Toggle

各国情報提供

わたしの活動エリア「アルゼンチン」へようこそ!

海外社会貢献者からのメッセージ

近代的な建物の並ぶプエルトマデーロ地区

Q. 世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?

日本の反対側に位置するアルゼンチン共和国、近年かつてないほどその距離感は縮まっているように思います。

私はここアルゼンチンで日本語語学教育に加え、日本文化、食など様々な分野に関する貢献活動に携わっています。アルゼンチン人として生活してきた日系人が自分たちのアイデンティティを再評価する動きも見られ、そのため日本語教育の需要も高まりつつあります。

この国における社会貢献活動全般に言えることですが、人々に対するリスペクトと折れない心は必要不可欠です。短期的な日本語のみのボランティアでも可能だと思います。しかし短期よりも長期、スペイン語(公用語)を話せる、あるいは話そうとする意欲をお持ちであればより貢献度の高い、充実したボランティアライフを送れるに違いありません。

文化

ブエノスアイレスを象徴するモニュメント:フロラリス・へネリカ

Q. 現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?

自己主張がとても強い国民性です。それぞれ自分の考え、意見をしっかり持っていて、それをはっきり表現します。つまり良い、悪いと思うことに対する反応が非常に分かりやすいです。

個人レベルで言えばそうした反応が厳しく感じると思う一方、褒め言葉は心からのものですので、頑張り続けるための糧ともなります。しかし国レベルのこととなりますと、道路封鎖や公共交通機関の運休、教職員、公務員のストライキによって政府に対する抗議活動が行われることも度々あります。

また多くのアルゼンチン人にとって日本人に対する信頼度はトップクラスです。初対面の人であっても日本人というだけで信用されることもしばしばです。

さらに、挨拶を非常に重んじる文化ですので、親しい人同士の挨拶は、その友情関係を再確認するという意味も込めて同性、異性関わりなくベソ(キス)をします。(ブエノスアイレスに限って言っていますが)

Q. 現地の食文化はどのようなものですか?

何と言っても世界屈指の牛肉消費国ともあり、高品質で安い牛肉が容易に手に入ります。とはいえ日本の価格と比較して断然安いという意味であって、現地の物価からすれば決して安いとは言えませんが…。

アサード(焼肉)をはじめ ピザ、エンパナーダ、カネロネス、ロクロ、チョリパン、ミラネッサ等々牛肉、乳製品をふんだんに使ったアルゼンチン料理は最高です。

さらにアルゼンチンの東に位置するアンデス山脈麓にはぶどうの栽培地域が広がっているため高品質、低価格なワインが入手しやすいのも魅力です。

多くの家庭にはパリージャ(バーベキューコーナー)があります。週末に家族、友人を招いてアサードパーティー。焼き上がるまでマテ茶やワインを一緒に飲みながら楽しいおしゃべり、贅沢で幸せなひと時です。

美味しいアサードの秘訣、じっくりゆっくり慌てない

Q. 現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか? 現地特有のマナーなどはありますか?

アルゼンチン最北端ボリビア国境の町ラキアカから最南端の南極に最も近い町ウシュアイアまでおよそ3800キロ。一言にアルゼンチンと言っても実に多様な生活習慣が見られます。

一般的に昼休み3~4時間は当たり前です。特に夏の時期になりますと暑さがピークに達する昼下がり、通りには人っ子一人いなくなります。そのような時間帯に訪問することはもちろん電話を掛けたりすることも避けた方が無難です。貴重なお昼寝タイムなので。

国民の大半はカトリック教徒と言われています。史上初のアメリカ大陸出身の現ローマ法王がアルゼンチン人ということもあり国民的英雄のような存在です。お土産屋でも法王フランシスコのグッズが並んでいるほどです。

気候

2月の真夏の空

Q. 現地はどのような気候ですか? 健康維持のために気を付けるべきことはありますか?

アルゼンチンは大きく分けると亜熱帯、温帯、乾燥、寒冷気候の4つに分けられます。私の住む温帯性気候に属するブエノスアイレスは、一年を通じて朝晩と昼の気温差が比較的大きいのが特徴です。こうした気温差で体調を崩す人も多いので、重ね着によってこまめな体温調整を心掛けています。

Q. 現地特有の風土病はありますか? 健康維持のために役立つ対処方法はありますか?

一般的に熱帯地方で流行するデング熱も、近年ではブエノスアイレスでも多くの症例が出ています。蚊(ボウフラ)を発生させないために各家庭で水溜りを作らないこと、雑草を放置しないこと(草刈り)が勧められています。もちろん蚊に刺されないよう注意する必要もあります。

また風土病とは関係ありませんが、糖尿病、高血圧、高脂血症患者が大変多いです。生活習慣、食生活に一因があるようです。

ホームステイ、共同生活をするなど地元の人と生活する機会を持てるとすれば、それは素晴らしい経験となるに違いありません。しかし自分に合った生活リズム、食生活を 理にかなった範囲で保つよう心掛けることも、健康維持につながるのではないかと思います。

言語

小売店が並ぶ。どの店も対面販売が基本のため、店員と会話するための言語が必須

Q. 現地の人々はどのような言語を用いていますか? 外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?

アルゼンチンを含め、中南米のほとんどの国はスペイン語が公用語となっていますが、発音、語彙はそれぞれの国で異なります。特にブエノスアイレスっ子(ポルテーニョ)はシャ行を頻用し、スペイン語を理解できない人でもその独特の発音から すぐにポルテーニョと識別できるほどです。

