海外社会貢献者からのメッセージ

Q.世界を活動の場とする社会貢献者にとって、この国はどのような場所ですか?
ラオスは、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーの5カ国と接する内陸国です。北部には、街全体が世界遺産に登録されているルアンパバーンがあります。
私が活動しているのは、ラオスの首都ビエンチャンです。
ラオスで暮らしていると、日本とは異なる文化や生活環境に驚かされる一方で、人と人とのつながりの温かさを強く感じます。
現地の人々は穏やかで素直な人が多く、屈託のない笑顔がとても印象的です。友人と時間を過ごすことが大好きで、何かあるたびに食事に誘ってくれます。知らない人との会話では、最初は少しぶっきらぼうに感じることもありますが、実はシャイなだけという場合も多く、すぐに心を開いてくれます。
特に印象的なのは、おもてなしの気持ちです。裕福でなくても、来客を精一杯もてなしてくれます。ニワトリなどを飼っている家庭では、そのニワトリを来客のために料理して振る舞ってくれることもあります。
一方で、首都であっても道路や電気、水、ごみ収集などのインフラにはまだ課題があります。また、就職難も深刻で、家計を支えるために海外への出稼ぎを考える人も多くいます。
そうした環境の中でも、身近にあるものを工夫して生活する知恵や、人とのつながりを大切にする文化があります。
ラオスで活動するうえでは、現地にある課題だけを見るのではなく、そこで暮らす人々の価値観や生活の知恵を理解し、尊重することが大切だと感じています。そのうえで、人々の生活の質を高め、将来の可能性を広げるために何ができるのかを考えていくことが、社会・文化への貢献につながるのではないかと思います。
文化
Q.現地の人々の気質や考え方にはどんな傾向がありますか?
ラオスの人々は、シャイではあるものの、穏やかで素直な人が多いと感じています。特に、屈託のない笑顔がとても印象的です。
また、相手の気持ちに敏感で、細やかな気遣いをする人が多いと感じます。自分が相手を困らせてしまったと思うと、「ボペンニャン(気にしないで)」と言って一歩引いてくれる場面をよく見かけます。
また、誰かに親切にしてもらったときには満面の笑みで感謝を伝えるなど、その素直な人柄も魅力です。
一般的な親の考え方としては、子どもには良い学校に行って良い仕事に就いてもらい、将来は子どもに養ってもらいたいという思いがあるようです。わたしたち夫婦には子どもがいませんが、「将来は誰が面倒を見てくれるの?」とよく聞かれます。
また、比較的若いうちに結婚する人も多いようです。子どもの結婚について親は、相手に経済力があり生活を支えられるのであれば認める一方、そうでなければ、まずは子ども自身が安定した収入を得られるようになってからと考えるようです。

Q.現地の食文化はどのようなものですか?
ラオスの食文化は、「辛い・塩辛い・酸っぱい」という味つけが特徴です。はっきりとした味を好む傾向があり、味の濃いものや刺激の強いものが人気です。
食事では、ステンレス製のレンゲと手を主に使います。スープ類はレンゲを使いますが、もち米を炊いた「カオニャオ」などは手でつかんでこね、形を整えてから、タムマックフン(パパイヤサラダ)やさまざまなおかずと一緒に食べます。日本人の口にもよく合うカオニャオは日常的によく食べられていますが、現地の人からも「白米に比べて糖質が高いので、食べ過ぎには注意したほうがよい」と言われることがあります。とはいえ、おいしくてつい食べ過ぎてしまうので注意が必要です。
米粉を使った麺料理も一般的で、カオピヤックやフーなどがあります。そうめんのようなカオプンは、スープをかけたり、葉野菜やソーセージなどと一緒に巻いたりして食べます。
スープなどを一つの器からみんなでシェアすることも多く、自分のレンゲで大皿から料理をすくい、そのまま口に運ぶことも一般的です。そのため、衛生面では日本と異なる点に注意が必要だと感じます。
日本ではあまり食べる機会のない種類の肉や、アリの卵、オタマジャクシなどを勧められることもあります。思い切って食べてみると、現地の人にとても喜んでもらえます。
また、パンもとてもおいしく、フランスパンに肉や野菜を挟んだカオチーバテー(バインミー)は人気の朝ごはんです。かつてフランス領だったことも関係しているのかもしれません。
Q.現地の人々はどのような生活習慣や宗教観を持っていますか?現地特有のマナーなどはありますか?
仏教徒という人が最も多いですが、クリスチャンもいます。
一方、最近では特に若者を中心に宗教心が薄れているようです。「信仰していても生活が良くならないから」と考える人もいます。
また、日が暮れてから口笛を吹く、髪を切る、爪を切るといった行為は避けるべきとされているようです。
宗教的な文化を敬う一方で、門が開いている寺院の敷地を地元の人やタクシーが近道として通り抜けるなど、日本人の感覚では不思議に感じることもたくさんあります。
気候

