をする団体があり、建物の住民全員がその団体に共益費等をきちんと支払い、しっかり管理してくれる所に住めば、少々問題があっても比較的快適に生活できます。
最近は不動産業者が仲介するところも増えてきましたが、物件の選択は自分の目で見て確認し、信頼できる現地の仕事仲間とか友人の援助を借りることをお勧めします。特に各家庭にある温水を通すパールという設備が故障していないか、暖かいかどうかは要チェックです。
都市部のゲル地区の人は遊牧生活をするわけではありませんが、アパートのような便利さはなくとも、生活費を抑えるためや田舎で元々ゲル暮らしだったという理由からゲル住まいを選びます。しかし隣との間隔が近く、ゴミの廃棄や排泄物の処理の問題を抱えることがあります。水も公共井戸から運んで来なければなりませんし、お湯の管もなく衛生的にもアパートに比べると劣り、不便であるという点から都心でゲルに住む外国人はほとんどいません。
Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
モンゴルに来てまず驚かされるのはガス管がないことと、給湯器がないことです。各家庭では電気調理器の使用が普及しており、基本的に都市ガスはありません。
台所、洗面所、バスタブなどの蛇口からは水もお湯も出ます。お湯はパールという温水を通す管から供給されます。これは国が管理するもので、部屋全体を暖めるのにも使われます。これがあるおかげで、極寒の地でも家の中ではとても暖かいです。そして、ガスがないので火事や一酸化炭素中毒のような危険は少ないです。トイレもアパートの場合は全て水洗です。
電気、水道、インターネットは首都、地方いずれも大きな問題はありません。地震、台風といった自然災害が少ない国ですので、数日停電、断水ということはあっても、国民生活に長期支障をきたすような問題はありません。
3つの大手携帯電話会社があり、携帯はほぼ100%の普及率です。ゲルに住む人たちは自家発電の電気でインターネットもできますが、かなり僻地だと通信が途切れることもあります。
ゲル住まいの人は、水を近くの公共井戸から安価で購入し、台車で運びます。お湯もないので、運んできた水をストーブで沸かして使います。井戸水は洗顔や洗濯には使えますが、直接飲んではいけません。
トイレは敷地内に穴を掘って囲いをし、大小の用を足します。見た目原始的で、衛生的とは言えません。
Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
市場の衛生状態は改善されつつあるとはいえ、あまり良い状態ではなく、夏の暑い時期でもハエのたかり放題のテーブルに牛肉の大きな塊が置かれています。
しかし最近ではスーパーマーケットやコンビニなども増え、市場より値段は高いとはいえ真空パックにされた肉やトレーに入れラップされた肉、ガラスの冷蔵ケースで保存された生肉も売られています。
市場や露店で売られている野菜や果物は、まだ土がついていたり、洗われずに店頭に並べられたりすることも多いですが、スーパーの野菜や果物はきちんと洗われて清潔なナイロン袋に入れられています。当然のことですが期限が切れたものは販売されません。
ただ、市場、露店、スーパーで共通して言えることは、特に野菜や果物に関して生産地や原産地が表示されない、もしくは間違っていることが多々あります。
レストランやファーストフード店の衛生状態は、店舗で差があります。ホテルに入っているような高級レストランの衛生状態は問題ありませんが、大衆食堂の調理場や揚げ油の品質管理はよくありません。ファーストフード店やコンビニは、ゴミ箱やトイレなど公共に使用される場所の衛生管理があまり徹底されていません。
Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
アパート、マンションは水道水です。水道水から直接料理に使用することもできますが、可能な限りろ過もしくは煮沸する方が望ましいです。たまに水道管の補修や修理のため断水した時には、しばらくさびた水が出続けることもあるので、色や匂いをよく確認したほうがいいです。安全性を考慮し最近では自宅やオフィスだけでなくゲルに住む人でも宅配等のウォーターサーバーの利用が増えています。
ゲルに住む人は各集落の近くに井戸水があり、それが生活用水になります。台車と容器を持って行き、比較的安い料金で購入します。直接飲むと下痢や胃痛を引き起こすので必ず煮沸します。
Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
首都のウランバートルや地方都市の公共交通機関はバスです。料金には地域差があります。ウランバートル市内に関していうと、一律500トゥグルグル(約20円)で、原則バスカードを利用することが義務づけられており、料金チャージ制のカードと月ごとの定期カードがあります。地方都市にもその町で利用できるバスカードがありますが、バス会社が異なるためどの都市や町でも利用できる共通のカードはありません。韓国や中国で使用されていた中古のバスや排気ガスがあまりでないエコバス、2両編成のトローリーバスなどがウランバートル市内を走っています。
自家用車が普及しているとはいえ、バスの利用者は多く、朝夕の通勤ラッシュ時には車内もかなり満員で、渋滞もひどいです。
その他に12人乗りのミクロと呼ばれる乗合バスやタクシーがあります。ミクロには20人以上乗ることもあります。タクシーは基本、走行距離で料金を割り出しますが、料金表もメーターもないため特に言葉がわからない外国人はかなり高額を請求されかねないので、単独で乗らないほうがいいでしょう。
鉄道はロシア中国間を結ぶ国際列車と国内列車があり、特急や急行はなく、全部各駅停車です。
Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?
国立の病院は、医療費も比較的安く入院病棟も多いですが、施設全体が古いです。個人病院は,施設が新しく病院によっては医療器具も充実していますが、入院病棟が少なく医療費もかなり高額です。どの病院も基本入院期間が短く、産婦人科は出産後2、3日で退院します。
以前は衛生上問題のある病院施設も多く、医療器具を介して肝炎などにかかる人もいましたが、最近は海外の医学を学んで帰国した医師も増え、ここ10年で医療器具や技術や衛生環境もかなり改善されて来ました。とはいえ医科大学や看護学校は地方には少なく、施設や設備の整った病院は都市に集中し、地方の人は医療を学ぶのも受けるのも都市に出て来なければなりません。
執筆者:さりさん
執筆年月:2020年7月