一般的にアルゼンチン人は語彙、表現力がとても豊かで早口です。ネイティブではない外国人に対しても容赦ありません。本人からしたら早口のつもりはないのでしょうが…。

生活

パレルモ地区:アートチックな遊具の並ぶ公園

Q. 現地の人々の生活水準はどうですか?

一般的に生活水準は高い方ですが、貧富の差が大きいのも現状です。

12~2月 夏のバケーションの時期に1か月かそれ以上 海外や避暑地で過ごすという家族もよく見かけます。

ある一定の月収に達しない家庭には政府から家族手当が支給されますし、年金制度もあります。障害者と付添の人には公共交通機関の運賃も免除されます。ある程度の生活は保障されています。

映画館!! と思いきや、これは病院。子どもたちも行きたくなる!?

Q. 現地の人々の教育水準はどうですか?

義務教育は、2年間のハルディンインファンティル(幼稚園)から始まり、プリマーリア(初等教育)6年、セグンダーリア(中等教育)6年、の合計14年です。

一般に公立学校は半日のため、並行して職業訓練学校に通いながら手に職を身につける学生もいます。

大学進学率は4割弱といったところです。ちなみにブエノスアイレス大学(UBA)の学費は無料です。

Q. 現地の治安水準はどうですか? 外国人が特に気を付けるべきことはありますか?

都市部のブエノスアイレスについて言えば、治安は良いとは言えません。夜の一人歩きはもちろん、日中でも人気のない場所、またシエスタ(お昼寝)の時間の外出は十分注意する必要があります。電子機器を公共の場で使う際、ATMでお金を引き出した後も同様です。ブエノスアイレス市内及び近郊にスラム街(ビジャ)が数か所あります。そこは絶対に入ってはいけない場所です。

ブエノスアイレスの治安を守るパトカー

Q. 現地の住居や住環境の様子どうですか?

ピンからキリまであります。例えば地区丸ごと高い塀で囲まれ、一か所の入り口に警備員が24時間体制で常駐しているカントリーと呼ばれるハイセキュリティエリアがあります。当然、高所得者しか住めない場所です。ブエノスアイレス郊外に位置する中間層の多い私の住む地区は、一軒家(3LDK)でおよそ月300ドル程の家賃です。

基本的に騒音問題、 例えば大音量の音楽、番犬の吠え声、車の空吹かし クラクションといった騒音に関しては皆お互い様といった感じです。不思議なことにそうした問題で近所トラブルを聞いたことがありません。

地震がないため大抵の建物は耐震構造になっていません。ほとんどの場合、 家は資材を購入してセルフで建ててしまいます。そのためか鉄筋、電気配線がむき出しになっている不完全な家が多く見受けられます。

Q. 現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?

都市部の生活インフラは整っている方だと思います。

都市ガスはだいぶ普及していますが、まだまだプロパンガスの家庭も多いです。プロパンは切れると、自分で近所の売店やガス会社で満タンになったLPGボンベと交換します。重さは満タンで23キロほど…

電力消費が増える夏の夜間、地区ごとに計画停電が抜き打ちで実施されることがあります。それ以外の理由で停電になることは最近ありません。また水は地下水を家庭用ポンプで汲み上げる方式ですので、停電になると水も止まります。

私の地区では光ファイバーのインターネットが約2年前から導入されました。おかげで驚くほど速くなり、ほとんど中断されることなく快適です。

Q. 現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?

良いことを願います。今のところ外食でお腹を壊したことはありません。

アルゼンチンスタイルのファストフード店の厨房

Q. 生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?

我が家は水道水でも飲用できます。浄水器を使用する家庭はほとんど見られません。2ドル程で20リットルの飲料水を配達してくれますので、そちらの方が割安なのかもしれません。

Q. 現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?

アルゼンチンは交通網が発達しています。

ブエノス市内及び近郊の循環バスはバス停にのみ停まります。と言ってもバス停の位置が非常に分かりにくく、地元の人にしか分からないという場所もあります。 その他の主な公共交通機関は列車と地下鉄です。いずれも売店等で販売しているSUBEというプリペイドカードを使用します。またタクシーの他に、Uber、Cabify があります。

国内の長距離移動は、主にバス、寝台列車、飛行機です。LCCも就航しているため、バスや時には列車よりも安くチケットを購入できることもあります。

ブエノス市内は交通を取り締まるカメラがくまなく設置されています。運転もかなり荒いです。レンタカーで運転する際は十分気をつける必要があります。

またウインカーを出さずに曲がる車、ウインカーを出しながら直進する車もあるので、歩く際も、「だろう歩行」ではなく「かもしれない歩行?」を心掛けてください。

電車:ブエノス市民の主要な移動手段のひとつ

Q. 現地の医療水準はどうですか? 医療費は高額ですか?

風邪程度であれば小さな診療所がどの町にもあります。医師に症状を伝えそれに合った処方箋を出してもらい、薬局で薬を出してもらうという要領です。外国人であっても診察料は無料です。在庫があればイブプロフェンなどは無料でもらえることがあります。

しかし重い症状であれば大きな病院に行く必要があります。公立病院であれば実費を除き診察料、手術費用も無料です。ただし、すばやい対応は期待できません。

その他、日系のクリニックもあります。診察料は掛かりますがそれほど高額ではありません。日本の健康保険も使えます。

執筆者:O.M
執筆年月:2020年6月

Return Top