Q.現地はどのような気候ですか?健康維持のために気を付けるべきことはありますか?
熱帯モンスーン気候と言われていますが、日本人にとっては比較的過ごしやすい気候だと思います。
3~4月が最も暑く、その後は10月頃まで雨が多く降ります。12~1月は夜になると涼しく、人によっては肌寒く感じるため、防寒用の上着を一枚持っていると安心です。
また、土煙や砂煙が非常に多いうえ、あちこちでごみなども燃やしているため、場所によっては空気が悪いと感じることがあります。
頭痛や喉の痛みが長引いていた人が、空気清浄機を導入したことで症状が改善したという話も聞きます。ヘルメットをかぶらずにバイクに乗る人でも、服の袖で鼻と口を押さえながら走っているほどで、空気の悪さはラオスの人々にとっても問題となっています。
そのため、普段からマスクを着用するなど、空気への対策は必要だと感じます。

Q.現地特有の風土病はありますか?健康維持のために役立つ対処方法はありますか?
蚊を媒介とした病気があり、デング熱などには注意が必要です。
また、食事は辛いものが多く、味の濃いものや刺激の強いものも好まれるため、長く生活するのであれば、自炊を心掛けるなど食生活にも気を付ける必要があると感じます。
日本のように、どこでもすぐにトイレを利用できる環境ではないため、辛い料理を食べる際にはその点にも注意が必要です。
また、ラオスでは体を動かすことが好きな人も多く、仕事終わりや週末には、広場や運動場でジョギングやスポーツを楽しんでいる人をよく見かけます。
ラオスではバドミントン、バレーボール、サッカー、セパタクローなどが人気です。無料で利用できる公共の運動スペースもあれば、有料のフィットネスクラブのような施設もあります。
特に運動場は、車やバイクで行く場合でも安価な駐車場代だけで利用できるところがあり、気軽に体を動かせる場所として人気があります。
地元の人に交じって定期的に運動することで、ラオス生活を楽しみつつ心身ともに健康を維持していけたらと思います。

言語

Q.現地の人々はどのような言語を用いていますか?外国人にとって、現地の言語を学ぶ際に、どんなハードルがありますか?
現地ではラオ語が使われていますが、ほとんどのラオス人はラオ語だけでなくタイ語も聞き取り理解できます。比較的若い世代では、タイ語の読み書きができる人も多くいます。
一方、特に女性の中には、子どもの頃に学校へ通えなかったため、大人になってからもラオ語の読み書きができないという人もいます。同じラオス人でも、受けてきた教育によって読み書きの能力に差があることを感じます。
ラオ語はタイ語と似ていて、同じように声調言語ですが、地方ごとに訛りがあるなど、外国人にとって聞き取ることが難しいと感じることがあります。
また、ラオ語の辞書も多くはないため、日本語からラオ語を学ぶには難しさがあります。
それでも、わたしたちが一生懸命ラオ語を勉強し、話そうと努力すると、現地の人はとても喜んでくれます。上手に話せなくても褒めてくれるので、現地の人と交流する大きな励みになります。
生活

Q.現地の人々の生活水準はどうですか?
生活水準には家庭によって差があります。
就職難が深刻で、多くの人が仕事を探しています。家計を支えるのが難しく、父親や子ども、さらには小さな子どもがいる母親までもが、海外へ出稼ぎに出ることを望む場合もあります。
日本にもラオスから働きに来ている人が多く、そのための日本語学校もラオス国内に数多くあります。
一方で、ニワトリやアヒルを飼ったり、自家栽培をしたりしている人も多く、自分たちで生活に必要なものを作る暮らしも見られます。
また、何かが壊れてもすぐに人や業者に頼むのではなく、まず自分で何とかしようとする人が多いです。家や身近にあるものを上手に使って、壊れたものを修理したり全く別の用途に使ったりします。
例えば、七輪のようなもので調理をしたいけれど網がなかったとき、扇風機のフロントガードを網の代わりにして魚を焼いている人がいました。「ないなら、あるもので何とかする」という生活の知恵が印象に残っています。
家電は中国や韓国などから入ってきており、食料品も韓国・中国・日本などの食材が手に入るため、望めば日本とあまり変わらない生活環境をつくることも可能です。
ただし、現地でこうしたものをそろえるのはかなり割高です。
買い物では、デパートや商店だけでなく、Facebookを利用するのも一般的です。車やバイク、家、家具など、なんでも探すことができます。

Q.現地の人々の教育水準はどうですか?
小学校は1~5年生の5年間、中学校と高校を合わせて7年間で、合計12年間となっています。年数としては日本と同じです。
親は子どもに、良い学校へ進学して良い仕事に就いてほしいと望むなど、教育を将来の生活につなげようとする考え方があります。また、第二外国語を学ぶ環境もあり、日本語・中国語・韓国語など、出稼ぎ先として人気の国の言語を教えている学校もあります。
一方で、子どもの頃に学校へ通えなかったため、大人になってからもラオ語の読み書きができない人もいます。
Q.現地の治安水準はどうですか?外国人が特に気を付けるべきことはありますか?
殺人などの凶悪犯罪は比較的少ないようですが、窃盗や強盗、薬物がらみの事件は非常に多いです。
盗まれたものはまず返ってこないと考えたほうがよく、犯人が捕まらないことも多いです。
そのため、外国人が生活する際には、貴重品の管理などには十分注意する必要があります。
日本製のバイクはラオスでも人気が高く、家の敷地内に止めていても盗まれることがあります。多くの家庭では盗難対策として、バイクを家の中に入れて保管しています。
Q.現地の住居や住環境の様子はどうですか?
家の床にはタイルが敷かれていることが多く、食事の際にはゴザを敷いて、みんなで床に座って食べます。タイルはひんやりとしてラオスの気候に合っていますし、汚れても掃き掃除や拭き掃除がしやすいので気に入っています。
家のトイレには、手で操作するシャワーノズル(ウォシュレットのような器具)が付いているところもあります。
日本と同じような環境をつくることもできますが、難しい点の一つにごみの回収問題があります。定期的な回収が行われないことが多く、とりわけ雨季には、場所によっては数か月回収に来ないこともあります。そのため、家に大量のごみが積まれていたり、庭や近所で各自ごみを燃やしていたりする光景もよく見かけます。
ビエンチャンで外国人が部屋を借りる場合、だいたい月5万円程度からという印象です。多くの人は家探しにもFacebookを利用します。
Q.現地の生活インフラ(水道・電気・ガス・インターネット)はどの程度整っていますか?
首都のビエンチャンでも、インフラにはまだ弱い部分があります。
水道料金は日本の感覚からすると安いですが、水道水をそのまま飲むことはできません。飲料水や料理に使う水は、別に購入するか、浄水器を設置するなどの必要があります。
水の供給自体が不安定になることも多いため、自宅用の専用タンクを設置している家庭もあります。
電気については停電も多くあります。計画停電の場合もありますが、実施の2~3日前、場合によっては前日になってから知らされることもあります。
ガスはプロパンガスを購入できますが、IHを使ったり、炭で料理したりすることもあります。
携帯電話料金は比較的安く、1か月15GBでも500円を下回るほどです。ただし、中心地から離れると電波が入りにくい場所もあります。
ガソリンはタイから輸入しているため、たびたび品薄になり、価格が急騰します。その影響もあり、最近では首都で電気自動車や電気バイクが急激に増えています。
Q.現地のレストランやファーストフード店、露店など食品を扱う店の衛生状態はどうですか?
手でご飯を食べる料理も多いのですが、食事の前に手を洗ったり消毒したりすることは、あまり意識されていないようです。
料理は大皿からみんなでシェアし、自分が使っているレンゲで料理をすくって食べることも一般的です。また、地元の屋台や飲食店では、砂糖やトウガラシなどの卓上調味料にスプーンが付いていない場合も多く、客が自分のレンゲを使うこともあります。衛生面では、日本とは異なる点に注意が必要だと感じます。
また、道端などにごみが捨てられていることも多いため、食品を扱う環境については、日本と同じ感覚では考えないほうがよいと感じます。
Q.生活に必要な安全な飲用水はどのように調達しますか?
水道水をそのまま飲むことはできません。
外国人の場合は、ペットボトルの水を購入するか、浄水器などを設置して対応する必要があります。
水道料金自体は安いものの、飲料や食事に使う水は別途準備が必要です。

Q.現地の交通事情や交通機関の様子はどうですか?
日本とは異なり、車は右側通行です。
一般道路には穴ぼこが多く、ビエンチャンの中心部を外れると走行に特別な注意が必要です。
大きな道路には中央分離帯などがある場合もありますが、主要道路でも基本的にセンターラインがない道路が多く、反対車線にはみ出して追い越すことが当たり前のように行われています。大型トラックなども含め、逆走してくる車も多いため、初めて運転する人は恐怖を感じるかもしれません。
小型の電気バイクは「子どもの移動手段」と考える人も多く、子どもが運転している姿も見かけます。
日本とは交通事情やルールに対する感覚が大きく異なるため、自分自身が交通ルールを守るだけでなく、「自分とは違う感覚で道路を走っている人もいる」と認識して、安全運転を心掛けることが大切です。
信号機もたびたび故障して点灯しなくなり、すぐには復旧しないこともあります。
また、首都であっても中心部を少し離れると、牛やヤギなどが道路を歩いていることがあります。牛飼いが近くにいないこともあり、動物が自分で幹線道路を横断することもあります。
自家用車やバイクがなくても、比較的安い電気タクシーやバスなどもあるため、中心地での移動は難しくありません。
Q.現地の医療水準はどうですか?医療費は高額ですか?
軽い症状の場合は、日本のような処方箋は必要ないので、薬局に行き症状を説明して薬を購入します。
重い症状の場合や、専門的な検査が必要な場合は、大きな病院に行きます。公立病院は比較的安く治療してもらえますが、設備が整っていない、待ち時間が長い、薬が不足している、追加の治療には高額な費用がかかる…など、不満を持っている人が多いようです。また前払い制なので、薬などを購入しなければ処置してもらえない、治療に使ってもらえないということもあります。なんとか高額な費用を支払っても、結局原因が分からないまま帰されることもあると聞きます。
設備の整っている私立病院もありますが、医療費は高額です。また、タイに渡りノンカーイやウドンタニーの大きな病院を利用することも可能ですが、どちらにしても高額な費用がかかるため、希望の治療を受けられない人が大勢います。
外国人がラオスに行く場合は、海外旅行保険に加入したうえで、蚊に刺されない、犬にかまれないよう十分に注意する必要があると感じます。
Q.現地に滞在するためのビザにはどんな種類がありますか?
2026年8月末現在、観光目的の日本人は、ノービザで30日間滞在することができます。
Q.日本⇔現地のフライトはいくらくらいですか?
2026年8月末現在、東京-ビエンチャン間に直行便はないようです。経由地としては中国・ベトナム・タイなどいくつか候補があり、安いときは片道約3万円から、往復6万円ほどでラオスに来ることができます。
移動時間が10時間を超えるため、体調をよく整え、貴重品は肌身離さず管理するなどの注意が必要です。
執筆者:T・K
執筆年月:2026年8月
